「知恵と工夫でサバイバル」レベル・リッジ 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
知恵と工夫でサバイバル
本作は、単なるアクション映画の枠を超え、
知略と戦略が織りなすスリリングなドラマだ。
パワーや火力を前面に出すのではなく、
Jiu-Jitsuなどの格闘技を巧みに取り入れ、
〈精神こそ最大の武器〉
と戦略的な側面を際立たせている。
これは、単なる武術の披露でもなく、
限られた状況下でいかに生き延びるか、
人間の知恵と工夫とサバイバルを描き出している。
パワーや火力に頼ったアクション映画とは対照的に、
静かな緊張感で観客を魅了する。
主人公のクレバーな戦術、
そしてそれを裏付ける海兵隊の技術や戦術用語の、
略語[P基本・A代替・C不測の事態・E非常事態]などは、
物語に刺激を与え、観客を飽きさせない、
知的なエンターテイメントとしても興味を引く内容だ。
そんなエンターテインメントがメインプロットではあるが、
並行して深刻な内容も全編に漂わせている。
ポール・ハギスの「ラッシュ」や「デトロイト」のように、
社会問題、特にBLM(Black Lives Matter)運動に関連する問題を扱いながらも、
暴力やアクションを最低限に、
軍人、警察官の心の葛藤や社会構造の問題に焦点を当て、
観客に深い思考を促す。
そして劇中にも出てくるセルピコの存在。
「セルピコ」のファーストシーンとラストシーンを思い出させつつ、、、
主人公と協力者の孤独な闘いは、
システムや組織に対する無力感や絶望感をも象徴している。
コメントする