「家族から見た軍事政権の本質」アイム・スティル・ヒア Boncompagno da Tacaocaさんの映画レビュー(感想・評価)
家族から見た軍事政権の本質
ブラジルの軍事政権については何も知らず、この映画でチリのピノチェト政権と変わらない酷い政権であったことを認識させられた。反共なら何でも許された冷戦期の西半球で迫害された実在の人物の家族の視点に立つこの映画は、今再びあからさまな差別や抑圧が始まった時代に、二度と繰り返してはいけない過去に向き合わせてくれる。いきなり一家の大黒柱を失い、家財を切り売りしながらも家族を守ったヒロインの根性に胸打たれる。時間はかかったが家族の生きている間に民主化され、過去が明らかになったのは良かったが、失われたものはとても大きい。わが国も治安維持法成立から100年、他山の石としなければ。
60年代の続きのようなビートルズとマリファナの若者と軍事政権が同時にある70年代初のコントラストが強い。
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