「アニメでしか描けない」野生の島のロズ たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメでしか描けない
2016年に出版されたばかりのベストセラー児童文学「The Wild Robot」をドリームワークスが映画化したディズニーには作れないであろう傑作アニメである。冒頭ロズが危機を乗り越えるために崖の這い上り方をお手本にしたカニがあっという間に鳥にさらわれ餌となる。人間がいない動物だけの島で食う食われるの生態系が端的に描かれ、擬人化とは逆に鳥や狐やビーバーに「擬動物化」された人間が「自然本能」を乗り越え人種や格差を克服して協力し「愛と平和」を勝ち取るというあまりにもベタなテーマに臆せず真正面から取り組んでいて純粋に泣ける。予告編でわかる通りロボットと鳥に親子愛が芽生え、動物たちが食べちゃいたい本能を抑えて一致団結する童話なのだけれど打ち込まれたプログラムが役に立たないロズと同じく動物たちもDNAプログラムに反逆してみせるという展開に戦闘のやまぬ現代人の理性が問われている。飛行練習で凧揚げのように鳥を腕に乗せて走り、渡りへの出発で一緒に駆け出し断崖で雁の群れを見上げる「半泣き顔の」ロズ、この素晴らしい描写はアニメにしかできないし繊細な画に支えられたカメラワークがこれぞ映画の醍醐味を味合わせてくれてやはりアニメは最強。吹き替えの綾瀬はるかもグッジョブ。
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