少年と犬のレビュー・感想・評価
全133件中、81~100件目を表示
終盤の展開が残念
飼い主と離れ離れになった犬が飼い主を追ってはるか彼方まで旅をする。 こういう話は最近10年だけでも何作か映画になっている使い古されたプロット。そうなんだけど、犬好きは惹かれてしまう(笑)
最近40年以上は犬を飼っていないのだけど、それでも犬が大好きな俺は観てしまいました。
【物語】
東日本大震災から半年後の仙台。職を失った和正(高橋文哉)は、不正な仕事に手を染めていた。あるとき、震災で飼い主と離れ離れになったと思われる野良犬と出会う。なぜか放っておけない気持ちになった和正は犬を連れて帰り飼うことにする。犬には“多聞”というタグが付けられていた。
多聞は和正の家族(母・姉)にも受け入れられ、家族にとって大事な存在となるが、あるとき窃盗団の運転手を務めたことで事件に巻き込まれ、逃走中に事故を起こし、その混乱の間に多聞は姿を消してしまう。
その後多聞は滋賀で美羽(西野七瀬)という女性に拾われて過ごしていたが、美羽がSNSに多聞の写真を投稿したことで、多聞を探していた和正が見つけ、美羽の前に現われる。突然現れた和正と多聞を巡って諍いが起きるが、過去の罪を背負う守と暗い闇を抱える美羽は次第に距離を縮める。 しかし、ある決断と出来事で二人と1匹は離れ離れになり、多聞は西の方角を目指して歩き始める。
【感想】
中盤までは悪くないと思って観ていた。
震災により生活環境が激変し、気が咎めながらも生きるために悪の誘いに乗ってしまった人も居るだろう。また、人間の弱さ故に不幸な人間関係にハマり、社会底辺から抜け出せず、罪を犯してしまう人も居るだろう。
それを赦せるかどうかは別にして、そういうことは起こり得るだろうと思えるリアリティーが中盤までは有った。ところが終盤は突如としてファンタジーになってしまう。俺としては「なんで?」となった。多少のファンタジー要素が有っても良いが、中盤までリアリティーのある展開だったのだから、終盤もリアリティーの上にファンジーを少し載せるくらいにして欲しかった。 逆に最初から犬にしゃべらせるくらいのファンタジー路線で始めるのなら、それはそれで良いが、途中で突如として切り替わったのが俺としては大いに不満。
後から思うと、今現在の美羽(西野七瀬)がバスで初めて会った少女に過去の話として語り出す作品の作りもかなり微妙。リアリティーのある話にしたいのか、ファンタジー仕立てにしたいのか、どっち付かず。リアリティーに欠けるが、ファンタジーとしても不十分。
このどっちつかずの思い切りの悪さが本作の難点。
これは…酷い
主人公が置かれた状況が重視されたため、肝心の犬の多聞が辿った足取りとその先々のエピソードが霞んでしまったことが残念です。
小説家・馳星周の直木賞受賞作「少年と犬」を、「ラーゲリより愛を込めて」の瀬々敬久監督が映画化。主演は本作が初共演となる高橋文哉と西野七瀬。連作短編形式の原作から複数のさまざまな事情を抱える人々と1匹の犬が織りなす交流を描くエピソードと映画オリジナルの要素を加えて再構成し、描かれます
●ストーリー
東日本大震災から半年後の仙台。職を失った青年・中垣和正(高橋文哉)は同じく震災で飼い主をなくしたシェパード犬の多聞(さくら)と出会います。多聞は、和正とその家族に瞬く間に懐き、一家にとって無くてはならない存在となりましたが、多聞はなぜか常に<西の方角>を気にしていました。
そんな中、和正は家族を助けようと犯罪グループに加わり、窃盗団の送迎を繰り返すうちに、やがて事件に巻き込まれてしまい、その混乱の最中に多聞は姿を消してしまいます。
時は流れ、多聞は滋賀県で暮らす須貝美羽(西野七瀬)と一緒に暮らしていました。美羽も、ある秘密を抱えながらデリヘルで働いていたのです。美羽は多聞のことを“レオ”と呼び、徐々に平和な日常を取り戻していきます。そんな美羽の前に、離れ離れになってしまった多聞を追いかけてきた和正が現れるのです。
最初は和正を警戒した美羽でしたが、多聞を通して二人は少しずつ心を通わせ始めます。多聞は相変わらず常に<西の方角>を気にしていました。和正はきっと多聞には<西の方角>に会いたがっている人がいるはずだと確信します。でも、美羽が犯した罪は二人をどこまでも追いつめてくるのです。その罪の精算を覚悟した美羽に和正は、「俺が多聞を届ける。」と約束し、美羽を励まし送り出すのでした。
美羽との約束を叶えるため、和正は多聞とともに<西の方角>にいるはずの多聞が会いたがっている誰かを探す旅に出ます。
旅に出ようとする矢先に待ち受ける過酷な運命、そして奇跡的な出会いを繰り返し、多聞はいつしか熊本まで辿りつきます 。
●解説
