野生の島のロズのレビュー・感想・評価
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島の外の世界に関する説明不足に物足りなさが残る
予告編を見て、ロボットが、野生の島で動物たちとの絆を深め、最後は島の自然を守るために開発業者と戦うといった話を、勝手に思い描いていた。
ところが、舞台となる島が、弱肉強食の過酷な環境で、「理想の楽園」といったイメージと程遠いことには面食らってしまった。
ロズが、「仕事」をしようと悪戦苦闘する様子には、ドタバタコメディのような面白さがあるのだが、島の動物たちの性格の悪さが、そのまま居心地の悪さに直結していて、これで、本当に「島のために」という展開になるのだろうかという不安がよぎる。
やがて、ロズが、雁のヒナの親代わりになり、彼を食べさせ、泳ぎ方や飛び方を教えていく展開になると、この映画が、母親の愛情という「心」がロボットに宿る話なのだということが分かってくる。
特に、ロズの息子が、本当の家族を巡る確執を乗り越えて「渡り」に旅立つシーンは、巣立った子供を持つ親であれば、号泣必至の名場面と言えるだろう。
ロズが、冬の厳しい寒さから、島の動物たちを救い出したことによって、彼らに融和と協調の機運が生まれるという展開も、肉食動物と草食動物の共存というリアリティーの無さや、種ごとの個体数の少なさといった違和感はあるものの、多様性や受容性の大切さを訴えるメッセージとして、素直に心に響いてくる。
何よりも、彼らの性格の悪さや、関係性の険悪さが、このための伏線になっていたということが分かって、ホッとさせられた。
その一方で、雁たちが、「渡り」の途中で、ロズの製造会社に迷い込むシーンや、その製造会社が、ロズを回収しようと島に乗り込んでくるシーンには、説明不足による物足りなさや、歯がゆさも感じてしまう。
金門橋のような橋が海没している様子からは、世界が何らかの大災害に見舞われたらしいことが分かるのだが、そんな世界で、人類がどのような状況に置かれているのかは明らかにならない。製造会社のシーンでは、人間のようなキャラクターが確認できるので、少なくとも、滅亡はしていないようだ。
ロズの島での記憶が、貴重なデータであることは確かだが、製造会社が、戦闘用ロボットを投入してまで、それを回収しようとする理由もよく分からない。仮に、「人類復興の鍵を握るデータ」みたいな説明があったならば、島に対する過剰な攻撃にも、まだ、納得することができたと思う。
ロズが、記憶を無くしても「心」で息子を覚えていたというエンディングが感動的だっただけに、そこに至るまでの過程で、島の外の世界に関する説明が不足していたのは、残念に思われて仕方なかった。
綾瀬はるかの声が合ってた
野生の無人島に流れ着き、偶然、小動物に起動ボタンを押されて目を覚ましたロボットのロッザム7134(ロズ)は、都市生活用にプログラミングされていたため、野生の島では全く役に立たず、動物たちの行動や言葉を少しずつ学習しながら、徐々に順応していった。そんなある日、雁の卵を見つけて孵化させたロズは、ひな鳥からママと呼ばれたことで、母性を持つ様になり、ひな鳥に「キラリ」と名付け、動物たちに助けられなごら子育てに奮闘し・・・そんな話。
ほとんど期待してなくて、時間潰しに鑑賞したのだが、ロズやキラリの成長に共感出来たし、予想以上に良くて感動した。
ロボットドリームズみたいに海水に使っても錆びて動かなくなったりしないロズで防水もしっかりしてるんだな、と感心した。
そして島の風景や動物の描写が美しく素晴らしかった。
日本語吹き替え版での鑑賞だったが、ロズ役の綾瀬はるかが良かったのと、柄本佑、鈴木福、いとうまい子など、俳優が多く参加していたが、違和感なくみんな上手かった。
傑作!親心に感涙!
