「生者にも死者にも雪は降り積もる」ザ・ルーム・ネクスト・ドア めるさんの映画レビュー(感想・評価)
生者にも死者にも雪は降り積もる
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映画を観ながら若くして病気になった友人を思い出した。亡くなった時に、「まだ若かったのにかわいそうだね。」と言う人もいた。本当にかわいそうなのだろうか?可哀想と言うこと自体が失礼な話なのではないのか?一人悶々と考えたが自分自身がなぜこれほどまでにその発言に怒りをおぼえたのか分からなかった。
マーサの癌で生き残ったものは勝者、死んだものは敗者という認識をされる。だから自分は癌より先に死を選ぶという発言を聞き、あの時の違和感は勝者、敗者というカテゴライズされているように感じたために自分は嫌悪感をおぼえたのかと妙に納得した。
自分がマーサの立場なら?イングリッドの立場なら?どうするだろうか。
自分の死は自分で選びたいと願っても痛みを和らげるのみで、安楽死を選ぶことは日本でもできない。以前、難病患者の嘱託死事件がニュースとなり日本でもかなり安楽死については論争が起きた。延命をさせる技術は発展しているのに、死を望む人にはその権利は与えられない。当事者でないともちろん想像できないがなんとも苦しい気持ちになった。
自分がイングリッドならあの提案を受け入れたやろうか?考えても考えても結論は出ない。映画を観終わってからもそのことが頭から離れない。イングリッドはほんまに愛情深く優しい人物で、マーサもまた聡明で思慮深く友人思い。マーサにとっていい最期であったと思いたい。
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