劇場公開日 2025年1月31日

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「安楽死を認めたい気持ちと認めたくない気持ち」ザ・ルーム・ネクスト・ドア おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5安楽死を認めたい気持ちと認めたくない気持ち

2025年2月28日
iPhoneアプリから投稿

むずい。
とても知的な作品。
全てのシーンや会話に何かしらの意味があるような気がするが、自分の読解力だといまいちはっきりせず、もやもやすることが多かった。

あと、ずっとミステリーな雰囲気を漂わせているのに、「実はそういうことだったのか!!」みたいな展開がなくて、それが逆に新鮮に感じた。

最後まで観ると、この映画は「ミステリー(最後に真相がわかるドラマ)」ではなく「「サスペンス(最初から真相がわかっているドラマ)」だったことがわかる。

自殺することを知っていて、それを止めなかったことを隠蔽しようとする人間の話。
だんだんと犯人視点で描かれるサスペンスになっていく。
後半、主人公が警察に盲点を突かれるところがサスペンスっぽい。
映画を観てると「ネクストドアじゃないじゃん」と思っていたが、警察との会話で「ネクストドア」が重要なキーワードだったことがわかる(「ネクストドア」にはもっと深い意味があるんだろうけど… )。

「安楽死」について考えさせられる内容だった。
主人公は癌で苦しむ友人を手助けするわけだが、自分も昔、同じような病気だったので、この友人の死にたがる気持ち、わかる気がしてしまった。
入院中に「あそこから飛び降りたら死ねそう」みたいなことを考えていたのを思い出した。
あの頃は精神がおかしくなっていたので…

後半、警察は主人公に「自殺は犯罪。許さない」と発言。
これが今の社会の考え方だと思うが、本人が強く望むなら好きにさせてあげても良いのでは?とチラッと思わないこともない。

一方で「尊厳死を認めることが本人の意思の尊重でもあるし、社会の負担を減らす意味にもなる」みたいな意見も出てきたと思うが、こちらについては反対したい気持ちがある(矛盾しているように見えるかもしれないが)。
この意見が出てきた時に、2022年公開の日本映画『PLAN 75』を思い出した。
個人が積極的に望むならともかく、国にとって負担になるからという理由で、それを本人に促そうとする動きは許容し難い。

おきらく