劇場公開日 2025年3月20日

「終盤の展開が残念」少年と犬 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5終盤の展開が残念

2025年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

飼い主と離れ離れになった犬が飼い主を追ってはるか彼方まで旅をする。 こういう話は最近10年だけでも何作か映画になっている使い古されたプロット。そうなんだけど、犬好きは惹かれてしまう(笑)

最近40年以上は犬を飼っていないのだけど、それでも犬が大好きな俺は観てしまいました。

【物語】
東日本大震災から半年後の仙台。職を失った和正(高橋文哉)は、不正な仕事に手を染めていた。あるとき、震災で飼い主と離れ離れになったと思われる野良犬と出会う。なぜか放っておけない気持ちになった和正は犬を連れて帰り飼うことにする。犬には“多聞”というタグが付けられていた。

多聞は和正の家族(母・姉)にも受け入れられ、家族にとって大事な存在となるが、あるとき窃盗団の運転手を務めたことで事件に巻き込まれ、逃走中に事故を起こし、その混乱の間に多聞は姿を消してしまう。

その後多聞は滋賀で美羽(西野七瀬)という女性に拾われて過ごしていたが、美羽がSNSに多聞の写真を投稿したことで、多聞を探していた和正が見つけ、美羽の前に現われる。突然現れた和正と多聞を巡って諍いが起きるが、過去の罪を背負う守と暗い闇を抱える美羽は次第に距離を縮める。 しかし、ある決断と出来事で二人と1匹は離れ離れになり、多聞は西の方角を目指して歩き始める。

【感想】
中盤までは悪くないと思って観ていた。

震災により生活環境が激変し、気が咎めながらも生きるために悪の誘いに乗ってしまった人も居るだろう。また、人間の弱さ故に不幸な人間関係にハマり、社会底辺から抜け出せず、罪を犯してしまう人も居るだろう。

それを赦せるかどうかは別にして、そういうことは起こり得るだろうと思えるリアリティーが中盤までは有った。ところが終盤は突如としてファンタジーになってしまう。俺としては「なんで?」となった。多少のファンタジー要素が有っても良いが、中盤までリアリティーのある展開だったのだから、終盤もリアリティーの上にファンジーを少し載せるくらいにして欲しかった。 逆に最初から犬にしゃべらせるくらいのファンタジー路線で始めるのなら、それはそれで良いが、途中で突如として切り替わったのが俺としては大いに不満。

後から思うと、今現在の美羽(西野七瀬)がバスで初めて会った少女に過去の話として語り出す作品の作りもかなり微妙。リアリティーのある話にしたいのか、ファンタジー仕立てにしたいのか、どっち付かず。リアリティーに欠けるが、ファンタジーとしても不十分。

このどっちつかずの思い切りの悪さが本作の難点。

泣き虫オヤジ