野生の動物が住んでいる無人島に、人間用サポートロボットが漂着し、動物相手に人間用のサポートプログラムを実践することに。試行錯誤しAI学習?しながらもなかなか島の動物達と馴染めず、当然、仕事も指示されず・・・孤立してしまうロボットのロズ。ある日、ひょんなことで雁の子供、キラリと出会い母親がわりとして子育てすることで彼女に、そして動物達との関係性に変化が起こっていくストーリーです。
ロズが多種多様な動物達の動きや習性を擬態し学習していく様はユーモラスであるのと同時に、無機質なロボットに命を吹き込んでいく作業となっており、非常に説得力のある効果的な演出となっていたと思います。
また何より雁の子育てで、もともとプログラムされていたリミッターのかかった限定的な良心が、どんどん素敵にヴァージョンアップして親心レベルまで到達したのは、私も同じ親として共感度が半端なかったです。飛び方を教えるシーンは、我が子に自転車の乗り方教えた記憶がフラッシュバックして涙が止まらなかっです(笑)。
ロズのキラリに対しての親心、島の動物達の役に立ちたいという純粋な心。それらがベースになった地道で真摯な行動が徐々に波及していく様子が、大自然の背景も相まって非常に尊く美しく目に映り・・・見せ場のシーンでしばしば、涙で視界不良になってしまいました(笑)。
ストーリーはそんなに捻ったものじゃないですが、おそらく設定はかなり深く作り込まれたものだと思います。パンフ買い忘れたので売り切れる前に買わないと!
間違いなく傑作と思います。必見です!
お花畑のような世界観に見せかけて、リアルな主張が盛り込まれている
大筋はロボットが雁の赤ちゃんを育てて、その過程で野生の島の動物達と仲良くなって、連れ戻しに来たロボット軍団と戦うといった内容ですが、避けては通れないリアルな疑問にギリギリ答えてる所に好感が持てました。
仲間外れのキツネは性格が捻くれてるんですが、ところどころで異常な理解力を見せていて、性格の問題よりも頭が良すぎるせいで仲間外れになっているのがわかるようになっています。
ロズは自我に目覚めて、野生の島のロボットだと主張しますが、一方でロボット工場に回収されないと島に危険が及ぶのもわかっていて、「これは私にとっての渡りです。」と言って去るものの、島に戻る場面は描かれていません。
弱肉強食の世界もチラっと描かれていて、動物達は仲良くなりますが、あくまで「この家にいる時だけは喰ったり喰われたりしない!」という決まりになっていて、画面の外では厳しい野生の世界であることが暗示されています。
中盤の子育ての場面では眠くなるくらいありがちな内容だったのですが、最後まで見ると意外と斬新な物語だなと思いました。
現実世界でも、このようなロボットがヒーローになる世の中がやってくるような気がします。
ロボットがなんか違う
画は非常に美しかった。
キャラクターの動きや造形も素晴らしい。
背景は、
今の地球から何かが起こったっぽい世界。
ストーリーは
個人的には今ひとつ響かなかった。
ロボットが身近にいる設定の子供向けの番組を
子供の頃から散々見てきた身としては、
上手く言えないけど
なんか違う感が最後まで拭えなかった。
きっと設定は限りなくあり得る
リアルなことを考慮しているんだろうけど、
すみません、なんか違う感じかが。
鉄腕アトム、ドラえもん、頑張れロボコン、
ロボット刑事
宇宙戦艦ヤマトのアナライザー
Dr.スランプのアラレちゃん
ガンダムのハロ、
天空の城ラピュタのロボットなどなど。
スターウォーズのR2D2、C3POなんかもそう。
その系譜かと言われると、違う気がしてしまった。
作品は凄かったと思います。
でもなんか最後まで違和感が拭えませんでした。
王道のストーリー
不慮の事故で野生の島にやってきたお手伝いロボット。
最初は異物として動物たちに受け入れてもらえなかった。
ある時、親を亡くした雁の卵を拾う。
雁を育てるうちに心が無いはずのロボット(ロズ)に情が生まれる。
冬に向けて育てるロズ。秋になり離れる雁のキラリ。
寒波が訪れ動物たちは凍死寸前、心情が芽生えたロズは動物たちを助ける。
次は逆にロズが元いた場所に帰されてしまう。
助けられた動物たちはロズを助けることに。そこには育てたキラリの姿も...
