「自分なりに感じた、この作品のメッセージ」野生の島のロズ モグモグチワワさんの映画レビュー(感想・評価)
自分なりに感じた、この作品のメッセージ
この映画は、単なるロボットの成長譚ではなく、ロボットと動物たちが互いに学び合いながら成長していく話だ。
人を助けるために作られたロボット・ロズは優しさの象徴として描かれ、一方で、動物たちは生きるために狡猾であり、時には他の生き物を犠牲にする厳しい現実を象徴している。
動物たちはロズから支え合うことの大切さを学び、ロズは動物たちから生き抜くための知恵や、ときには嘘をつくこと、敵との戦い方を学んでいく。
原題は「The Wild Robot」であるが、ロズが野生を学ぶのと同時に、動物たちも優しさによって生き抜く方法をロズから学んでいく。
最も印象に残ったのは、キツネのフィンクがロズを引き留めようとするシーンだ。
彼の「Who what if I need to tell you something, and you're not here?(もし伝えたいことがあるのに君がいなかったら?)」という、今にも泣き出しそうな彼らしくない台詞から、彼がロズをどれだけ大切に想っているかが痛いほど伝わってくる。
この場面の、行かないで欲しいという、すがるような気持ちが伝わる演技は見事という他ない。
アクションシーンの演出も素晴らしく、さすがドリームワークスといった仕上がりだった。
アニメーションならではのダイナミックな動きが心地よく、特に『バッドガイズ』や『ペンギンズ』が好きな人にはたまらないだろう。
この作品では人間がほとんど登場せず、森の中で物語が進む前半では、これが未来の話なのか、どれほどファンタジー要素がある世界なのかもよく分からない。
中盤、ゴールデンゲートブリッジが海に沈んでいる一瞬の映像が、この世界が遠い未来であり、環境破壊が進んだ地球であることを暗示している。
ただのファンタジーではなく、現実と地続きの未来かもしれない——長々とした説明ではなく、一瞬の情景で想像力を掻き立てる演出も見事だった。