「到達点を見据えた人生」ブルータリスト Eijiさんの映画レビュー(感想・評価)
到達点を見据えた人生
壮絶な体験をかい潜り、生涯を通じて自身の信念を貫いた建築家の歴史。所々でみられた車両、列車、ゴンドラが突き進む様子を乗っている人の目線でみせた描写が、彼が邁進した生涯を象徴していたでしょうか。
途中、離れて暮らすことになる妻から「狂気に呑み込まれないで」と懇願された主人公が印象に残りました。そして、まんまと呑み込まれてしまったか…と落胆させられる後半。しかし、それは勘違いであったとエピローグで気付かされます。彼は、「なぜ建築家になったのか」という問いに明快に答えた、あのときの想いからブレることはなかったし、あのときの彼のままで生涯を奔走していたのでした。
エピローグの終わり方が爽やかで気持ちよく鑑賞を終えられました。30年ほど前に鑑賞した「ダンス・ウィズ・ウルブズ」の4時間バージョンを観て以来の長編でしたが、作品自体もスタイリッシュであったせいか、あっという間のエピローグでした。
そして、「決断の街」を舞台にしたこうした歴史が、「フィラデルフィア」につながってるのか等と感慨にふける、そんな作品でした。
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