「青空」青春ゲシュタルト崩壊 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
青空
キラキラ青春ものかな?というくらいの認識であらすじを見たら思春期の葛藤が一種の症状になって現れるといった感じのもので気になったので鑑賞。
特典はミニカードでした。
しっかりと重みのあるストーリーで、学生生活ならではのもどかしさがリアルに近い感じで"青春期失顔症"という症状になっており、学校での大事な居場所や大切な人だったりが事細かに描かれており、今作の登場人物のような経験はありませんが、どこか心に抱えているであろう葛藤には強く共感できました。
抱えるものが多すぎて自分の顔が見えなくなってしまった朝葉が、様々な登場人物と心を通わせていくのと同時に自分の殻を破っていくといった王道な成長ストーリーになっていたのもとても良かったです。
聖がとっても良い子で、無愛想ながらも影ながら朝葉を助けてくれますし、色んな相談を受けてくれたり、幼馴染が同じ症状になった時の対応を反省して、それを活かした対応をしたりと、見た目だけで不良扱いするのは本当にもったいないくらい良い子で素敵でした。
同じ保健室に通ってる中条さんも青春期失顔症を抱えており、自分に正直になれないコンプレックスが強く出ている子ですが、とっても明るく振る舞っており、朝葉の良き理解者になってくれたのもとても良かったです。
保健室の先生も優しく包み込んでくれるような方で、この人たちが朝葉の近くにいて本当に良かったなと思わせるくらいには空気が柔らかかったです。
今作はバスケ部の顧問がどこの時代の人ですか?ってくらい悪い方の熱血漢で、すぐ怒鳴るわ、すぐ集めたがるわ、即刻判断して次に移行するわで、なんで教師になれたの?ってくらいの頭の回転力の無さに首を傾げながらイライラが募りました。
同じ部員たちも妙に責任をなすりつけだったりで上辺だけの関係性ってのが気持ち悪さを感じましたし、親友ポジの子もあっさり輪の中に入るために裏切ったりと、こんな部活早めに抜け出すのが正解なのでは?ってくらいのマジキチの大集合でした。
怒りに任せて全員突き刺しても良いんじゃない?ってくらいにはフラストレーションが溜まりました笑
フラストレーションが溜まったからこそ最後の展開は中々良いなと思いました。
このバスケ部に不満がある、自分が自分らしくあるためにこの部活を辞めるという自身の選択をしっかり言葉にして叩きつけているのは朝葉の成長が感じられて嬉しかったです。
終盤の展開もそれぞれの悩みに対してのアンサーを出すといった感じで、どの選択も一歩踏み出すものになっていて、それでいてみんな爽やかな表情をしているのもこれまた美しかったです。
恋愛ものでも友情ものでも感じられない、独特な青春を感じられる作品になっていました。
ちょっとしたその後も含めて思わずニヤけちゃう、そんな青春映画でした。
鑑賞日 6/18
鑑賞時間 17:55〜19:40