「1950年代の「クィア」の意味を調べないと、ちょっと混乱してしまうかも」クィア QUEER Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
1950年代の「クィア」の意味を調べないと、ちょっと混乱してしまうかも
2025.5.12 字幕 MOVIX京都
2024年のイタリア&アメリカ合作の映画(137分、R15+)
原作はウィリアム・S・バロウズの小説『QUEER』
クィアを自認する男がある青年の本心を知るために共に旅行に連れ出す様子を描いた恋愛映画
監督はルカ・グァダニーノ
脚本はジャスティン・クリツケス
原題の『Queer』は、1950年代においては「異性愛者以外を指す蔑称」、現在は「LGBT」以外の性的自認のこと
物語の舞台は、1950年代のメキシコシティ
退役軍人で駐在員のウィリアム・リー(ダニエル・クレイグ)は、クィアが集うバーに入り浸っていた
同僚からは「すぐに寝ようとする」と距離を置かれていたが、リーは構うことなく、自分の生きたいように生きていた
ある日のこと、路上の闘鶏群衆の向こうに、凛々しい青年・ユージーン・アラートン(ドリュー・スターキー)を見つけたリーは、一瞬で心を奪われてしまった
親友のジョー・ギドリー(ジェイソン・シュワルツマン)に「彼はクィアかな?」と聞くものの、「直接聞けばいい」と諭されてしまう
物語は、何とかしてお近づきになろうとするリーが描かれ、本心が見えづらいまま、ユージーンとの関係が動いていく様子が描かれていく
3章+エピローグの構成で、第 1章は「リーとユージーンの親睦の深まり」、第2章は「南米旅行の始まり」、第3章は「エクアドルの儀式」、第4章は「その2年後」と言う感じに紡がれていた
第 1章でおおよそ半分くらいの時間を要し、このもじもじ系ラブロマンスが続くのかと思ったら、第3章からは一転して精神世界の話のようになっていた
本心を知りたいためにエクアドルに生息する謎の植物を探し求めるのだが、そこで遭遇する儀式とその後の作用と言うのが奇抜な作品となっている
前半でも、自分の体が幽体離脱してユージーンにさわろうとしたりするシーンが描かれ、良いおっさんが若者に恋をすると言うプロットと、生々しいセックス描写がOKなら大丈夫なのだろう
個人的にはそこまで抵抗はない方だが、のっけからイチモツ丸出しのシーンが連発するので、なかなか強烈だなあと思って見ていた
物語の核は「相手の本心を知れたら」と言うもので、謎の植物によって、テレパシーができると言うトンデモ系のラブロマンスになっていた
リーはその弊害を理解していなかったのだが、儀式によってユージーンもリーの本心というものが見えるので、それをおぞましく感じて距離を置いたのかも知れません
いずれにせよ、クィアというものの言葉の定義を「1950年代」として考えなければならない作品で、現在の「LGBT」以外の姓的自認と考えてはいけない
元々は「不思議な」「風変わりな」という意味合いで、「異性愛以外のもの」を指していた言葉なので、現在のクィアの映画には見えないところだろう
映画内でもある程度は仄めかされているので問題ないと思うが、そのあたりの言葉のタイムトリップが必要なので、知識のダウングレードが要する映画だったのかな、と感じた
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