とまぁ別れや協力が幾度となく訪れ感動を詰め込んだ作品でした。
ロズとキラリの成長、絆物語
観た感想は感動して泣けました。
ロズは、ロボットだから、心が無いので、最初はキラリ(鳥の雛)を思いやる事が、出来なかったが。。。キラリの母親代わりをやって行く中で、キラリを思いやる優しい心が自然と芽生えてきて、その情景に胸が打たれました🥹
二人とも、1人ぼっち、血は繋がらなくとも、心の絆は強固なものだよ🥹🌈✨
皆さん、是非、映画館でロズとキラリの成長、絆物語、大冒険を観て下さいね🌈✨オススメ👑します。
追伸。。。日本語吹替版を観たのですが。。。
最後、NiziUの「Always♫」聞きたかった(><)かからなかった。。。
予告は超えなかったけど良かった
予告を見て勝手に想像していたストーリーとは異なっていたけどいい意味での意外性があって最後までハラハラドキドキと楽しめた
一番の驚きはさらりと弱肉強食を描き、時には仲間の死を描き
臭いものに蓋をしがちな子供向けのファンタジーにしなかったこと
もちろん十分ファンタジーなんですが、現実の厳しさや野生の道理が描かれていて
今の子供たちがこういう映画をみるような時代になったことに
時の流れを感じてしまった・・・
予告で想像してたロボットにだんだん感情が芽生え別れが訪れるみたいな筋とは別のところでところどころ涙腺が緩みそうになったのはいろいろ経験した大人だからでしょうか?
いろんな目線でいろんな立場の人がたくさん共感できると思います
ラストだけでなく、冒頭からまたあらゆるシーンでグっとこぼれる涙
予告で泣きそうになった人はハンカチを忘れないように
【”大好きなママ。”孵化したガンの雛に対し母性愛に目覚めたアシストロボが島の動物達と助け合い雛を育てる愛と友情の物語。マニュアルに頼らずに生きる事の大切さを考えさせられる作品でもある。】
■ロズは、人間をサポートするプログラムを組み込まれたアシストロボット。配送中の事故で野生動物しかいない島に漂着した彼女は、誰かからの指示を求めて彷徨う。
その時に、ガンの卵を発見し孵化した雛に”ママ”と呼ばれた事から、独りボッチの嫌われ者のキツネ、チャッカリやオポッサムのピンクシッポ達と、キラリと名付けた雛をマニュアルが無いままに、懸命に育て始める。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ロズが、キラリを育てる過程でチャッカリやピンクシッポたちの協力を得て行く過程で、島の動物達が、何だかんだと言ってもロズと仲良くなり、助ける姿が良い。
・その中でロズ自身も、マニュアルだけではなく心という存在を知って行く様が上手く描かれている。
ロズは心によりキラリを想い、キラリはロズを慕う姿。
・キラリも、両親も無く独りぼっちな中で、クビナガが率いるガンの群れに馴染むコミュニケーション能力を養って行くのである。
ー この物語は、ロズとキラリの共依存による成長物語でもあるのである。-
・ロズを回収に来る感情を持たない回収ロボットの不気味さと、心を持ったロズとの対比の描き方も巧いと思う。
・一方、厳しい寒さに襲われる島の動物達が、ロズとキラリが住んでいたゲルの様な住居に集まるシーンも、最初は”食べられる側”と”食べる側”で大混乱になるが、チャッカリや熊のゾーンのお陰で、皆が寒さを耐えるシーンや、山火事が起きた時に皆が馬鹿にしていた大木を只管齧って倒そうとしているパドラーを認め、斃れた大木が川に横倒しになり、溢れた水流で消されるシーンなどは、仲間と協力する大切さを描いたシーンだろうなと思ったな。
<ロズが回収ロボットによりロボット製造工場に回収される時に、クビナガが率いるガンの群れ(もちろん、成長したキラリもいる)が救出に向かうシーンなどは、ナカナカでありました。
今作は、孵化したガンの雛に対し母性愛に目覚めた最新型アシストロボが島の動物達と助け合い雛を育てる、愛と友情の物語であり、マニュアルに頼らずに生きる生き方を考えさせる作品でもあるのかな、と思った作品である。>
ドリームワークス30周年の集大成。
原作は「野生のロボット」という題名の児童小説です。
この作品が上映される事が決まってから、事前に原作を読んでいました。
とても好きになり、小説のファン目線で楽しみになっていました。
日本だと下記の理由から作品に非が無い形で上映が危ぶまれていましたが、無事上映されました。
観られるのが現実になって嬉しかったし、そして、泣き、面白く、感動しました。また余韻があります。
観てよかったと心から思いました。そして、小説のファンとしても映像ならではのアレンジもする中でまさに「野生のロボット」のアニメ化を
最高の形で観る事ができた事が本当に幸せでした。
この作品を作ったクリス・サンダース監督が最高傑作と述べるのも心から納得です。