馳星周が直木賞を受賞した同名小説では、多聞が行く先々で出会う人たちと織りなす各エピソードを独立した短編小説として描き、それらを連立して一つの作品として構成しています。
映画化の中で、瀨々監督は単なる多聞のロードムービーとはせず、辻々で多聞が出会う新たな飼い主が負っている生きることの悲惨と喜びを伝える映画に出来ないか、そう思い挑んだそうなのです。その結果、数多いエピソードの中で和正と美羽に注目。先ずは原作以上に二人が追い込まれている切羽詰まった状況を描き、なぜ犯罪に染まってしまう必然性があったのか、瀬々監督が持ち前のこだわりを持って繊細に描く人間模様が丁寧に描き出されます。
それがあってこそ、犯罪へと追い詰められいった和正や美羽が、多聞との絆を深めることで心のよりどころとし、自らを取り戻そうとする過程が感動的に浮き上がってくるのでした。
瀬々敬久監督は、2人の犯罪を断罪するのではなく、2人に寄り添う多聞に語りかけることで、彼らが再生に向かう心の動きを丹念にすくい取ったのです。薄幸な和正や美羽が発散する無垢な感性と、多聞のいちずさが融合して、ドラマに高揚感を生み出されました。 思うに任せぬ不運で苦境に立つ和正と美羽に向けたまなざしは、瀬々監督らしく厳しくも温かいものを感じます。
その先にあるもう一つの物語はファンタジー色も加わり、犬好きは共感と愛着に包まれること必至。とにかく俳優犬さくらの演技は素晴らしく、さくらにしか出せない生のお芝居には、共演の高橋文哉も「中垣和正としてリアルに向き合う楽しさを感じることが出来ました。」(作品公式ホームページより)と語っていました
●感想
連作短編集の原作から2人を主人公に据え、東日本大震災と熊本地震という二つの災厄を結ぶ人と犬のロードムービーに仕立てたところはよかったと思います。多聞は人間ペの希望の象徴のように、行く先々で人々の人生を変えていくのですが、映画化にあたり和正や美羽が置かれた状況を描くことにかなり配分されたため、多聞が辿った足取りとその先々のエピソードが霞んでしまいました。多くの人が、本作に一体仙台から熊本まで、1匹の犬がどのように辿りつくのか、そこに関心をもって臨むものと思います。
ただ和正はアクシデントが起こり離脱。多聞ただ1匹だけで熊本までたどり着くには、説明不足だったと思います。
途中、多聞が島根県まで辿りつくエピソードも描かれてはいます。でもストーリーとしては掟破りで、かなり強引な方法でした。ここで登場するのが原作の「老人と犬」パートの主人公片野弥一(柄本明)という老いた元猟師に、多聞が拾われる話が展開します。彼は末期の膵臓がんを患っており、多聞とのつかの間の交情を交わすところは、なかなかよかっただけに、もう少し長めに描いて欲しかったです。
なんやこのぺらぺら作品は。
ヒューマンドラマ系かな?感動できそうでいいなと、公開を待ち侘びていたのですが、いざ観てみたらなんだこれ?????ファンタジーなの?ヒューマンなの?どういうふうにしたかったの?なにを伝えたかったの?色々と質疑応答させてほしい作品でした。
心理描写が見えない。感じ取れない。だから、作品のなかにイマイチ入り込めなかった。白けるシーンもあって(たとえば結婚式の余興とか)冷めた気持ちになってしまった。あと、時系列の組み方もうちょっとどうにかならなかったですか。いついつのどこです、と作中に入れてくれてはいるけど、そんなにタイムリープされてもついていけないよ…観づらかったなあ。
グダグダ言ってますが、嬉しいこともありました。高橋文哉さん以外のキャスト情報をあまり把握しないまま鑑賞したので、柄本明さんが出てきたときはかなり心拍数上がりました、好きなので。すごい脇役。数分だけの出演。たった数分なのに、泣けた。この瞬間、初めて、やっと、感情移入できて泣けた。レビューの星、すべて捧げます。存在感がすごい。忘れられない。少女や少年よりこっち掘り下げてほしかった。
全体を含めての感想だと、なんて薄っぺらい作品なんだろう。になってしまう、どうしても。残念で仕方ない。鑑賞作品のカテゴリーやレビューの評価基準がもし僕と似通っていて、観に行こうか迷っている方は、配信でもいいかもよとお伝えしたいです、心から。今年ワースト1になるかもしれない。個人的に。
思っていたのとは・・・
泣けた
少年と犬
思ってたのと違ったな
予告から、動物と人との織りなす感動の物語を期待して、公開初日に鑑賞してきました。思ってたのとちょっと違い、後半のファンタジー展開にびっくりしましたが、犬の名演技にほだされて、気持ちよく泣かされてしまいました。
