花嫁はどこへ?のレビュー・感想・評価
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誰もが自分の人生を自分の意思で歩める世界になりますように
2024年の朝ドラ前期「虎に翼」でも感じた、女性が自らの意思で自分の思い描く人生を描けない悔しさ、理不尽さ…それを今作でも感じた。
花嫁が取り違えられたことにより、運命が変わった2人。インドの女性への社会的地位の低さは知識としてあったものの、いまだにこんな環境なのかと、胸が苦しくなった。
ただそこはインド映画。どんなに苦しい展開になったとしても、どこか希望が見えて、最後は人の優しさを感じられるところが素敵。他のインド映画よりも時間も短めなのも見やすいポイントだった。
自分の見ている世界や、教えられた世界が全てで、常識で、違う世界へと続く道があることすら気づかない人はたくさんいる。
少し見方を変えるだけで、自分の常識は世界のほんの一部でしかなくて、世界はもっと広くて深いものだと知った時の、ふたりの花嫁の姿が印象的だった。
いつもこうだから
これが当たり前だから
どうせ無理だから
そうやって諦めてしまいそうになるときに、この映画を思い出したいと思う。
クセ強キャラの警部補と屋台女主人が物語のスパイスとなりより豊かな味わいに
本作については当サイトの新作映画評論の枠に寄稿したので、ここでは補足的な事柄を記しておきたい。
評で紹介したように、名優アーミル・カーンが審査員を務めた脚本コンペで本作の原案を見出し、自ら映画化権を獲得して製作に名を連ねた。キラン・ラオ監督のインタビューによると、この原案を女性脚本家スネーハー・デサイに託し、デサイのアイデアからジャヤをめぐるミステリーの要素と、屋台の女主人マンジュおばさんやマノハル警部補といった印象的な脇のキャラクターが生まれたという。花嫁のプールとジャヤ、自分の嫁を取り違えてしまった花婿ディーパクというメインのキャラクターを演じた若手俳優3人のフレッシュな魅力はもちろん素晴らしいが、プールに屋台の手伝いをさせるマンジュおばさん(チャヤ・カダム)、ジャヤの秘密を探るマノハル警部補(ラヴィ・キシャン)というクセの強いキャラクターたちが関わってくることで、まるで香辛料が食材のうまみを引き出すかのように、物語に豊かで奥深い味わいが生まれているのだ。
アーミル・カーンのインタビューによると、マノハル警部補は開発段階で自ら演じることも検討したが、考え直して別の俳優を探し、ラヴィ・キシャンを起用したという。インド国内では実力派の中堅スターとして活躍しているそうだが、国外ではカーンに比べ相対的に知名度が低く、それゆえに物語における警部補の役割が予見しづらい効果が生まれている。先述のようにカーンは製作者として出資もしているので、“客寄せ”のため自ら出演していれば興行的には有利だったはずだが、興行より作品のクオリティーを優先するところに彼の映画人としての誠実さが表れている気がする。
名セリフのてんこ盛り
シネコン封切り後、見逃して
シルバー御用達ミニシアターにて鑑賞。
インドの文化・風俗・慣習に疎く
当初は???の連続ですが
物語が進んでいくうちに
次第に慣れる
時代設定が20年以上前と言え
賄賂横行、児童婚、
3歳幼女もレイプ被害、
児童労働、持参金殺人…
あたりまえにちりばめられている。
フェミニズムの視点でも
日本の農村地域ににも通ずる
家父長制 男尊女卑に対する
問題提起も。
脇を固める役者がホントに良い!
屋台の女将さん、
女性警官、印刷屋の友人、
芝居のきめ細かさが、
終盤の都合のよすぎる展開を
封じ込める。
フェミニズムの視点もあり
バッサバッサとなぎ倒し
ハッピーエンドに
寄り切る展開は お見事!
★後で知ったのだが、Netflixでも見れる
名ゼリフを復習&反芻するも良し★
伝統とこれからの生き方両肯定 花嫁の振る舞いからインドの文化、学び...
