「斬新で独創性が凄い。ドラマ的にも濃くて人間の郷の深さを炙り出す。」ブルータリスト 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
斬新で独創性が凄い。ドラマ的にも濃くて人間の郷の深さを炙り出す。
野心家が考え抜いた奇抜さが光る。
その点は大いに認めます。
この映画は比較的に低予算で作られたと言う。
それにしては凝ったカメラワークだ。
《優れてる点》
①タイトルロールのカッコ良さ。
まるで書籍のレイアウトみたいな凝った文字が横に流れる所、
グラフィックデザインとして面白い。
②音楽・・・場面、場面を盛り上げ、先導して驚きを誘う。
正にラストのヴェネツィアで行われる現代建築のビエンナーレ展・・・
そのオーケストレーションの華やかさ、
そしてエンディング曲ははガラリと現代的なテクノポップで
ガンガン鳴らして盛り上げる。
実に見事なものだ。
《否定的な気持ちになる点》
①虐げられてきた民族の持つ被害者意識は当然だと思う。
②著名な建築家ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)の、
その建築家としての凄さが見えてこない。
★トートが架空の人物であり、映画はフィクションであることから、
『TAR』と比較されがちだが、ター(ケイト・ブランシェット)は、
トートの数倍、天才肌で、実際天才に見えた。
エイドリアン・ブロディのどこに天才のカリスマ性があっただろう?
★☆予算の関係で勿論実際に建築することは叶わず、殆どがVFX。
一番肝心の後半の殆どを費やす、恩人の大富豪のハリソン・ヴァン・ビューレン
(ガイ・ピアース)が母親を記念して建築する
コミュニティセンター。
ネタバレになるがその完成した姿は、ナチスの強制収容所を模した建築物・・・
と言うのだが、31メートルの高さの吹き抜けにで天窓もあり光も差し込む。
そこが強制収容所だと聞かされても、とてもそうは見えないのだ。
ブルータリズム様式建築の素晴らしさが、浮かんでこないのだ。
❷何より驚いた点。
妻のエルジェーベト(フェリシィ・ジョーンズ)が、10数年ぶりの再会で、
いきなり車椅子に乗って現れたのにも驚いたが、
もっと驚いたのは、恩人のヴァン・ビューレンの家に乗り込んできて、
「お父さんは“レイプ魔“」と喚き散らす所。
1911年生まれなら、トートは30歳を大きく超えていて、自由恋愛であり、
どちらが誘ったかも、ゲイだとか?恋愛感情があったか?とか、
レイプシーンなんてまるでないし、これは夫からの情報なのか?
それにしても伏線となるシーンがほしい。
あまりにも唐突で恩人に失礼で、“恩を仇で返す“そのものではないのか?
これが顕著な欠点です。
❸アカデミー賞主演男優賞を受賞したブロディの
スピーチの長さと内容のなさ。
好きな点や嫌いな点を挙げできましたが、
映画館で観て良かった事は確かです。
3時間半の上映時間と、間にあるインターミッション。
後半は甘いコーヒーとポップコーンを食べながら、
リラックスして観れました。
思ったより難解な映画ではなかったです。
ただ勿体ぶった、ハリソン・ヴァン・ビューレンとか、
(貴族と書いてあるのもあって、アメリカに貴族吐いないですし、
東欧から亡命でもしたのだろうか?
トートの妻のエルジェーベト。エリザベスでダメなの?
全てにおいて、気取り過ぎてるよ。
でもガイ・ピアースはとても素敵だったし、
フェリシィ・ジョーンズの頑張りにも目を見張った。
作曲賞と撮影賞は、おめでとうと言いたいです。
琥珀糖さん
こちらこそ有難うございます。
私にはそう感じ取れた、だけなので間違っているかも知れません。
ハリソン、家族や他者に公にされる事が耐えられなかったのでしょうね。
琥珀糖さん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
何処へ向かうのラースロー、( その姿を上から見つめていたハリソン )、後を追うんだ、ん・・・ん・・・ 👀 💦 でした。
ハリソン、恐らくそうだと思われます。
もう終わりだ、と思ったのでしょうね。
あー、ティモシーがオスカー取れなかったショックを琥珀糖さんと分かち合いたい😭…。
あんな大事なとこでガム噛むとか、エイドリアンの緊張感のなさとかガッカリしましたよー。😩
ティモシーが取ると思ってたのかな?ティモシーはボブディランが憑依してましたからね。準備万端で臨んだ彼を、もっと評価してほしかったです😭…
琥珀糖さん
私の理解が間違っているかも、ではありますが、大理石採石場に出向いたその夜、ラースローの後を追ったハリソンの取った行動が、そう( レイブシーン )なのではないでしょうか。
妻のエルジェーベトが、貴方( ラースロー )のやっていた事は全て知っているとベッドで告げていたシーンがその伏線になっていたのでは、と考えています。
唐突な見せ方ではありましたが。
我慢ならない怒りを表現したかったのかも知れません。
共感ありがとうございました。
そうなんですよ、時々繋がりがよくわからなくて、いきなり感が否めませんでした.いらないシーンと必要なシーンのストレスがなければ、作品賞が見えた作品でしたのに…