「上質なホラーに上質なニコケイ」ロングレッグス ふぇるさんの映画レビュー(感想・評価)
上質なホラーに上質なニコケイ
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ニコラス・ケイジの時代が再びきていると言っても過言ではない。借金の返済中の出演作からはニコケイへのリスペクトも感じられない作品が多かったが、その後は作品を選んでいるように思えるし、全力でやりたい演技をしているようだ。
本作は劇中にも出てくる暗号などを使ってプロモーションにも凝っており、当時のクローバーフィールドのような中身のわからない作品として話題になっていた。
ニコケイが出ているんだからシリアルキラーとかその辺だろうと侮っていたが、実際は上質なホラー作品であった。
ジャンプスケアは少しはあるがそれに頼らずに不気味な雰囲気を演出している。
いわゆる暗闇の部屋の中での死角部分が気になるようなアングルがある。冷静に考えるとここにニコケイが出てきたところで怖くは無いと思うのだが終盤までハッキリとキャラクターを見せる事はせず、得体の知れない人物として扱う事により不安を増幅させている。
こうしたホラー演出で過剰なジャンプスケアに頼らず不気味なスコアで雰囲気を煽る様はヘレディタリーのようでもある。
マンソンファミリーや悪魔という単語から次第にストーリーが想像できるようになっており、悪魔は善人を装い入り込むというように修道女が教会のプレゼントとして悪魔を侵入させる様が文字通り再現されていて面白い。
ニコケイがシリアルキラーとして人を惨殺するよりも
悪魔の遣いとして操られている様はまさの憑依型の演技と称している彼の十八番である。
これをホラーに起用してコメディにならず上手く調和しているのが本作の質を幾重にも上げているのは間違いないだろう。
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