伝統とこれからの生き方両肯定
花嫁の振る舞いからインドの文化、学びの大切さ辺りから社会背景を盛り込みつつ、まさかの伏線回収でカタルシスが最高過ぎる
ディーパクのセリフもいい
物語が終わるってちゃんと気付きがあるって素晴らしい
警部補とマンジュおばさんがとても良い味出している
インド映画に出てくる食べ物エンドロールの続きもそうだったがマジ美味しそう
ジャヤの家族、チョトゥの友人の足あたりがちょっと疑問残ったけどどうでもいい感じ
#23 今年見た中ではNo.1
もう数ヶ月も前に知り合いが東京の試写会で観たのを知ったときは、どうせ富山じゃ観れないんだろうなあと諦めていたら、ようやく今週公開になりましたよ。
(JMAXシアター様、ありがとう)
携帯の形状から推測するに、多分20年以上前のインドが舞台?(それともまさかインドの田舎はいまだにガラケーじゃないよね?)
自分の家の住所もわからないけど家事だけできる女の子と、頭が良くて悪知恵も働く現代風な女の子が入れかわっっちゃうお話。
実家の住所も嫁ぎ先がどこかもわからない女性がこの世に存在することにびっくり。インドの田舎の女性はどれだけInnocentなの?
そして他人の家にズーズーしくも住み着いちゃう頭の良い子の私的事情もインドっぽい。
ちょっとサスペンスっぽくコメディ仕立てで、インド人の人情もきっちり描かれていて、今年観た映画の中では1番面白かった。
こんなに良い作品なのに、富山では観客がたったの6人ほど。
ホントに良い映画なので、偏見を持たずに沢山の人に観てほしい。
見やすい
時間も短い(インド映画にしては)し、
歌と踊りもないし、
ストーリーも大団円で良し。
ホントに悪い人以外は悪そうな人も皆いい人でストレス無く観れました
でも、歌と踊りが無いのはちょっと寂しい気もする
インド映画初心者向けに良い作品なのかも
最高でーす!
もう言う事無し!
最後にパズルのピースが全てハマる!
気持ち良すぎるカタルシス!
コレが映画だ!
インドからまたまた名作が増えましたね
私的な本年度No.1シネマは今年もインド映画!
近くの映画館の公開が終了してた時期なので
皆様のレビューを信じ、車で2時間かけてまだ公開中の劇場まで観に行った甲斐がありました。
本当によかったです。
観るべきレビューしていただいた皆様
ありがとうございました♪
観終わって、さわやかな余韻が残る良作
プロデューサーのアーミル・カーンって、シークレットスーパースターに出てきた人(プロデューサーでもある)だよなぁと思ったら、内容も出来の良さも納得だった。
最初に「これはフィクションで、特定の誰かを傷つける意図はない」とわざわざ断りを入れることで、鮮やかに各方面を滅多斬りしつつ、自国の様々な課題をエンタメとして昇華させる手腕が、とにかくお見事。
途中に登場する駅の屋台のおばちゃんが名言連発で沁みたし、2人のヒロインも、それぞれにとても魅力的。
観終わって、さわやかな余韻が残る良作。
ああ、叫びたい。怪しい娘だと。
大安吉日のインドにて、ベールを被っているため電車内で嫁を別の嫁と取り違えてしまいさぁ大変!!と思いきや…といった物語。
コメディ色が強いようで、インド社会の闇を垣間見せるドラマ作品。
インド結婚の文化''持参財"がキーとなっており印象的。…成る程、悲しきかなこれは犯罪に利用することもできてしまいますね。お金持ちと結婚するにはそれなりの持参財が必要となり、足りなかったケースでは…。。恐ろしすぎる。
そんなこんなありながらも、お国柄周りの世界を知らずに生きてきたプールと、大秀才でありながらこれまたお国柄夢を叶えられないジャヤ。
対照的な二人の花嫁が、自分の力で生きる希望を見いだしていく様は素敵ですね♪
登場人物も良キャラ揃い。
お気に入りは駅売店のおばちゃん。
男性上位の世界もおかまいなしにと力強く振る舞う姿はカッコ良い。さらに孤独となったプールを導き…。そのカラカンドはきっと娘の味がしたことでしょう(涙)
そして絶対にキーマンとなると思ったご用心〜…は、別に何もなかったかな(笑)?
