「死よりも辛いかもしれない不在」アイム・スティル・ヒア さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)
死よりも辛いかもしれない不在
軍事政権下のブラジルで起きた強制拘束による失踪者の家族のその後30年を追った、実話に基づく作品です。
裕福な一家の主の突然の不在。
家族を襲うのは心の痛みだけでなく、経済的な困窮だったのが死と不在の違いを、後者が秘めた打撃をまざまざと提示します。
赤狩り旋風がブラジルだけでなく世界中を席巻した時代。様々な国の映像で「行方不明」者たちの足取りを観てきました。
その中でも本作はホウ・シャオシェンの悲情城市と並ぶ見事さだと感じました。
とりわけ、真実を知った妻の勇敢な生き様は多くの人を勇気づけます。けれどどれ程の偉業を成し遂げようとも人生は余りに短く、人は老いてゆくという残酷な真理とともに。
クラシックなファッションも堪能しつつ、全くその長さを感じさせない2時間半でした。
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