「ちょっと人工的だけど、とても品のいい映画」ザ・ルーム・ネクスト・ドア mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと人工的だけど、とても品のいい映画
ちょっと人工的だけど、とても品のいい、いい映画を見たな、と思った。
自分自身も自分の死を受け入れる時が近い(まだ先だけど、若い時と比べて、という意味で)ので、とても切実さは感じられた。その意味では、先日見た「敵」を思い出す。
会話劇的なところもあり、会話のカットバックが印象的。
小津映画もそうだけど、小津映画に限らず、会話のカットバック(それぞれを交互に映す)って、映画手法の中でも、白眉の発明だったよな、と改めて思う。
で、それがとても論理的で倫理的で、でも過激的でもあり、面白く魅力的。ふと大島渚の映画を思い出す。
そんな会話劇がジュリアン・ムーアとティルダ・スウィントン(この人は初めて。すごくいい)の揺るぎない演技のなかで展開される。
何か結論があるわけでなく、終了は死、それも尊厳死。
映像が美しく、出てくる建物、服装、街並み、など洗練されている。特に終のすみかになる別荘は、美しい。
音楽もゆったりして全体に流れているけど、殊更盛り上げるものでなく、寄り添う感じで好感。
いい映画体験でした。
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