劇場公開日 2025年3月28日

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「葛藤描写不足でドキドキできず」ベイビーガール 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5葛藤描写不足でドキドキできず

2025年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

コロナ以降、ハリウッド大スター作品が圧倒的に足りていないと思う中で、ニコール・キッドマン作品とあって、即観賞を決めた。

【物語】
ニューヨークで気鋭の新進企業CEOとして手腕を発揮するロミー(ニコール・キッドマン)。家庭では舞台演出家の優しい夫ジェイコブ(アントニオ・バンデラス)と2人の娘に恵まれ、仕事、私生活とも完璧な人生を過ごしていた。

ところが、あるときインターンとして会社に現れたはるか年下の男サミュエル(ハリス・ディキンソン)と2~3回言葉を交わしただけで強く惹(ひ)かれている自分に気付く。サミュエルにロミーのひそかな欲望を見抜かれたからだ。 サミュエルは立場の隔たりがあるにも拘わらず、彼女に対して挑発を仕掛けていく。ロミーはサミュエルの非常識な行動を口では非難するが、抗うことができなかった。

【感想】
序盤は悪くなかった。、でも後半は正直がっかりした。
何を期待していたかと言うと、それなりの性的興奮、ドキドキを味わえるかなと思っていた。そういう意図で作られた作品だと思うし。

人には倒錯した欲望があるわけだ。一番端的に言えばSMの世界なわけだが、実生活でSMプレイを楽しんでいる人は少数派だと思うけど、ロミーのようにこっそりその手の動画を楽しむことがある人や、「実は興味ある」という人は少なくないのでは? でなきゃ、こんなに世の中に氾濫しなかろう。

それは決して“変態”ではなく、おそらく心理学的にも説明できる人間の欲求なのではないかと思う。それを刺激する作品なのだろうと期待してみたわけだ。

本作の設定は社長と入社も果たしていないインターン。特に説明は無かったが、インターンと言うからには当然ロミーの会社に入社を希望している若者のはずで、天と地ほどの圧倒的格差のある立場にいる2人。その立場が逆転してしまうというのだから面白い。 はずだった。

何が不満だったかというと、ロミーの振る舞いのリアリティー。別に直接的性的描写を期待していたわけではなく、精神的ドキドキをを味わえるかと思っていたわけ。それが叶わなかった。

人間ダメと分かっていても、欲に負けることはあるわけだ。 「食欲に負ける」が一番身近だろう。 「性欲に負ける」は犯罪だったり、人間関係を壊したりするので、普通は抑制するのだけど、普通の人はそう簡単にチャンスが無いだけかも知れない。 目の前にニンジンをぶら下げられれば俺だってくらい食らいついちゃうかも。 ことフィクションの世界では「欲望に負ける」は良いとしても、葛藤が足りな過ぎる。 「こんなのダメ」と「溺れたい」の心中のせめぎ合いが有ってこそのドキドキでしょ!? AVならそんなところはすっと飛ばして直接的映像で観る者を刺激すれば良いのだけど、本作ではそんな過激シーンは無いし、期待もしてない。それに代わるものとして心理的にドキドキさせてくれる展開が必要なのに全然足りない。

加えて、家族・周囲に知られ始めてからのリタの言動もあまりに子供染みてて、冷めてしまった。まさにBaby girlでした。

また、ニコール・キッドマンに惹かれて鑑賞した作品ではあるが、さすがに本作のキャスティングには年齢が高過ぎないか? 57歳という実年齢からは想像できないほどキレイなのだけど、やはり衰えは隠せない。熟年同士の恋なら問題無いけど、20代の若者が、自分の自由になるとしても50代後半の女性と楽しめるか・・・
40代くらいが本作の狙いとピッタリだったのでは?

どうしてもニコールを使いたかったなら、なおさら心理的揺らぎや心理的に崩れて行くなかでも大人の女性を描くべきだったと思う。

泣き虫オヤジ
YOUさんのコメント
2025年4月3日

ニコールのプライド的なモノが邪魔した感じですね(笑)
「ただのエロでなく…うんたらかんたら」と注文を付けたような…
同感です。

YOU