「美しい…」ザ・ルーム・ネクスト・ドア hkr21さんの映画レビュー(感想・評価)
美しい…
わっ!わっ!!
ものすごーく良かったです!!
安楽死を望む女性と寄り添う親友の最期の数日間。
巨匠・アルモドバル監督が人生の終わりと生きる喜びを描いた作品。
「もしドアが閉まっていたら私はもうこの世にはいない」
なんて、ステキなセリフなんだろう…。
最近、映画でも良く取り上げられる
尊厳死がテーマなんですが、
重くなり過ぎない脚本で、
なんだろう、なんだか童話のようだった。
やはり、色彩とセリフと演出かしら…。
鑑賞中は、
どちらもの立場に置き換えて考えてみたりして、
マーサの立場だったら、誰に頼むかなぁ…とか。
イングリッドの立場だったら、頼まれたら承諾するかなぁ…とか。
6年空いていて、一番に頼んでないということは、
二人の関係性は、お互いにすごく蜜な親友というわけでもなく、
イングリッドは、作家という職業がら興味というものが
どこかにあったのかなぁ…とか、いろいろ考えていた。
でも、そんな考えたりすることも、二人のやりとりも、
全てがすんなり自分に入ってくるの。
戦場ジャーナリストと作家だからか、言葉が美しいし知的で聞いていて心地が良い。
さらに、マーサの衣裳も、ふたりの家も森の家も、
家具や装飾品や、音楽や、なにもかもが美しくて目でも耳でも楽しめました。
そして、そして、二人の女優の美しさが群を抜いて素晴らしかった。
ベッドで二人横たわる横顔のシーンの美しさが脳裏に焼き付いて離れません。
テーマは尊厳死という重い事柄ですが、
でも、私はマーサとイングリッドの決断と結果は、決して後ろ向きなことではなく、
逝く側、遺された側の同意の元だから、前向きな気分にさえ慣れました。
本当に美しい童話を観た気分です。
はぁ〜、雪のシーンも美しかったなぁ…。
本当に何もかも美しい映画でした。
闘病生活への不満もあったけれど、最期はイングリッドによって満たされた魂が幽体離脱のようにフワッと体から抜け出し、イングリッドやダミアンや娘を眺めながら天使のように真っ白な雪の中に溶け込むように消えていく。
私にはそんなイメージでした。