ベイビーガールのレビュー・感想・評価
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PG-12ということは、
カラオケ行こ、
くらいのスタンスで観てください、
いや、
観れるようになる日が来ますように、
というメッセージかもしれない。
まさかのMX4Dの座席、
シュー、ピカ、ガタガタとか、、
、、期待はしたが、、、
もちろんありません、
さて、うえを向いて、
本作は、表面的には火遊びのような物語に見えながら、
その実、
ロボットテクノロジー会社のCEOを装った、
プログラム、バグ、インストール済、
調教、マインドコントロールといった、
一種のトランス状態の間を巧みに行き来する作品であり、
その技術的な完成度には目を見張るものがある。
シナリオ、演出、芝居、音楽、効果音のいずれもが高いレベルで調和し、作品に対する説得力を保ち続けている。
具体的に例をあげると、
〈一線を越える瞬間〉の無音の使い方、
サスペンスと緊張を最高潮にまで高め、
無音という空白が観客に圧倒的な精神的影響を与える、
〈セロトニン系のシーン〉では、
吐息と効果音、音楽が絶妙にミックスされ、
まるで観客の体温が上昇していくかのような感覚を覚える。
一方で、〈ドーパミン系のシークエンス〉では、
腹に響く低音のリズムが、
観客を深い没入感へと引き込む。
このように、音の使い方が物語と密接に結びついており、
視覚と聴覚を駆使して感情の動きに寄り添っている。
ニコール・キッドマンの近作としては、
『エクスパッツ~異国でのリアルな日常~』や
『ホランド』で見られるように、
本能的な衝動に従って行動する主人公の役が多い。
しかし、これらの作品では、
彼女の役柄が本能と官能の衝突を単純に描くにとどまっており、
いわゆる「彼女がこんなことをしている、だから凄い」
という安直なアプローチが目立っていた。
しかし『ベイビーガール』では、
キッドマンの混乱の過程が丁寧に描かれ、
観客はその崩壊をただ傍観するのではなく、
登場人物と一緒に精神的な迷宮に迷い込む感覚を味わうことになる。
物語の冒頭では、
子どもたちとの会話、関係性、
とりわけ、
子どもたちのリュックに寄ったカットが登場する。
このリュックの使用感、母親としての立ち振る舞いの記号として、
母親がどれだけ完璧に見える人物であるかが一目で伝わる。
だが、その完璧さを1ポイントずつ、
時間をかけて丁寧に崩していくサミュエルの幻惑が、幽玄感(言い過ぎか・・)が、
このプロセスが、非常に緻密に描かれているため、
観客は次第にサミュエルの操縦の影響の範囲を、
それぞれに勝手に想像してしまう。
ロミーが語る、
コミューンでのカルト的な育成歴(真偽は不明、(噂によると撮影済み、諸事情でオミット))だが、
彼女の行動の根底にあるマインドコントロールの暗示として、
解釈する人も出てくるだろう。
さらに、
物語の途中で観客は、
サミュエルがどれほど洗練された操縦者であるかを感じることになる。
こうした疑念と解釈の余地を観客に委ねる点で、
監督はまさにマインドコントロールのように観客を支配している、
と言えなくもない、
精緻に仕組まれた高い技術だ。
A24らしいといえばらしいが、
本作に関してはA24の影響は必ずしも大きくないように感じる。
というのも、
A24はしばしば強烈なビジュアルや抽象的なイメージを通じて物語を表現し、
シナリオを抽象化したままにしたり、
結末を曖昧に留めることが多いが、
本作はそのアプローチとは一線を画している。
物語と映像表現の具体性、
そしてその技術の高さは、
むしろプロダクションチームの力量によるものではないだろうか。
難解なテーマをこれほどまでに具体的に描写し、
視覚的・聴覚的に圧倒する手腕には感服せざるを得ない。
ただし、『ジェイコブス・ラダー』や『カッコーの巣の上で』といった作品を連想させるセリフ、要素が散見されるが、
それらとの関連性については追及の必要はないかもしれない。
観客が自らの思考を巡らせる余地を与えるこの作品は、
ただの心理ドラマではなく、
複雑で精緻な人間心理の解析を表現した映画とも言えるだろう、
それは技術的な完成度、演出の精緻さ、
キャスティングの巧妙さにおいて、
見応えのある作品に仕上がっている。
ナインハーフ、危険な情事のような、
ラブサスペンス作品にカテゴリーされるかもしれないが、
心理描写にはかなりの技術的な手間暇がかかっている。
地球は女で回ってる?