クライマックスは見ていて痛快でありながら、なんやかんや潔白じゃない人がチラホラいるよね…なんて思ってしまったが、ダンスがなくとも幸せムードなインド映画だった。
学ぶにも描くにも好物を作るにも、野心が必要なインド
花嫁の取り違え、当事者にとっては一大事。レイプのニュースが絶えないインドでは、花嫁の安全がとにかく心配。それでもコメディタッチで、悪意より善意を多めに感じる展開で非常に観易い。序盤の伏線も終盤で分かりやすく回収され、どんでんも返さえるので、読後感が爽快。個人的には、取り残さえる花嫁(Nitanshi Goel)があまりに可愛すぎて、終盤彼女の笑顔だけで泣いてしまった。
🌻
1. 20年前のインドってまだこんな感じ?
インドは1990年代からIT大国のイメージ。英語圏でメーカーに問い合わせると、インドに転送されインド人が応えてるとの報道もあり、英語もペラペラなイメージ。しかし本作で描かれた2000年代のインドは、女性のが戦前の日本どころか、江戸時代くらいの立ち位置。女性は家庭に入ったら男に従うもの。料理するのは家族の好物。自分の好物を自分の為に作るだなんて発想が皆無。描いた絵も家族には隠し、好きな事を学んで手に職つけるだなんて女に許されない。丁度2000年代、ベトナムで女性の大学教員やスタッフと交流があったので、インドが遅れ具合が際立って感じられた。
嫁ぎ先の住所も最寄り駅も知らないが、家事は得意と胸を張る花嫁P。身を隠すためにSIMカードを入れ替える知恵もある花嫁J。対比が見事。女性も色々。誰しもがそれぞれにあった幸せを選択できる社会こそ健全。
🌻
2. 終盤の大立ち回りは若干ズルい
終盤、思わぬ人物が意外な振る舞いをする事で大団円。スッキリしたとか、胸がすくとの感想も散見する。たださぁ、結局悪い人が儲かって、次の日からも悪徳ぶりが続きそうなには閉口。劇場版のジャイアンかっ!?いいとこ取りし過ぎな事に納得はし難かった。
🌻
3. Nitanshi Goelに要注目
本作が映画デビューのNitanshiさん。2023年のトロント映画祭が初出なので、撮影時は15,6歳。TVで活躍してた子役さんのようですが、本作のヒットで映画女優として起用が相次ぎそう。本作では垢抜けないあどけなさもあるが、ネットで検索したバッチリメイクだと超美人。個人的には、ハーマイオニーのEmma Watsonのようにあまりに早く成長し過ぎないで、折角のあどけないさをフィルムに沢山残して欲しい。
日本人にもわかるインドの人情話
女性に対して厳しい風習が残る20年前のインドで、花嫁の入れ代わり事件が起こり、いろいろあって、風習よりも正義が守られて、悪が裁かれるといった物語でしょうか。
日本の時代劇にも通じるものがあって、笑あり涙ありで、最後は気持ちの良い感動のラストでした。
広大な土地と人口を持つインドならではの問題があったり、独特の風習などが知れて面白かった。
いかにも悪そうな警官は実際性格も悪いんだけど、正義の心はしっかり持っているというのが好感持てました。
スッキリ
よく出来たストーリーで鑑賞後にスッキリしますね。
日本の時代劇にも通じるような名裁き有り、人情話有り。
インドの結婚事情や風習はよく分かりませんが、2024年現在でもあり得ることなんでしょうか?