ストーリーは、東日本大震災から半年後の仙台で、犯罪グループの下っ端として日銭を稼いでいた青年・和正が、偶然出会って飼い始めたものの、ある事件を機にいなくなってしまった犬・多聞が、滋賀県で暮らす女性・美羽のもとで飼われていることを知り、美羽のもとを訪ね、彼女とともに、多聞がずっと気にしていた西を目指すというもの。
なぜか西を目指す多聞と、多聞との交流を通して変容するさまざまな人の姿が描かれ、多聞がもたらしたたくさんの幸せを感じて、鑑賞後はじんわりと心が温かくなります。多聞と出会ったことで、和正の母に明るさが戻り、姉は笑顔になり、自身もまっとうな仕事に就き、何か一つぐらいいいことがしたいと望むようになります。人生に絶望していた美羽は再び生きる意味を見出し、孤独な老人は最期の瞬間を看取ってもらい、心に傷を負った少年は声を取り戻し、命を救われます。
多聞が振り撒いた幸せのタネは、きっと人々の心で芽吹き、これからも大き育っていくのでしょう。そして、救われた少年が言うように、亡くなったからといっていなくなったわけではなく、多聞は人々の心の中に、和正は美羽の心の中に、これからもずっといるのでしょう。東日本大震災、熊本地震で多くの命が失われましたが、その方たちも愛する人々の心に溶けこみ、今もずっと存在し続けているのでしょう。本作は、震災の鎮魂歌でもあるように思います。エンドロールは、セカオワの「琥珀」がじんわりと沁み、心穏やかに余韻に浸れます。
ただ、時系列が頻繁に行ったり来たりして、なんとなく感情が寸断されてしまい、どっぷり浸れるとまでは言えません。また、多聞の出会う人々がそれぞれに苦しい事情を抱えているのですが、その情報量が多すぎて、内容を詰め込みすぎな印象を受けます。この二つが原因で、話がちょっととっ散らかっているように感じられるのは残念です。
主演は、高橋文哉さんと西野七瀬さんで、多聞へ思いを感じさせるとともに、多聞を通して変化する二人の関係性を見事に演じています。脇を固めるのは、伊藤健太郎さん、伊原六花さん、嵐莉菜さん、栁俊太郎さん、一ノ瀬ワタルさん、斎藤工さんら。そして、なんといっても多聞を演じたワンちゃんが最高です。
無常なる人生への向き合い方
予想以上に低いレビューでびっくり、 久しぶりに大号泣しました。。
主人公2人がろくでもない!!!!
中途半端
映画化あるあるです!馳星周の原作とは似て非なるストーリーです。
東日本大震災で飼い主と死別した多聞と云う変わった名前の犬。
多聞は震災後、飼い主と毎日遊んでいた公園で、飼い主や飼い主の友人、その友人の孫の光を探していたが出会うことが叶わず忽然と姿を消す。
多聞は頼るものがいなくなり、光を探すべく窃盗犯の男、外国人の泥棒、老夫婦、わけあり少女、大津の娼婦、島根のマタギ等と暮らしながら、5年後熊本に移住した光と再会する。
しかし、今度は熊本大地震に会い光は倒壊した家の下敷きになるが、光の上に覆い被さった多聞のお陰で助かる。
と云うストーリーなのだが、最初に出会った窃盗犯の男は直ぐに死んでしまうはすが、娼婦との出会いで再登場したり、島根のマタギは少ししか描かれません。
オリジナル要素も取り入れたとは解説されていますが、もう少し原作に近いストーリーで作って欲しかった。
⭐︎3.2 / 5.0
泣ける映画は良い作品なのです。
映画を観た後、家でテレビをつけたらSEKAI NO OWARIが映画の主題歌「琥珀」を唄っていた。心に沁みるとても良い曲なので、映画のシーンを思い浮かべながら聴き入った。
私も原作は読んでいるが、かなりのベストセラーだったので映画の方のストーリーの繋ぎ方や映画オリジナルの脚色に難を付ける読書の方が多かったりで評価はあまり高くないようだが、私は良作に仕上がっていたと思う。
原作は多聞が繋ぐ6つのパートからなる短編の連作だが、原作者の馳星周は「映画も小説も全部書いたらつまらない。省略という余地がある。その省略の部分に読者なり観客なりのイマジネーションを働かせる余地を残すのが、物語だと思います」(映画パンフより)と、瀬々敬久監督の演出も林民夫の脚本をちゃんと認めています。
高橋文哉は「ブルーピリオド」での女装の美大生の演技がとても上手く注目していたがこの映画で更に成長したように思いました。そして、何より西野七瀬がめちゃくちゃ良かった。「狐狼の血2」で評価はされたがまだまだ女優としてはブレイクしたとは言えないなか、今回は幾つものシーンでさまざまなな女を表現し、特に出所後のスッピン顔の抜け切れた表情と語り口では新境地を切り拓いたのではないかと思っています。
私も愛犬家ということもあり、映画観ながらかなり泣けてしまいエンドロール終わっても涙が止まりませんでした。
泣ける映画は良い作品なのです。
原作未読
全133件中、81~100件目を表示