そして、アカデミー賞にノミネートされたこの作品。
色んな方に観てほしいです。親子にも、老若男女にも。ロボットや動物が好きという方にも。
日本でもヒットしてほしいです。なので口コミです。
こちらを制作したのは世界的アニメ会社の「ドリームワークス」なのですが、
日本だと配給会社が度々交代されていく中で2012~2018年の時期は、当時の担当である日本法人会社の方針なのか、本来上映されるはずのものが上映されず、
現在の配給に交代し、上映体制が戻り、現在に至ります。
しかし、その6年間はドリームワークスの日本展開のハンデとなっています。
そんな不安定な中でこの作品を上映してくださった現配給会社様には感謝です。
こんな最高なスタジオの作品の上映はずっと継続してほしいので、
ぜひ、観に行ってほしいです。
ガストのコラボ商品、また食べに行きます。
生きることは戦いなんだと
半端ない画力
美しさの中に
小さな命と触れ合った時ロボットに母の心が一杯に生まれる…ではなかった。
ロボットを野生の島に出しながら無闇に機械感を出さず、自然に入って行く。本当に美しかった。お伽話だけれどそれでいて野生の厳しさが見えて心痛む時もある。
めでたしめでたしを迎える物語。でも私のような馬鹿者はその後を考えてしまう。お伽話に現実を持ってくるなんて野暮というか何というか。でも「野生」とタイトルにあるので頭が行ってしまうのだ。
野生である限り喰い喰われの世界。それは話でも触れている。そして動物達には寿命がある。
それはロズにも言える。新しいものがすぐ古くなる人間の世界でロズはどれだけロズでいられるか。
野生である限り来る生涯の終わり。それを皆は自然のこととして受け入れるだろう。様々な動物達を一度に登場させるが、根本に野生があると感じさせ隅から隅までハッピーに染めず、そっと厳しさも見せるこの物語。それが安心感を覚えさせる。
いつか来るワタリの日
予告編を見る度泣かされていた野生の島のロズ。
8歳になる娘と鑑賞してきました。
ロボットが見知らぬ地で1人(1体?)佇む姿は、何故こうも泣けてくるのか。
輸送中事故に遭い、動物だけが住む自然豊かな島に辿り着いたロズは、プログラムに従い自らに任務(仕事)を与えてくれる相手を探し始めます。
散々な目に遭いながら、見つけたのは雁の卵。
卵から孵った雛はロズを母親と認識し、擦り寄ります。
その雛の可愛さといったら…。
秋になる前に雛を無事飛べるようにする事。
それがロズの任務となり、キツネのチャッカリや島の動物と協力しながら雛を育てていく過程で、彼女の中に母性が芽生えていきます。
小さな雛はやがて自分の翼で飛べるようになり、ワタリの日を迎える。
物語の佳境で、ロズが走馬灯のように子育ての日々を思い出すシーンがあり、ボロボロに泣きました。
自分もロズと同じように「どうやって母親になれば良いのか」と悩んだ事を覚えています。
プログラムではどうにも上手くいかず、その時その時で対処してると言うロズの言葉。子育てってその連続だよな、と。
大変な事は沢山あったけど、それでも誰より可愛い我が子。
いつか娘も自分から離れていくんだなと思うともう既に泣けてきてしまいますが、そばに居られる時間をより一層大切にしたいという気持ちにさせてくれる、そんな映画でした。
涙ポロポロ、何回も泣かされました
期待以上にとても感動でした。
親子愛、友情、困難に立ち向かう事、仲間と力を合わせて大切なものを守る事、感動の要素てんこ盛りでラストにかけて「どんだけ泣かせるん」ってくらい泣かされました。
ストーリーはロボットと動物の友情や親子愛の王道ストーリーで目新しいものはないけど、やっぱり王道ストーリーはハズレなく良いものでした。
相手を想う気持ちや励ましの言葉、いろんなシーンでのいろんな言葉が心に染みました。
「みんなができるんだから自分にもできる」って思う事って大きなパワーになります。
映像もとてもきれいでした。
最近はアニメ作品が吹き替えばかりで字幕がなく、私が行く範囲の映画館ではレイトショーに字幕があるだけで、字幕で観たい私にはとても残念です。
その心はプログラムじゃない
2001年度のアカデミー賞で新設された長編アニメ映画賞を、ピクサー『モンスターズ・インク』を抑えて受賞したドリームワークス『シュレック』。
しかしその後は『カンフー・パンダ』も『ヒックとドラゴン』もノミネート止まり。受賞はディズニー/ピクサーの土壇場。宮崎駿も2度受賞。
興行の面でもヒット作ある傍ら、振るわなかった作品も多い。日本未公開作も多く、ディズニー/ピクサーはまだしもイルミネーション・スタジオにも大きく差を付けられた感が。
とは言え、このまま尻すぼみではない。個人的にはまあまあだったが『ボス・ベイビー』は大ヒット。『バッドガイズ』は快作!