ニコール版「モラルセンス」乳は差し替えで減点!
A24好き。ダイアンレイン「運命の女」とイジュニョン「モラルセンス」を足して2で割った感じ。ダイアンほどサスペンスなくジュニョほど笑えないエッジ効きすぎブラックコメディでした〜。
ベイビーガール=オムファタールのスラングだと知らないと楽しめない。昔のジェーンマーチポジをイケメンが担ってニコールが破滅していくよくあるストーリーを男女入れ替え。破天荒なオムファタールインターンが良い新入社員にしか見えず没入できない。浮気してそうなバンデラス旦那は、まさかの一途。おばあちゃんより年上のニコールがドMヒロインを演じる所が唯一A24ぽさ。ホラ〜すぎん?ニコールが痛いオバサンに見えない。かといってエロいお姉さんでもない微妙な外見が客を困惑させたまま予定調和で進んでいく。多様性時代らしく良き完璧ママの娘はアバズレレズ、オムファタールは家族も虜、キメてクラブ行けば男も魅了、ニコールのキメレズシーンが見せ場なんだろうけど一瞬。ボトックスに気づくのはレズ娘とイケメンだけ(ここ笑う所らしい)ネイティブじゃないのでシニカルに笑えず。。。オムファタールらしく皆をかき乱してドM話を広めて消える。噂を聞いた別のS親父が調教しようとする所で「調教されるならプロに任せるわ」と啖呵が切って(ここ笑う所)ラスト、良夫が貪欲Sを目指す(ここも笑う所らしい)というトンデモストーリー。字幕表現がやんわりなのがつまらなく見える原因かなあ。字幕をもっとあからさまな表現に変えたらシニカルに見えてもう少し笑えたかも。肝のイケメンが両刀シーンを演じてもオムファタールに見えず、一流の会社でタトゥーだらけ??と純日本人には没入しにくい演出でした。ニコール脱げよ〜って所で乳出すけど、明らかな吹き替えでさらにシラケる。A24だからバンデラスが過呼吸になってイケメンが抱きしめる所でヤルかと思いきやそこはなし笑。1番破天荒なレズ娘が1番の理解者というオチが今っぽい所。
熟女エロモノじゃなく両刀イケメンもの。エッジ効きすぎて、これで笑うセンスがある人が羨ましい。前の席のオシャレA24好きカップルがあぜんとしてる光景がA24でした〜。見せ場のクラブでニコールもイケメンも両刀を披露するのが唯一のA24ぽさだけど、今時驚くほどでも無く盛り上がりを期待したまま不時着でした〜。エンドロール後ももしや!と期待したが無かった泣。
女優のあるある言いたい🎵女優あるある、脱がなくてもいい人に限って脱ぎがち。
いや、57才にしては、いいカラダしてると思うよ?でもさー、女優のヌードって、40代が限界じゃね?この前の松たか子なんて、おばさん呼ばわりされていたけど、20代ても通用するくらいイけていたぜ?
ウェディングドレスを着ているシーンは、流石にCGを使っていたかもしれないけどさ?
オジサンが女子高生と恋愛する映画だって、大泉洋だから成立するんであって、片岡鶴太郎だったら、企画事体が成立しない。
で、相変わらず、ぼくの不幸な過去話になりますが、映画館で働いていた時に常連で映画好きな50・60代くらいの女性がいて、ぼくが退社する時に、携帯電話の番号を教えたわけだ。
LINEは死守したが、何度か、映画を見に行かないか?美術館に行かないか?とお誘いがあったけど、断っていました。
生理的というか、本能が受け入れなかったのです。それだけ、年が離れていると何を話せばいいのか想像出来なかったのです。
落語家の鶴瓶は、お婆さんでもイケるそうだけど、閑話休題。
あと、お笑いのエガちゃんが、番組企画で若いセクシー女優にマジ告白する画像あるけど、自分のお父さんくらいの男に告白されるって、恐怖以外の何ものでもないぜ?
