自分の道 欧州ジャズのゆくえのレビュー・感想・評価
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20年近く前のドキュメンタリーなので
ちょうどその頃亡くなったマンゲルスドルフやNHØPもインタビューに答えてるし、ヨアヒム・キューンもまだ60前で意気盛ん。ゴイコビッチはガレスピーと共演してしっかり自分の色を出してる名演が挿入されてるがインタビューがないのが残念。逆にダウナーなどインタビューはあるけど演奏の紹介がない人も多いが、「この人はこの人とあの盤で一緒にやってるよな」みたいな事を脳内で再生しながら観ると味わい深いかもしれない。
ガルバレクがナレーターなせいもあって、ECMが欧州ジャズのたどり着いた先ですよみたいな構成で終わってるのは、例えばロマや東欧をもっと掘り下げてほしい人には物足りないが、まあ時間も限られとるし。あとイギリス人はまた全然違うのでそれはこの映画では期待しないほうがいい(ワイアットはインタビューに出てくるが、彼は大陸勢と結構一緒にやってる)
映画の邦題、ネガティブ過ぎないか?!
作品序盤、ナレーションで「ジャズ音楽はアメリカからの世界への贈り物」としながらも、すかさず「ジャズのルーツは欧州」とも。矛盾しているように聞こえても、実は正論。
単純に黒人音楽と思われがちなジャズだが、少なくとも純粋な黒人音楽ではない。
アフリカ系の独特のリズム感と、同じくマイノリティだったユダヤ系やイタリア系のクラッシックの素養とがフランス文化を色濃く遺すアメリカ中部で融合した成果がジャズ。
先日見たばかりの『Back to Black エイミーのすべて』でジャズへの認識に違和感があったので、ちょっと強調したくなる。
ユーロジャズにとってフリージャズの登場がアメリカの模倣という呪縛からの解放に繋がったという認識は今更ながら新鮮で興味深い。
映像ではなかなかお目に掛かれないB・パウエルら巨人の演奏が見られたのは眼福だし、映画出演ではヨタヨタしていたD・ゴードンの矍鑠たる佇まいがカッコイイ。
人名の発音にこだわりがあるのか、一部に一般とは異なる字幕表記がみられたが、そんなことより物故者はその旨を表示して欲しかった。
観賞後にココ・シューマンさんについて調べたら、五年以上も前に他界。彼の苦難の人生がジャズの欧州での位置づけを物語っているようにさえ思える。合掌。
ヨーロッパ的カッコよさ
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