好調を取り戻し始めた所に、決定打とも言える本作。
興行では『インサイド・ヘッド2』に及ばなかったものの、全米で昨秋堅実なヒット。(現在もロングラン)
特筆すべきは批評面。大絶賛。当初有力視されてた『インサイド・ヘッド2』を抑え、来るアカデミー長編アニメ映画賞の最有力。ドリームワークス、23年ぶりとなる悲願の2度目の受賞に王手。
これは見たいなぁと、待たされ待たされ数ヶ月。
ドリームワークス・アニメーションのお気に入りは『ヒックとドラゴン』だったが、それに匹敵する新たな名作誕生…。
話はシンプル。特別目新しいものではないが、それをエモーショナルに実に巧く魅せている。
だけど本作はやっぱり、キツネのチャッカリのお話のように見た方がいい。
むか~しむかし、ある島に、家族を亡くした独りぼっちの雛鳥がいました。
雛鳥は空のお星さまに願いました。新しいママが欲しい、と。
お星さまの上で、新しいママは願いを聞いていました。もっとよく聞こうとして、落っこちてきました。
こうして雛鳥の元にやって来たのです。
その新しいママとは…
ロボットでした。
実際の経緯はお話とはちょっと違う。
何処から来たのか。大海原の小さな島で偶然にも起動した一体のロボット。
ハイテク企業“ユニバーサル・ダイナミクス社”が人間の生活をアシストするようプログラムされた高性能万能ロボット。製品名は“ロッザム7134”。
どうやら無人輸送機が嵐の影響で島に墜落。他の同型ロッザムは壊れた中、唯一壊れずに済んだようだが…
人間の命令を求めて島をさ迷う。が、ここは人間など住んでいない無人島。
住んでいるのは多種多様な野生の動物たち。言葉も分からない。
翻訳。言葉が通じるようになっても、島の動物たちは“怪物”と恐れる。
時には襲撃も。あちこち損傷や故障。
ある日、崖から落ちる。そこで見つけたのは…
雁の卵。キツネから守り、やがて卵から雛が孵る。
雛鳥は“ママ”と思い込む。
プログラムに無い事態に対処出来ずにいたが、渡りの時までを“仕事”として。
雛鳥を“キラリ”と名付け、製品名をろくに言えないキラリからは略して“ロズ”と呼ばせるように。
ロボットのママ=ロズと雁の雛=キラリの、無人島で育まれる不思議な“親子”のカタチ…。
最初はプログラム=仕事の一環として。
が、次第に人間の居ない島で順応していくアシストロボット。
自我が目覚めていく。
母性も溢れていく。
ロボットにそんな感情…なんてそれこそアップデートされていない旧い考え。ロボットに感情が芽生えちゃいけないなんて誰が決めた? だったら『ドラえもん』は成り立たない。
映画には様々なタイプのロボットが登場してきたが、これまた新しいタイプ。我々はこのロズから教えられる事、学ぶ事は多い。
そんなロズの元ですくすく成長したキラリ。言動がロボット風だけど、元気に素直に。
たった一羽だけだったら過酷でもある大自然のこの島で生きてこられなかっただろう。風変わりでも守り育ててくれた存在がいたからこそ。
だが、それが周囲との隔たりにも。
“怪物”に育てられたと島の動物たちから奇異の眼差し。身体も同種の雁より小さく、のけ者。
自分たちと違う者は差別偏見の対象。我々の世界を見ているようだ。
島の動物たちも個性的。
オポッサムの母ピンクシッポと子供たち。彼女から子育てが仕事じゃないと教えられた。
大木を伐る事に執着するビーバー、島で最も恐れられているグリズリーベア…。森の中にも空にも近海にも生命が満ち溢れている。
