「 天才建築家と傲慢なパトロンの確執…という「フォックスキャッチャー...」ブルータリスト sugsyuさんの映画レビュー(感想・評価)
天才建築家と傲慢なパトロンの確執…という「フォックスキャッチャー...
天才建築家と傲慢なパトロンの確執…という「フォックスキャッチャー」的なストーリーよりも、建築そのもの(とその建造過程)こそがこの本作の主役。それぞれに悩みや欠点を抱えてドロドロとした人間模様を遥かに見下ろし、大地に屹立する建築の、なんと荘重な姿!作中で建築家の理想、として掲げられる以上の偉容で、抜群に決まった劇伴も相まって、この3時間超のドラマを一瞬も弛緩させない迫力に満ちている。冒頭の移民船の狭苦しさから、外へ出て目にする逆さまの「自由の女神像」のシーンが示すように、緊張と解放、明暗のコントラストが凄まじい。冒頭は左から右へ、終幕ではななめに流れるスタッフロールも実に洒落ている。おそらく前述の理由で人間ドラマとしては敢えて描き切っていない部分もあるが、ガイ・ピアースの暴君ぶりは劇中随一の怪演として褒め称えられるべき。
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