ラストが最高
インドで、結婚式を終えた2人の花嫁、プールとジャヤは、花婿の家へ向かう途中で、同じ列車に乗り合わせた。2人とも同じような赤いベールで顔を隠していて、プールの花婿がプールと間違えてジャヤを連れて列車から降り、家に連れて帰ってしまった。一方プールは9駅先の駅でジャヤの花婿に連れられ列車を降りたが、プールの花婿が居なくて連絡先もわからず、仕方なく駅で野宿をした。2人も嫁ぎ先に行くまでの間に色々経験し、新しい価値観と可能性に気づいていった。そして、プールもジャヤも、生まれて初めて自分自身の手で自らの人生を切りひらく、ということを知ることになり・・・さてどうなる、という話。
男に依存して生きてきたインド女性だけど、ジャヤは大学に行き農業を学びたいという意志が有ったのに無理やり結婚させられ、間違えられた事をチャンスとして活かそうと努力してたし、プールは嫁ぎ先で良い嫁になりたいと思っていたが自分の料理の腕でお金が稼げる事を学び、2人の女性の成長と価値観の変化が見所だった。
そして、本作でもインドの警官は賄賂をたかり悪いやつだなぁ、と観てて、でもハッピーエンドになるんだろうとは思っていたが、予想以上のラストが最高だった。
プール役のニターンシー・ゴーエルは幼いように見えたが、16か17だったみたい。彼女の仕草は可愛かった。
ジャヤ役のプラティバー・ランターも最初は詐欺師かと思っていたが、向学心旺盛な素晴らしい女性だった。
インド映画で良くある歌とダンスのうち、歌は有ったがダンスは観れずそこは残念だったかも。そんな作品じゃないんだろうけど。
しゃくれ警官が大好き
*
本来は花嫁ふたりにスポットを当てて
感想を書いたほうがよいのだろうけども
一番印象的で好きだな〜と感じた
しゃくれ警官について僕は残したいと思う
*
金に目ざとい警官だな、それでも警官か?
と、あまり良い印象を持てなかったのですが
観ていくうちに面白いキャラがクセになってきて
最後はヒーローみたいにかっこよくて
ギャップにやられた!全部持ってったやん!!と
胸の高鳴りがとんでもないことになりました
*
このしゃくれ警官との出会いがなかったら
花嫁(だった)の彼女はやりたいことを我慢して
ただただこき使われて終わる人生だったでしょう
彼は彼女を救ったといっても過言ではないのです
「しっかり学べ」この一言がもう〜痺れました…!
私は自分のやりたいことをやっていいんだ!
という彼女の気持ちとしゃくれ警官のかっこよさに
どわっと涙があふれて僕は号泣です
彼女が去ったあと
「あの子はどんどん行くぞ」とつぶやくと
部下が「そうですねあと800㎞くらいは…」
(そういうことじゃなくて…笑)と
心のなかで僕はつっこんでしまったのですが
しゃくれ警官が「〇〇よ…」と呆れながら
名前を呼んでふっ……と笑っていたので
(部下の名前を忘れてしまいました)
彼と同じことを思ったんだな…っていうのと
インドユーモアみたいなものを
感じ取れたことがなんだか嬉しかったです
彼はドリンクで例えていうならば
チャイにしっかり効かせたシナモンです
シナモンがないと味が締まらない
つまり彼がいないとこの作品は成り立ちません
しゃくれ警官ありがとう
*
花嫁の素性を探るための偵察のシーンで
あの怪しい彼女が気になる〜という歌詞の
インド音楽のリズムがすごく楽しくて
エンドロールでも流れてくれたのですが
自分の列の人のまばらさをいいことに
ついついノってしまいました
共に生きたい人のそばに帰れた花嫁
自分が生きたい人生を見つけた元・花嫁
電車のなかで夕焼けを背に
藤井風さんの「grace」を聴きながら
作品の余韻に浸りつつ帰路に着きました
*
総合評価★4だけど、見終わった満足感は今年一番
過激や過剰な演出はなく、心をふるわす感動の喜びや悲しみもない。迫力の映像もない、驚愕の大事件が起きる訳でもない。それでも見終わった満足感は今年一番かな。
映像 ★★★ 良い
音 ★★★ 良い
物語 ★★★★+0.5 とても良い
役者 ★★★★ よくぞ選んだという感じの主演女優さん2人がいい
他の女性脇役も素晴らしい
編集 ★★★★★
粗さ ★★★★ インドの人から見たらどうか? 私は問題なし
総合 ★★★★ 評価4だけど、見終わった満足感は今年一番