エガちゃんのお古の財布をプレゼントされて、泣いて喜ぶファンの女の子と付き合う方がマシだと思うのが世の必然。
さぁ、今回のニコール・キッドマンが20才前後のイケメンインターンの毒牙にかかり、
ニコールのキッドマンが、え!あんな事や!そんな事まで!いやーん、ニコールのキッドマンの経年劣化待った無し!ニコール壊れちゃう〜❤️
と、イケメンインターンの肉欲の虜になり、SMにも目覚める。
あ〜ん❤️ あの、自分だけ先にイキ野郎の旦那と違って、最後までワタシをイカしてくれる〜❤️ もう、やめられない〜❤️
時を戻そう!ちょっと、冷静になって考えてみよう!
誰がこの映画を見たいと思うのだ?アロマ企画のマニアックAVユーザーか?
俺が見た回では、客席に客は俺一人、途中入場もなかった。
今はなき、銀座シネパトスで氷の微笑2を見た時は、三人だったから、三分の一だ!
当然、肉欲の虜になったキッドマンは家族サービスも忘れて家庭は破滅していく。
破滅か再生か、明日はどっちだぁー!ジャカジャーン!!
ばるぼらの二階堂ふみは脱いで成功だった!可愛いおにゃのこが脱ぐ時代になった!映画界の夜明けぜよ!
名は秘すが、脱がなくてもいいのに、脱ぎまくる女優がいてさー!あれは迷惑だったなぁ?
というわけで、この映画。トム・クルーズと鶴瓶にだけお勧めです。A24は、今までの儲けがこの映画で帳消しになったNE!?
そんなに
人は皆つまらない存在
大人達さすが 若造それまで…
犬になりたいんかな?
ベゾスっぽいヤリ手熟女CEOロミーは演出家のバンデラスな夫との性生活に不満を抱いていた。
そこに一見好青年っぽい若手インターンが表れて不自然な程急速に道ならぬ関係に陥る・・・って何の捻りもない不倫劇。
限られた時間とは言え不倫関係になる経緯が嘘くさいし、男側が主導権握る際に一々関係をバラすぞ的な卑怯な人間性に見てて苛ついてきた(脅迫されるのもドM的には堪らんのかもしれんがw)
そんなに犬になりたいならノルウェー映画:犬人間みたく犬の着ぐるみでも着てはどうだろうかと提案したい。
何が言いたい映画なのかな?という思いが消せない
主演のニコール・キッドマンが、ヌードを出し惜しみするのかな?と思っていたけれど、終盤でフルヌードになりました。
相変わらずお綺麗ですね。
娘役のエスター・マクレガーが可愛いです。
映画としては、面白くない訳ではないけれど、何が言いたい映画なのかな?という思いが消せない。
女性が男性の支配下になる、潜在的にその願望がある、という映画を今さら作って、どうしたいのでしょうか。
Orgasm
CEOとインターン生のドロドロしたドラマという情報のみ携えて鑑賞。
これPG12だよな?と思うくらい初っ端からぶっ飛ばしていきますが、恥部はほぼ映してないのでPG12どまりだったのかなと思いました。
ちょっとしたライン超えをしてしまったがためにロミーが性欲に溺れていく様子はとても丁寧に描かれており、徐々にブレーキが踏めずにいけない事だと分かっていてもフルスロットルでペットになっていくという悍ましい様子も余す事なく写されていたのは絵面的にインパクト大でした。
旦那との性行為を断るところなんかは熟年夫婦だからこそいつまでもベタベタできない、という感じで落ち着くのかなと思いきや、あんたで気持ちよくなったことない!と見事なアッパーをかましてくるのでここは既婚者でもなんでもないですが、強烈にグサっときました。
サミュエルに何か策や理念なんかがあれば色々と考察しながら観れるんですが、初っ端からCEOであるロミーに馴れ馴れしくつっかかりますし、ポスターにあるように挑発的な態度を取ったりしますし、シンプルに目上の人にする行動では無いなというところに拒否感が生まれていました。
ただ、それ自体が今作のシステム的なものでもあり、偉い立場の人間でも若手の社員の告発なんかで一気に地獄へ落ちていくというバランスの悪さもしっかり描いており、そう考えるとある程度は偉い立場の人がしっかり意見してくれる方が助かるし、導いてくれるとなおありがたいなと改めて考えさせられました。
サミュエルの後日談で日本のカワサキに行ってもらったという終盤は、おいおいおいあのクソ野郎を日本に寄越したってのか?やめてくれよ…というなんとも言えない気持ちになりました。
ロミーがここからなんとか立ち直ってくれれば…という感じで終わっていくので、全編振り返ってみても想像以上に昂るシーンは弱かったかなと思いました。
ニコール・キッドマンはもう熱演も熱演で、全部脱いで暴れ散らかすほどのセクシー表現では無く、淡々とそれでいて悦に浸るような満足感を同時に顔と身体に出すという難しい役所をやり切っていたのでお見事でした。
ハリス・ディキンソンはこれまでの作品をうまいこと融合しつつ、そこからクズ野郎の成分をより濃くしたような演技で不快感マシマシだったのもパワーがあったなと思いました。
あと些細っちゃ些細な問題なのですが、クラブのシーンは割とチカチカするので、そういうのに弱い方はちょっと気をつけて観た方がいいかもです。
良くも悪くもA24らしいなんとも言えない味、それでいてあらすじやポスター以上の事が起きないという、やってる事は毒っけ満載だけど物足りなさが際立つ作品でした。
ポスターのひざまづいてるロミーが1番の見どころかもしれません。
鑑賞日 3/31
鑑賞時間 9:20〜11:15
座席 C-9
日本ではこれを演じられるのって・・・米倉涼子さんくらいかな。
エロティックスリラーではない!
