「Close」ザ・ルーム・ネクスト・ドア ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Close
ある程度の年齢を超えるとどうにも自分や他人の死について考える機会が多くなり、近年の高齢化も相まって安楽死を扱ったテーマの作品にはついつい足を運んでしまいますし、今作も例に漏れずでした。
ただこのテーマの作品を観るたびにやっぱ合わないなぁ、死生観が違うんだろうなとなるのがお決まりで、今作も首を傾げながらの鑑賞になってしまいました。
まず本題の安楽死をするから近くの部屋で見守っててというところに辿り着くまでがかなり長かったです。
病気の話ならともかく、ご婦人方のこれまでの人生とかを振り返る様子が延々続くのでなんの話だっけ?となる場面がかなり多く、会話劇としての盛り上がりも無いときたので困りっぱなしでした。
やっとこさ同居が始まるかと思いきや、安楽死するための薬が無い!とヒステリックになるので、これはギャグとして見るのが正解なのか?となってしまったのもあってテーマの重みと不釣り合いな気がして居心地があまり良くなかったです。
よくよく考えたらとんでもないワガママだよなぁとなってからはこの人死なないで欲しいなとはどうしてもならず、安楽死したいのならサッとすればいいのにと人の心無いんかくらいの発言をしてしまいそうでした。
安楽死を見守って欲しいという無茶な願いを受け入れる優しさは凄いなと思いつつも、友情というよりかは義務感での見守りなのかなと思ってしまったのもモヤモヤな点です。
そこからの展開はまだとんとん拍子で進んでいき、安楽死実行、そこからの家族との関わり合い、色々ありながらも警察が来てからガラッと動くのかなと思いきやスーッとエンドロールに突入していくので消化不良感は否めませんでした。
前半の謎会話を減らしてこの後の展開を増やしてくれたら良かったのに…と心から思いました。
全体的に色合いはとても綺麗ですし、背景の小物なんかもかなりこだわっているんだろうなというのは強く感じられました。
好みではなかっただけで、こういうテーマの作品は様々な視点で作られるのが良いと思いますし、自分の死生観と似たような作品と出会える事を願いながら映画を見続けていきたいものです。
鑑賞日 2/4
鑑賞時間 15:55〜17:55
座席 H-20
レビューを読ませていただいて、せめて過去語りが同居した後に挟まれてたら、と感じました。
その方がテンポがよく、平坦な同居描写のアクセントになってくれた気がします。