単館系といわれるジャンルのホッコリ作品を観たいならお勧めです。
この手の映画は、やっぱり映画館という空間で味わうのが良い。
メジャー系の迫力や刺激を求める方には不向きかも。
そうそう、冒頭で「驚愕の大事件が起きる訳でもない」と書いているが、実際には、驚愕の大事件クラスのありえない大騒動が起きている。でも、それを日常レベルの目線に落とし込んむ設定というか演出が秀逸なのかもしれない。いいね。
とってもとっても映画ぽい映画
この映画の舞台の頃の2000年位には、こういう映画結構あったような気がするな〜って思いました。
観終わって気持ちが『いい感じ』になれる、よく出来た、とてもいい映画だと思います。
最初『このコメディどうやって終わらすのだろう』って思ってて、最後『こういう感じか〜』ってなりました。裏切られ方が『ボンベイ』を思いださせてくれました。
インド映画やってくれます。
映画としてめっちゃシッカリと作られていてます。
特にキャラがいい。とても役者の表情がいい。うまい。
主人公の周りのキャラが立ってて、彼らがうまいと『ちょっと、わざとらしくもあるかな〜』って思える演出も、その程良い、丁度良さも相まって、とっても良くなる。
最後の畳み掛けにはウルッと来ました。
『侍タイム・トリッパー』もこの映画位に説明描写を抑えていればテンポももっと良くなったんじゃないかな~っても思いました。
シャッフル笑
❝花嫁はどこへ?❞
花嫁のプールとジャヤは、それぞれ夫の故郷へ向かう途中の電車の中で意図せぬまま入れ違ってしまう。ジャヤは自分の夫に促されたと思い、一緒に電車を降りたつもりだったが、それは自分の夫ではなくプールの夫ディーパクだった。途中で異変に気づくも言い出せず、ディーパクの故郷へ連れて行かれる。一方 プールも、ディーパクと思い込んだままジャヤの夫と電車を降りてしまい、夫のディーパクが居ないことに気づき、必死に探したがどこか分からない駅で迷子に。
まずはその花嫁の風習ですが、ベールで顔を隠さないといけないというのと、花嫁は皆同じ衣装なのですね。
花嫁を取り違えるってどうやって???と思いましたが、
なるほどなるほど〜笑
そら分からなくなります笑
私も
あれ?プールどこに座った?とプールがシャッフルされ、分からなくなりました笑
美しく聡明なジャヤと家庭的で可愛らしいプール。正反対な2人でしたが、見事な展開にあっぱれでした。
ジャヤの最初と最後の印象が180度変わり、最後は涙を誘いましたね。
すごく良かったです。
アーミル・カーン間違いないです。
インドの社会問題を描きながらも、ユーモアと暖かみが際立つ一作
新婚後の帰省中に妻と間違えて別の女性を連れ帰ってしまう……というなかなか考えにくい状況から始まる本作。人前では顔を隠さなければならない、という決まりを皮肉るコメディーなのかと思ったら、起きてしまった状況に対処する人々の奮闘ぶり、そして主人公のプール(ニターンシー・ゴーエル)と入れ替わってしまったジャヤ(プラティバー・ランター)の謎めいた行動に目が離せないドラマでした。
本作は登場時に観客が抱くであろう個々のキャラクター像を良い意味で裏切り続ける点でも巧みで、素朴な男女、プールとディーパク(スパルシュ・シュリーワースタウ)を中心に描いているにもかかわらず、かなり「油断のならない」映画でした。
中でもマノハル警部補を演じたラビ・キシャンの小憎らしさが印象的でしたが、なんといっても注目に値するのはジャヤを演じたランターで、見方によってはジャヤはインドにおける女性の人権の不条理な側面を体現しているキャラクターであるにも関わらず、ある時には良からぬ企みを巡らしているようにも見え、ある時には深い知性と思いやりの感情を発露させるなど、多様な側面を見事に演じ切っています。
これだけの演技力なのに、映画初主演とは驚きました。ある意味ジャヤのつかみどころのなさが、本作の「謎」に強い説得力を与え、それが物語全体の駆動力となっているように感じました。
暖かくて笑えてハラハラするのに「油断ならない」映画とはどういうことなのか、未見の方にはぜひ直接体験していただきたいです!
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