「まさかの日本ネタ」破墓 パミョ 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
まさかの日本ネタ
韓国映画の観賞本数は多くはないが、観る度にレベルの高さに感心している。そういう俺なので、韓国で大ヒット映画という触れ込みに興味をそそられ、観賞。
少し予想と違ったが、なかなか面白かった。
【物語】
ファリム(キム・ゴウン)は日本でいうところの巫女。あるとき弟子のボンギル(イ・ドヒョン)とアメリカを訪れる。 韓国系の大富豪一家に、跡継ぎが代々謎の病気にかかるため原因を探って欲しいという依頼を受けたためだった。ファリムは既に亡くなった現当主の祖父が墓で暴れているためで、改葬が必要と告げる。
当主から改葬を頼まれたファリムは破格の報酬に釣られて風水師のサンドク(チェ・ミンシク)と葬儀師のヨングン(ユ・ヘジン)らにも声を掛け、韓国にある墓の改葬を引き受ける。しかし、墓を訪れたサンドクはヤバい空気を察知し、この墓の改葬は断るべきとファリムらに言う。しかし、大金を手にしたいファリムらはお祓いと改葬を同時に行なう案でサンドクを説得する。
墓を掘り返して儀式を進めるうちに奇怪な出来事が次々と起こる。
【感想】
予告編から想像したのは、ホラーの風味を持ちつつも、最終的には現実的種明かしが示されるミステリーものだった。しかし、実際はジャンルで言えばジャパニーズホラーに近い。今年日本で大ヒットした“変な家”みたいな作品と言えば良いだろうか。前半は結構リアリティーのあるミステリーものとして展開するのだが、後半はかなりリアリティーから離れたフィクションの世界が展開される。
どちらかと言えば、俺はリアリティーのある世界の中で物語が展開されることを好むのだが、まあれはこれで悪くないと思えた。そう思えるのは緊張感・恐怖感の演出が優れているからだ。
ビックリしたのは宣伝には全く触れられていなかった日本ネタが出たこと。
中盤で登場した“幽霊”(劇中では精霊と言ってたかな)の不可解なセリフの中に「日の元」という言葉が耳に入り、「あれ、日本が関係あるの?」と思い始めたのだが、後半になって大いに関係していることが分る。これ以上書くのは控えるのが、すごくビックリ。
振り返ると、冒頭シーンは飛行機内のCAとファリムの日本語の会話のシーンで始まる(ファリムが「私は韓国人です」とCAに日本語で返す)。そのあたりは「本作は日本ネタ有り」の監督の遊び心溢れる予告だったのか。
ちなみに、日本人は日本が普通に耳に入ってしまうので劇中外国語であることに気付かなかったりしてしまうのだが、特に後半頻繁に入る日本語に関して、韓国人が観るとだいぶ印象が違うのかも。
いわゆる“貞子”的恐怖映画とは異なるのだが、ジャパニーズ・ホラー・ファンタジーのジャンルがお好きな方は、日本ネタも含めて楽しめると思う。