「自然に涙がこみ上げる作品」アイム・スティル・ヒア Toruさんの映画レビュー(感想・評価)
自然に涙がこみ上げる作品
1971年のリオデジャネイロ、軍事政権下で実際に起きた元議員の連行、残された妻子が歩んだ足跡を描く。
元議員ルーベンスと妻エウニセの息子マルセロ・ルーベンス・パイバの回想録が原作となる実話ベースの物語。
平和で愛に溢れる幸せな家族をしっかり描く前半部分、その後突然ルーベンスは連行され拷問を受ける。
次いで妻のエウニセも拘束され、ルーベンスの消息や生死は一切不明な中、エウニセは夫の行方を追い、軍事政権の犯罪と闘う不屈の人生を歩む。
ウォルター・サレス監督が描く、1970年代の景色が映像的に素晴らしく、弾圧がある中でも一般市民が明るい日常を送っているそのコントラストの描き方も秀逸。力強く生きるエウニセを演じたフェルナンダ・トーレスの演技は圧巻。
家族の笑顔が溢れる場面の多さが、涙を誘う。
更に実際の家族の写真を見て自然に涙が込み上げてきた。
体良くストーリーをまとめておらず、現実として、当時のブラジルの酷い国情を目の当たりにさせられる作品。撮影、演出を含め、映画としての造りが秀逸。
自分自身、圧政や弾圧とは無縁の国と時代に生まれ生きてきているが、昨今の戦争、紛争、弾圧のある国を見るにつけ、生まれ育つ国によって、人生があまりにも違ってくることを実感させられる映画。
予告編:
コメントする