映画の日ということで鑑賞してきました。
ニコール・キッドマン主演のエロティックスリラーという言葉に惹かれて。
しかし、スリラーという要素がどこにあったのだろうか?
ニコール・キッドマン演じるCEOロミーのマゾヒストな性癖を見抜き、その願望を満たすインターンの青年サミュエルとの単なる歳の差不倫を描いたに過ぎないのでは。
そして、アントニオ・バンデラス演じる夫ジェイコブも悪い意味でいい人過ぎる。
皆さんがレビューで書かれているように、結末も含め中途半端に思いました。
こういう話を映画的エンタメに昇華させるにはもう少し狂気じみた演出が欲しかったなあ。
サミュエルをもう少し変質者っぽくするとか、サミュエルとの関係を知った部下エスメに性的に支配されるとか、夫ジェイコブが嫉妬深い性格で妻ロミーの素行を調べるとか、何か振り切ったものが欲しかった。
マゾヒストの描写もミルクを犬のように飲むのが限界とは。。
地位も金も幸せな家族もある欲求不満な人妻が、若いイケメンに手を出し性的快楽を満たされ一時的に彼との関係に溺れたが、結局また元のさやに納まったって感じでした。
まあ、ロミーの脳内にはサミュエルが居座り続けているわけですが…。
あと、サミュエルとの関係をネタにロミーを支配しようと近づいたジジイを一蹴するところは良かったです。
さすがに誰でもいいという訳ではなかったんだなと。
そして、現在57歳で実績もあるニコール・キッドマンがこういう性を描いた役を身体を張って演じきったことは凄いなと感心しました。
髪型のせいで私の頭の中で時々中島みゆきさんが重なりましたが。
ニコール・キッドマンの熱演について来られなかったメインテーマ
【イントロダクション】
ニコール・キッドマン主演。大企業の女性CEOが、若きインターンの男性との〈秘密の誘惑〉ゲームを通じて、自らの隠された欲望に目覚めていく過程を描く。
監督・脚本は、女優としても活躍するオランダ人ハリナ・ライン。主演のニコール・キッドマンは、第81回ヴェネツィア国際映画祭にて最優秀女優賞を受賞。
【ストーリー】
ニューヨークで配送企業の女性CEOとして成功を収めるロミー(ニコール・キッドマン)。舞台演出家である優しい夫のジェイコブ(アントニオ・バンデラス)、娘2人。彼女は誰もが羨む人生を手にした。しかし、彼女な夫とのSEXに満足出来ず、物足りなさをポルノで満たす日々を送っていた。
ある日、ロミーは出社前に飼い主が誤ってリードを手放してしまい暴れ回っていた犬を見事な手捌きで手懐ける若い青年を目にする。
出社後、オフィスで仕事をするロミーの前に、従業員のエスメ(ソフィー・ワイルド)からインターン達を紹介される。その中の1人に、朝見かけた青年、サミュエル(ハリス・ディキンソン)が居た。
エスメの発案によって、インターンの教育係(メンター)としてロミーもまた彼等が指名出来るよう手配しており、サミュエルはロミーを指名する。
最初は嫌々引き受けたに過ぎなかったロミーだが、サミュエルから「本当は命令されたいのでは?」と挑発とも取れる問いを投げかけられ、次第に彼を目で追うようになる。
バーで仕事の打ち合わせをしているロミーの前に、同じ店に来ていたサミュエルの差し入れでミルクが振る舞われる。彼の仕業と理解しつつ、ロミーは運ばれてきたミルクを飲み干してみせる。会計中のロミーの背後から立ち去るサミュエル。去り際に彼はロミーに告げる。
「いい子だ」
