「なんて素敵な大逆転」花嫁はどこへ? おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)
なんて素敵な大逆転
予告編を見た時は「取り違えられた2人の花嫁」と言われても「なんじょそりゃ」という感じだったが、本編を観たら「たしかにこれなら入れ替わってもしょうがないかも」と思わせる説得力があり、ちょっと滑稽で面白かった。
個人的には昔、テレビでよく観た「シャッフルカップ」という手品の人間版に思えた。
2001年のインドが舞台で男性優位社会ではあるが、2人出てくる夫のうち、一方は失踪した妻を必死に探す夫、もう一方は妻が身につけていた貴金属のことしか頭にない夫と、男が多様的に描かれていたのは好印象。
花嫁の一人・プールが見知らぬ駅で出会う売店のおばさんが『天空の城ラプュタ』のドーラにしか見えなかった。
「40秒で支度しな」って言っても違和感無いと思う。
世間知らずのお嬢さんが一人きりになったところをドーラっぽい人の世話になり、料理の腕前で仕事を手助けする展開もラプュタっぽい。
もう一人の花嫁・ジャヤが、秘密を知られた子供を口止めをするためにとった行動、香川県議会が観たら激怒しそう。
女の友情が芽生えたことを示す演出として、家父長制のアホみたいな慣習を逆に利用していて上手いと思った。
ずっと家事しかしてこなかった人の、妻としては必要のない秘められていた才能が、問題解決に役立つ展開も良かった。
この映画では「盗難より警察の方が怖い」というセリフが何度か出てくるが、それも納得せざるを得ないほど、この映画に出てくる警察は悪徳すぎる。
警察が出てきて何かするたびに胸糞悪かった。
そんな人間にとって、終盤は衝撃の展開。
あまりの素晴らしさに落涙してしまった。
窮地に陥った人が、悪党に向かって涙ながらに救いを求めたところで、その気持ちが踏みにじられて終わり、そんな映画しか無いと思い込んでしまっていた。