ザ・ゲスイドウズのレビュー・感想・評価
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すごい力を持った作品
細かな辻褄は合ってない気がすんだよね。
主人公は部屋がめっちゃ汚いんだけど、ジャージはすごい綺麗なの。服だけは大事にする人なのかな。でも手づかみでショートケーキ食べたりしたらジャージ汚れるよね。
売れないパンクバンドをやってるんだけど、レコード会社も詐欺みたいな会社で「ここまでに掛かった経費払え」とか無茶言って、バンドメンバーを田舎に送り込んじゃうの。
そこで分かるんだけど、バンドメンバーがみんなポンコツなんだよね。社会性が全くない。
それでも「野菜に音楽聞かせるのは良いっていうから」と言われて、懸命に演奏はすんの。
パンクバンドで訳も分からず叫んでる人たちなんてね、応援する気にはならないんだよ、最初のうち。でも、なんか、懸命にやってるのを見てるとね「この人たちが少しでも報われたらいいな」って気分になるの。がんばるの大事だね。
演奏して野菜もらって「はじめてのギャラだ」って喜ぶのもいいね。
田舎のイケてる女の子でまさかの伊澤彩織が出てくるのいいね。
伊澤さん、アクションシーンしか見ないことが多いけど、トラクターの上でリュウゾウを待つショットでは思わず「かわいい」と小さな声が出た。いいね。
おばあちゃんが「あんたたちの音楽は全く分からないけど、全く分からないものを創れるのはスゴイ」って言うのいいね。
ほんと、そうだよ。全く分からないものを創れるのは、スゴイ。
自分たちには曲を作るしか能がないと、曲を作ってくシーンはとてもいい。
ボーカルのハナコがひたすら唸って「サスペリアを流しそうめんにしてすすったような曲にしたい」みたいなこと言うと、バンドメンバーが「ハッ!」って覚醒してパートができてくんだよね。
最後は決めの歌詞を飲み込むと、カセットテープが吐き出されてくんの。
創作って、こんな感じなのかなって思った。そして、創作って、ジャンルを問わず、厳しいね。
ほんとに魂削らないとできないのかも。
一曲目が大ヒットして、二曲目作るときもほぼ同じシーケンスになるのは、物足りない気もしたけど、まあ、同じプロセスで作るんだろうな。
そして迎える最後のギグ。
これはスゴイね。ハナコを演じる夏子の顔がいいのかな。
すごい迫力あって、引き込まれた。
登場人物たちはパンクを愛していて、ハナコはホラー映画も愛してる。
なにかを偏愛できるっていいなと思った。
そういうものに、なかなか出会えないよね。
出会った人は幸せだと思うよ。
色々とわかんない感じの作品なんだけど、最初に出てきた「みなさんのドキュメンタリーを撮りにきました」人はそのまま消えちゃったりね、でも観てしまう。作品に力がある。
宇賀那健一監督の作品を観なきゃだなと思ったよ。
あとバンドT出して下さい。買います。
今日び「GIG」って聞かないな
音楽もの、しかもバンドものとなれば観ないワケにはいかないのだが…
メンバーが順番に同じ台詞を言うのがしつこい。
曲作りも、もだもだする→ハナコが何か言う→メンバーがハッとする→フレーズが浮かんで演奏、を4人×2回。
楽器を重ねながらひと繋ぎでやればいいのに。
他にも無意味にしか思えないロングカットが満載で、ひたすら冗長で眠い。
ホラー好きだのおはぎ中毒だの女好きだの料理上手だのキャラ付けしといて何も活きてない。
言動や行動も、パンクだしとりあえず変なヤツにしとこうくらいの浅さ。
音楽をやる動機とかメンバーの関係性とか何かないの?
古参ファンは空気で、おばちゃんの死が作曲に結びつくこともなく、脇の置き方もよく分からない。
曲は、世界どころか日本ですら売れるとは思えない。
そもそも何故あれでデビューしてるのか。
エミネムやブリトニー、三池崇史の『オーディション』の名前が出てきたし、日本語パンク全盛の2000年代でしょ?
音楽映画やるなら曲はちゃんと作ってほしい。
The 27 Clubについても27歳になった日に死ぬわけじゃないし、テキトー過ぎませんか。
緩い雰囲気とパンクのギャップをやりたいんだろうけど、単に間延びしてただけ。
人間模様、創作の苦悩、青春、サクセスストーリー、夢を追う素晴らしさetc…何一つ描けてない。
曲ができた時にカセットを吐き出すのは面白かった。
ボブ好きなので、ドキュメンタリーを撮りに来たコが冒頭以降まったく出なくて残念。(ってか、アレ何だったの?)
パンクは救う
ヒロイン夏子が学校ジャージでカップ麺食っててもステージに立っててもとにかくフロントマンオーラ満載で惹かれる。
その美しさが刹那に生きるパンクロッカーやホラー映画マニアのどん詰まり感にドライブかけている。
バンドシズルもしっかりしていて流石にメインテーマのライブシーンは当て振りだけど、リハスタ改造された和室での演奏シーンはちゃんとリアルに音出ししている。
これだけでも監督のバンド愛を感じる。
一心不乱にインスピレーションの断片を書き殴る夏子の狂気。
ホラー映画からヒントを得た夏子の啓示によってメンバーが次々とリフを編み出して曲を完成させていく過程も死ぬほど可笑しい😆
全篇オフビートで突き進むのかと思いきや優しいおばあちゃんが突然亡くなってここでもまた人間の刹那を見せられる。
27歳で死んでいったミュージシャン達のことや、ホラー映画の歴史的古典ネタは若い年代には届きづらいかもしれないけど、この脱力感とバンドというめんどくさい商売に必要な推進力とパワーのギャップは面白おかしく伝わるんじゃないかと思う。
自分の好きなバンドマン達にも見てもらって大いに脱力して、好きなことを馬鹿みたいに続けている幸せを噛みしめて欲しい。
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