「いいなぁ、この映画」花嫁はどこへ? CBさんの映画レビュー(感想・評価)
いいなぁ、この映画
いやあ、泣けた、泣けた。インド映画では「バジュランギおじさんと、小さな迷子」以来の大泣きだ。
2001年のインドで、嫁いでいく花嫁は皆、真紅のベールを深くかけて夫の家についていく、という風習がために、混雑した深夜の電車の中で起きてしまう二人の花嫁のまさかの取り違えとその後の二人の1週間の物語。
インド映画なのに、3時間ありません、(たったの?)124分です。インド映画なのに、踊りません。
ひたすら夫と夫の家に尽くすために行われる結婚。それを当然のこと、善なることとなされる家庭教育。その中で、自分がやりたいこと、できることに気づいていく女性たち。素敵な映画でした。
-----ここから、ネタバレ含んじゃうので、未見の人は、観てからまた来てください-----
「見つけてもらってありがとう」「(自分を)見つけさせてくれてありがとう」というセリフに象徴される主人公二人の対比は見事。さらにその両方に明るい未来がイメージできるエンディングは秀逸!!
そしてもう一人の主人公である夫の妹、重要なバイプレーヤーたちである夫、警察署長、駅の皆。全ての人が適度に混じり合って、見事な「お話」を語り終えてくれます!!
おまけ1
見つけられる花嫁プールに、「ちゃんとした女性は夫と一緒に帰省するものなのに( 一人で)実家に帰って大丈夫かしら」といったその時代の文化風習を語らせ、一方で自分を見つける花嫁ジャヤには「有機農法にこれから変わっていくインド」を語らせ、さらに既に妻となっている妹が、絵を描く才能を開花させることを小さな例で語っている、この組み合わせが実にいい! すごくわかりやすい!
おまけ2
「女にとって男は必要ないんだよ。それに気づいちまったら、男にとったらまずいだろ」
ホントに。(笑)
おまけ3
オープニングでわざわざ表示された「この映画は、誰のことも悪く言うつもりはない」は、誰のためなんだろと思いながら観ていたが、きっと警察のことなんだね。でも、ちゃんと最後に仕事したし…
プールのような、「家族の中で自立を目指す」のも、「農業を学びたい」とひとりで邁進するジャヤのような自立も、どちらもよし、自分で自分の生きる道を選択できるのが良いんだと思います。
あの警官は、清濁併せ呑むってところなんでしょうか。
いかにもな悪玉からの意外性でカタルシス盛り上がっちゃって、いいとこをさらって行きましたね