「軍事政権下の「母なる証明」」アイム・スティル・ヒア regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
軍事政権下の「母なる証明」
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1970年代の軍事独裁政権下のブラジルにおいて、突如政府に拘束され行方不明となった夫ルーベンス・パイヴァの消息を探し続ける妻エウニセの40年超の闘いを描く。
実話がベースとの事だが、ブラジル事情について知識が疎かったため、その点では観て良かった。韓国の「ソウルの春」もそうだが、軍事政権が市井の人々にもたらす悲劇はどこの国も変わらない。政府からの拷問に近い尋問を受けながらも、子供を守る為、夫の帰りを待つ為に耐えるエウニセ。家族の為に抗う女性の映画を“母なる証明”ジャンルと勝手に銘打っているが、本作もその系譜。女は強し、母は強しだ。
ただ、ルーベンスが行方不明になった序盤の数年間に重きを置いたせいか、それ以降の時代経過が端折られ、終盤は駆け足で進んでしまった感は否めず。それでもエウニセ役のフェルナンダ・トーレスは拍手もの。老年期のエウニセも彼女が老けメイクで演じたのかと思いきや、同じく女優の実母が扮していたと知り驚いた。どうりでそっくりなはずだ。その老エウニセがラストで見せる表情が印象的だった。
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