中でもナイスキャラは、キラリがまだ卵の時狙おうとしたキツネのチャッカリ。彼もまた島の嫌われ者で、ひねくれ皮肉屋。が、機転が利く。
ひょんな事から一体と一羽と一緒に暮らすように。このバランスが絶妙。
怪物、のけ者、嫌われ者。周囲から孤立しながらも、彼らが織り成す擬似家族の姿が温かい。
私たち人間がそうであるように、家族は支え合うだけじゃなく、時に確執やすれ違いも。
ある時キラリは、自分の本当の家族が死んだ理由を知ってしまう。
ロズが崖から落ちた時、そこにあった巣や卵を潰してしまった。そう、ロズが…。
ロズは罪悪感や責任から唯一残ったキラリを育てたのかもしれない。でもそれだって、確かな“感情”である。
が、キラリは反発。ロズが本当の家族を殺した。育ててくれたのは“責務”だったんだ。
食べ方や泳ぎ方を教え、後は飛ぶ事だけ。キラリはまだ上手く飛べない。
折しも渡りの季節が近い。それまでには…。そんな矢先の溝。
ロズは決意する。飛び方を教える。それが今の私に出来る事。それが終わったら…。
この時のロズは頭=プログラムではなく、身体の別の場所で動くようになっていた。そこは空っぽの筈だが、目には見えない“何か”が…。
雁たちの長老クビナガも助言。キラリには見込みがある。飛び立った後、面倒見てくれる事を約束。
(オリジナルではビル・ナイだが、吹替ではベテラン声優の千葉繁氏が担当。『北斗の拳』などでオーバーハイテンションで知られる千葉氏だが、抑えた声で賢者の風格。どうしても追記しておきたかった)
飛び方をマスター。渡りに間に合った。
旅立ち、別れの時。
訓練でまた絆回復したように思えたが、まだ何かを残して…。
個人的にここで終わりでも良かった。
旅立つ者、残る者。打ち明けられなかった事は、次戻ってきた時に。
ヒットもしたし、原作もシリーズ化されてるし、次作で。
だけど、このままじゃちょっと物足りない。
双方のその後と本当の気持ちを伝えるまでしっかりと。
飛び立った雁たち。
途中、ある場所で休憩。
そこは…。ユニバーサル・ダイナミクス社の敷地内。
ロズと同型のロボットに驚くキラリ。
忍び込んだ雁たちを、社の人間たちは追い払おうとロボットたちに排除命令。
皆が危険…!
クビナガに託され、キラリが先導して脱出を図る。
その頃島では…
役目を終えたロズは、本社へ回収信号を送る。
が、すぐ取り止める。
キラリが戻ってきて、この溢れる思いを伝えるまで。
島を大寒浜が襲う。
ロズはチャッカリと協力して島の動物全員を救出する。
冬の間も暖が取れるロズたちが暮らしていた家で冬籠りする事になるが、弱肉強食の世界の動物たちはここでも争い。
チャッカリが一喝。生き延びたきゃ共存しろ。
嫌われ者の最もな言い分。皆で寄り添い合って…。
エネルギーを使い果たしたロズ。冬の間はエネルギー源の太陽光も届かない。
活動を停止…。
長かった冬がようやく去り、春が来た。
島に再び緑と太陽の光が…。
ロズも再起動。
そこへ、雁たちも帰ってくる。
キラリの姿が。
あの窮地を脱し、仲間たちから頼れる存在に。残念ながらクビナガは…。
自分の居場所を見つけたキラリ。
それを見届けたロズは思いは伝えず、静かに去ろうとする。
キラリも思いを伝えようとロズを探すが…。
そこへ、巨大な飛行物体。ユニバーサル・ダイナミクスの回収機。
中から現れた異様なロボット“ヴォントラ”の指示に従うが、その本当の目的は…。
このまま本当の思いを伝えられず、永遠の別れになってしまうのか…?