サミュエルの行き過ぎた態度に腹を立てつつ、彼から目が離せなくなっていたロミーは、会社の面談室に彼を呼び寄せ問い詰める。しかし、怒りから部屋を後にしようとする自分を引き止めたサミュエルを前に、ロミーは彼と口付けを交わしてしまう。それが引き金となり、ロミーとサミュエルのパワーバランスが逆転。
やがて、サミュエルとの秘密の関係をスタートさせたロミーは、私生活と彼の命令で犬のように振る舞う日々を両立させる快感に酔いしれていく。
【感想】
※作品が性愛に関するものである為、この先下品な言い回しや過激な表現が多々あるかと思われます。
結論から先に述べると、「夫婦生活を上手く続ける上で、互いの性的嗜好への理解は必要不可欠」という事だろう。でないと、目の前の相手はプレイ中に別の人物を思い浮かべる事になってしまう。そんな皮肉の効いた、あのラストは強烈だった。
50代半ばのニコール・キッドマンの体当たり演技の数々が素晴らしい。特に、サミュエルとの秘密の関係を始めた中で、彼の前で素肌を晒すシーンは、サミュエルが告げるように「きれい」で若々しかった。
CEOとして大勢の社員を率いる中で、サミュエルの前では抱え続けてきた「支配されたい」というマゾヒズムを加速させていく。サミュエルに主導権を握られ、時に困惑しながらも彼との関係に快感を見出し、抜け出せなっていくロミーは、時に少女のような輝きすら放っていたように思う。
ただ、そんなニコール・キッドマンの熱演に惹きつけられつつ、私の中でずっとある疑問が渦巻いていた。
「コレって割とノーマル寄りな性的嗜好じゃない?」
そう、ロミーのマゾ性やそれを満たす行為のどれもが、彼女が思うより大したものではない、大分マイルドなものだと思ったのだ。過激な主従関係による快楽を描こうとする割に、その表現自体は、悪く言ってしまえば“緩い”のだ。
サミュエルに初めてオーガズムを経験させられる瞬間も、安ホテルの絨毯に四つん這い(やがてうつ伏せ)にされ、手マンで潮吹きさせられるというのは、SEXのプレイとしては割と普通の事なのではないかと思えるのだ。
作中一番過激なSM行為が、皿に注がれたミルクを四つん這いになって舐めて飲むというレベルなのが、本作の底を示しているようで残念だった。
私の昔話になるが、大学時代に友人の彼女から聞いた女子会での生々しいSEXトークでのマゾ性愛の方が、余程過激に思えたくらいだ。彼女の話によると、同じ学科に美人で大人しいと評判の女性が居たのだが、その女性は彼氏とのSEXの際、鏡の前で首を絞められ、立ちバックで突かれる自分の姿を目の当たりにする事でオーガズムに達するというのだ。“首絞め”という相手に生殺与奪の権利を握られた中で、動物のように後ろから激しく貪り突かれる自分の姿を鏡で見るのが堪らない快感なのだそう。
こういう話を知っていると、クライマックスで「“マゾ性愛”なんて男の妄想だ!」と怒鳴りつけて否定してみせるジェイコブと、「それは古い価値観ですよ」と一蹴するサミュエルの姿に感じるものがあった。
というのも、本作で扱われている問題の本質には、ジェイコブの優しすぎる性格が多分に影響しているのは間違いないからだ。
オープニングから、ロミーが騎乗位でジェイコブの上に跨るSEX描写で幕を開ける。ジェイコブが果てた事で行為は終わり、彼はピロートークで満足そうにロミーに愛の言葉を囁く。騎乗位という女性が男性の上に跨るという構図は、ロミーのCEOという立場に象徴される“女性優位”のメタファーだろう。実際、騎乗位は女性側が快感をコントロールしやすい体位だそうで、もしかすると彼女は、優しすぎるジェイコブとのSEXで少しでもオーガズムに達しようとしていたのかもしれない。
