「ブラジルにも軍事政権時代があったとは知らなかった…」アイム・スティル・ヒア くまねこさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ブラジルにも軍事政権時代があったとは知らなかった…
「アイム・スティル・ヒア」をグランドシネマサンシャイン池袋で鑑賞。ウォルター・サレス監督作、ブラジル🇧🇷+仏の合作映画。
壮絶な大河ドラマを観た味わい、世代を超えたファミリーヒストリーだった。評判通りの傑作でした。
第97回アカデミー賞では作品賞、主演女優賞、国際長編映画賞の3部門にノミネートされ、国際長編映画賞を受賞したのも納得の家族ドラマ。
何と言っても、主演のフェルナンダ・トーレスが素晴らしく、家族の不安を案じながらも感情を抑えて、複雑な心情を巧みに演じていたのが印象的だった。
1971年、ブラジル軍事政権下を生きた家族が辿る壮絶な運命を、妻であり母親の視点から描いており、当時のブラジルを取り巻く状況説明は極力排して描かれていたのも良かった。
豊かで幸せな中産階級家族の元議員だった建築家の夫が、ある日突然、政府に連行された事を契機に、家族は激動の人生を歩む…
夫の連行後、続けて母親と娘が頭から袋を被せられ軍事政権施設に連行され、何日も牢屋に留置されるシーンが本当に悍ましく恐怖の極みだった。
母親エウニセが何とか無事に帰宅してからは、子供たちを守るべく強く気丈に生きる姿も素敵だった。特に新聞社の取材撮影で、悲しそうな表情でとの注文にも満面の笑顔で応対する娘、息子たちの姿に母親は勇気づけられたに違いない。また、緊張感が緩む良いシーンでもあった😌
48歳で一念発起して大学に戻り、軍事政権による横暴を暴くため、また夫の失踪の真相を求めるため勉学に勤しみ、弁護士資格を得る強さ。
そして、遂に夫の死亡証明書を手にした際の彼女の笑顔も忘れがたい。軍事独裁政権が終わり、死亡証明書が発行される事を喜んでいるようにも見えた。
認知症を患いながらも、立派に育った子供たちや孫たちに囲まれながら撮影する家族写真は幸福の象徴。偶然みたテレビ画面に映る行方不明の夫の写真に眼を大きく見開くカットも印象的だった。
恥ずかしながら、ブラジルにも軍事政権時代があったとは知らなかった。調べると1964年3月31日、軍部はクーデターを起こしてから1985年まで軍事政権時代があったらしい。
憲法や法律に背く政治家の動きをちゃんとウォッチして、民主主義をベースにした平和な社会と世界を維持する責任があると感じた。
(備忘録)
★2014年、ブラジルの軍事独裁政権による人権侵害を調査した真実委員会は、死者・行方不明者は434人にのぼり、およそ2000人が拷問を受けたと報告している。
かばこさん、コメントありがとうございます。レビュー拝見しました。レビューが面白くお書きになりますね。フォローさせてもらいました。どうぞよろしくお願いしますね🐈
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母の賢さ、気丈さが一家を救い、国家に一矢報いたんですね
すごい女性です。こういう話とは思いませんでした。