オリジナルでロズを担当したルピタ・ニョンゴの声の演技が絶賛されてるようだが、綾瀬はるかの吹替も悪くない。
キラリ=鈴木福も真っ直ぐに。チャッカリ=柄本佑はさすが声でも巧演。
ロボットと動物たちが織り成す交流がメインだが、島自体ももう一つの主役。
過酷でもあるが、豊かな自然と緑に包まれた皆の“故郷”。雄大で、神秘的で、美しい。
ロズたちが暮らす家も素敵。ロズ、私にも作って~!
『となりのトトロ』からも影響受けたというクリス・サンダース監督。
『リロ&スティッチ』『ヒックとドラゴン』などで異なる種同士の絆を描いてきた監督。また一つ到達点。
ハートフルなファンタジーってだけじゃなく、凝ったSFやロボットやアクション要素もあり、童心くすぐる。
ロズの貴重なデータを回収しようとするヴォントラ率いるロボットたちと、ロズやキラリやチャッカリや島の動物たちの闘い。
クライマックスのアクションはなかなか迫力あり。
ハヤブサのサンダーボルトの言葉にしびれた。ここが故郷だと言ってやれ。
プログラムなんかじゃない。私のこの心に従って。
島の皆との絆、親子の絆。
私は“ワイルド・ロボット”!
このまま島で暮らせばまたユニバーサル・ダイナミクスが来て、皆を脅かす。
皆を守る為に、ロズが決断したのは…。
それも皆を思ってこそ。
本来居るべき場所に戻ったロズ。
気付けば渡りの季節がやって来た。
忍び込んで目の前に現れたのは…。
再会。ここからまた親子の愛のカタチが紡がれていくーーー。
中盤からが勝負、そうきたか!
あまり気にしていなかったのですが
評価も良いので鑑賞しました。
なんかよくある感じのストーリー
キャラクターデザインも「あー、その感じかぁ」
自然の風景や動物の描写などは、ある程度の想定を超えてきて
「よくある感じ」も進化するのだなと関心。
ロボットが動物と会話できるようになる演出は、説得力あってグッド。
ストーリーや設定は予想通りよくある感じで進行。
「あーはいはい」といった感じで、100分はそこそこつらいな。
ところが、中盤から徐々に盛り上がり
どんどんストーリーに引き込まれていく。
これは気分がぶち上がる展開です。
「よくある感じ」とか言ってごめんなさい。
最後まで清々しい気持ちで鑑賞できました。
最初なめてましたが、また観たくなる良作です。
特に親子鑑賞は激推です。
人との関わり方など
お子さんの人生勉強にもなりそうです。
追記:
鑑賞後に知ったのですが
「ヒックとドラゴン」1作目の監督なんですね
どうりで盛り上げ方がうまいわけだ。
良いアニメですが
少し遠い未来の地球。
ある無人島に高度な文明ロボットが漂着し、島に生息する動物たちと触れ合う様が描かれている。
展開はほぼ予想通り。序盤は退屈で眠てしまったけど、中盤以降は楽しめました。
物語にはロボットと野生動物しか出てこない。人間は栄華を誇っているが、水没したサンフランシスコ大橋など、大きな環境変化があった事は伺える。
ただそれが何なのか?温暖化?核戦争?映画の中では語られてはいないが、地球そのものは自然豊かに描かれているので、文明批判の意図はあまり見られない。
文明批判を抑えることで、ロボットと動物たちの結び付きのテーマをより鮮明に描くことには成功しているが、逆に言えばそれで終わってしまっている。
反発していた者同士がお互いを理解して強力する様は確かに感動的なのだが、序盤で野生ならではの食物連鎖を描いているので「ディズニーの動物ものとは違う辛口でリアルな野性感」を期待してしまったのを裏切られ感もあり、結果良く出来た子供向けアニメの域を出てないのだ。
でも家族揃って安心して楽しめる、上出来のアニメなのは確かです。
全305件中、241~260件目を表示