ロミーはそうしたノーマルなSEXに常日頃から物足りなさを抱いており、夜中に寝室を抜け出しては、ネットで男性優位の主従モノのポルノを漁って、1人慰める。
サミュエルとの関係性に戸惑いつつ、ジェイコブとも良好な夫婦関係を続けようと努める中で、ある晩、ロミーは彼に「ポルノを観ながらしたい」や「目隠し(枕で顔を覆う)した状態でしてほしい」と、これまで隠してきた本音を交えてリクエストする。しかし、当のジェイコブは「悪者になったみたいで出来ないよ」と拒否してしまう。
先述したが、夫婦生活を上手く続ける上で、互いの性的嗜好への理解は必要不可欠なのではないかと思う。しかし、せっかくロミーが勇気を出してリクエストしたのに、ジェイコブは彼女の嗜好を理解しようともせず、それを拒否してしまう。ならば当然、ロミーは自身の隠れた欲望を刺激し、満たしてくれるサミュエルの方に流れるというもの。
そもそも、ロミーをはじめ、マゾ性愛を求める女性の多くは、あくまで信頼の置けるパートナーから攻められる“安全性の保証されたマゾ性愛”を求めているのであって、本当に見ず知らずの他人から攻められたいという人は稀であろう。
優しすぎるジェイコブに不満を募らせ続けたロミーは、遂に「あなたとのセックスでオーガズムに達した事がない!これまで一度も!」と本音を暴露する。ジェイコブにとっては、これまで19年連れ添ったパートナーからの全否定は耐え難かっただろうが、この時点でちゃんと話し合いをしていれば、あのラストは避けられたかもしれない。
プレイ中断の合言葉にされ、妻の性的嗜好を上書き保存されて心を奪われたままのジェイコブは不憫ではあるが、全ての女性が“優しさのあるSEX”を求めるとは限らない(勿論、お互いに話し合いや試行錯誤を重ねた上で、ベストなSEXを模索した果てに、相手を気遣った優しさのあるSEXに辿り着くならば構わないだろう)。
ラスト、ロミーとの関係性を修復した(と思っている)ジェイコブは、彼女の要望に応えて、うつ伏せの彼女に手マンをして満足させている。しかし、ロミーの頭の中にあるのは、サミュエルの従順な犬として振る舞う自分の姿なのだ。
「私の“心”だけは、この先もずっと貴方のものよ」と言わんばかりの、恍惚に満ちたロミーの表情。彼女の中では、最高のSEXパートナーはしっかり上書き保存されているのだ。
よく“男性は「名前を付けて保存」、女性は「上書き保存」”という言い回しをする。そして、“男性は相手の「身体」を奪われる事に、女性は相手の「心」を奪われる事に嫉妬する”とも言う。辛うじて、ジェイコブはロミーの「身体」だけは取り戻せたかも知れない。しかし、彼女の「心」はもうサミュエルのものなのだ。
そして、ジェイコブがこの残酷な真実に気付く事はないのだろう。あゝ無情。
そんな本作を彩る音楽が素晴らしかった。特に、作中度々流れる男女の官能的な息遣いが響くメインテーマが秀逸。
【総評】
ニコール・キッドマンの熱演の素晴らしさ、官能的な印象を与えるメインテーマは素晴らしかった。しかし、メインテーマとなる「マゾ性愛」の描写については、レーティングを引き上げる事になろうとも、もっと攻めた内容にしても良かったと思う。それこそ、常人には理解不能な程に。
と、これまで散々語ってきたが、私は年齢=彼女居ない歴(31年)のバキバキ童貞である。
少し難解なのは考えすぎ?
すべてがプレイに見えてしまうのは、心が濁っているからなのだろうか
2025.4.1 字幕 TOHOシネマズ二条
2024年のアメリカ映画(114分、PG12)
大企業のCEOとインターンが真逆の支配構造の中で愛欲に溺れる様子を描いたスリラー映画
監督&脚本はハリナ・ライン
原題の『Babygirl』は、劇中では「良い子だ」と言う意味で使われていた
物語の舞台は、アメリカのニューヨーク
ロボットシステムを用いたオートメーションを実現させた「テンサイル社」では、インターンを導入し、積極的に活動を促していた
今回のインターンは、社員がメンターとなって相談役となって教えることになっていて、CEOのロミー・マシス(ニコール・キッドマン)もそのリストに入っていた
ある日のこと、ロミーは道端で大型犬が暴れているのを目撃する
人に危害を加えるかと思われたが、偶然そこにいた若者があっさりと大型犬を手なづけてしまった
その若者は、ロミーの会社のインターンのサミュエル(ハリス・ディキンソン)で、彼はメンターリストからロミーを見つけて、彼女を指名していた
物語は、ロミーが渋々サミュエルのメンターを引き受け、そこで過ちが起こってしまうところから動き出す
場の雰囲気に流されてキスをしてしまったロミーは、その感情を否定するものの、自分の立場を危うくしてしまう
サミュエルは破滅願望があるのかと聞くものの、実はロミーは「被支配衝動」を持っていた
サミュエルはそれに気づき、四つん這いにならせたり、そのまま皿のミルクを飲ませたりしていく
そんな中で、性欲が爆発し、これまでにないオーガズムを感じることになるのである
これまで、無理難題を突破して会社を大きくしてきたロミーだったが、当初は「その気の強さ」が採用の理由だった
その後、企業から飛び出して今の地位に着くのだが、その過程を知るのが取締役になっているセバスチャン・ミセル(Vitcto Slezak)だった
彼はロミーとサミュエルの情事を知って揺さぶりをかけるものの、ロミーはそれを綺麗に跳ね除けている
もしかしたら、ロミーの反発力を知る彼が仕掛けたのではと思わせたりもする
ロミーと夫ジェイコブ(アントニオ・バンデラス)との性的不仲まで知っているとは思えないが、それが遠因であるとは思う
そこから、若い男が登場し、ロミーの本質を看過したという流れを、サミュエル本人の資質で行ったと言うのは無理があるようにも感じた
メンターにロミーを組み込んだのはマーケッティング部のヘイゼル(レスリー・シルヴァ)だが、そのステージを用意した黒幕がいて、それがさらに会社を強固にするための経営判断だとするならば、この老人の先見の明は鋭いなあ、と思った
いずれにせよ、一連の事件もロミーの反発心を利用したプレイのようにも思えるし、サミュエルもそれに巻き込まれただけのように思える
彼自身がいきなりCEOに対して不躾な発言をするのも違和感があるので、誰かのアドバイスだったのかもしれない
状況を利用してロミーを追い詰める役割には秘書のエスメ(ソフィー・ワイルド)も加担していたが、彼女の言動も個人の考えのようにも思えない
そう言った意味において、壮大な仕掛けがあって、それぞれが必要な役を演じたのだろう
映画で劇が引用されて、それが自分に重なって見えるなども含めて、凝りに凝ったシナリオをミセルは仕組んだのかな、と思った
期待度○鑑賞後の満足度△ いじりまくっているニコール・キッドマンの顔が徹頭徹尾怖い。抑えきれない官能の波に思わず上げてしまう獣のような喘ぎ声は確かに演技賞ものだけど...
①殆ど自虐的とも云えるボトックス注射のシーンに、いじり倒した顔のアップ(やや崩れかけた輪郭や凸凹のおでこや頬、固まったような笑顔、変なところによる皺)や全裸(顔だけではなくて豊胸手術もした?)をさらしたなりふり構わぬ熱演は却って天晴れと言っても良いかもしれないけれども、何か違うような気もする。
最早『ムーラン・ルージュ』や『ピースメーカー』の頃の輝くような美貌が思い出せないくらいの変わり様。
②それに、幼児に対する性的虐待とかのような犯罪を犯しているわけではなし、CEOであろうと大統領であろうと普通のサラリーマンであろうと、妻であろうと母であろうと、密かにエッチな妄想やインモラルな妄想は誰でも持っているわけで(他人に迷惑や危害を与えない範囲であれば行動に移しても別に悪いこっちゃないと思うし)、大仰な音楽を使ったりイヤに勿体ぶった演出をしているけれども、だから何?という印象。
③年下の男に溺れていく中年女の妄執ということでは、ビィスコンティの『夏の嵐』の方がもっと心に訴えるものがあった。
④代わりにイザベラ役の女の子のかっちりした美貌の方が際立っており彼女の今後に期待したい。
ドッグヴィル
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