「(10/19追記あり/思いきり答え合わせ含むので注意)この結論に至るまでにはかなりの知識がいるなぁ。」破墓 パミョ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
(10/19追記あり/思いきり答え合わせ含むので注意)この結論に至るまでにはかなりの知識がいるなぁ。
今年373本目(合計1,465本目/今月(2024年10月度)24本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
今週は「SAW X」が極端にアレなので(後述。第3金曜日は有休促進デー)、この作品は相対的に評価が上がっちゃうのが困ったところです。
※ 記述の関係上、特に断りがない限り一貫して「韓国」と表記するものとします。
前半は、謎の病気や風水、地形がどうこう、古代・李氏朝鮮の歴史(風水師に絡めてが大半)と思いきや、後半は突然、日本の統治時代のことや、いわゆる文禄・慶長の役(およそ500年ほど前)のことまで出てくるので、???な展開になる方が大半かなと思うのですが、この脈略のなさがすごく、バグ映画なのかというほどなのですが、大阪市という最大のコリアタウンに住んでいて、外国人関係にアンテナを張っている行政書士の資格持ちは何とか見抜けるレベル…ではあるんですが、これ、無茶苦茶難易度が高いです…。
ストーリー紹介に関しては他の方が書かれている通りなのでここでは省略です。
前半に幾度となく登場する風水のお話と、後半の文禄慶長~統治時代の日本と韓国の、「風水を絡めた」歴史というのはかなり難易度の高いお話です。
採点は以下まで考慮しています。
なお、以下が「答え」であろう点は、大阪市立中央図書館ほか、KBS(韓国の国営放送。日本のNHKにおよそ相当)ほかのサイトほかを全て参考にしたものです。
------------------------------------------------------------------------------
(減点0.8/以下の結論にたどり着くのが容易ではない)
・ もはやリアルクイズ大会で、映画館で歴史雑学クイズ大会をされてもほとんどの方はこの「答え」にたどり着かず、まぁ統治時代はともかくも文禄慶長の役??となると、オカルト映画か?というほどの難易度だったりします。
このあたり、日本版では字幕をつけるなりして欲しかったです。
なお、この映画自体は日本での放映はかなり遅く(まぁ色々あるんでしょう)、求められる知識が「風水と日本/韓国の歴史のかかわり」といった特殊な知識であることから、(韓国以外の)大半の国では「ネタ映画」扱いされたようで(1週間か2週間でラインナップからきえた国(映画館)が大半)、そうそうにアマゾンプライムにいってしまっていて(日本では権利の関係で当然見られない)、なんだかなぁといったところです。
------------------------------------------------------------------------------
(参考/減点なし/日本と韓国、風水の関係)
もともと、風水は中国発祥の文化で、この文化を持つのは、日韓中の3国(および、台湾程度)に限られるといえます。
そのうえで、特に日韓中の中でも韓国(と北朝鮮)は風水の文化が現在でも強く、風水に基づいた考え方や家の建て方等が現在でも色濃く残る国です。一方で日本では「風水という文化もある」程度で、占いの道具として使われること「もある」程度と、同じ文化の存在によってもその認識が大きく違います。これは風水が日本・韓国(北朝鮮)にわたってきたときから少しずつずれたものです。
ここで風水の考えが強く存在する韓国(北朝鮮)では、風水の流れを鉄杭など(映画内でもちらっと出ます)で陸地に打つことで「風水の流れ」を変えることができ、ひいては「民族の精気」を奪おうという考え方が存在しました。この考え方は李氏朝鮮などでも(国内での)策略に用いられたものです。
さて、「第一の侵略」とされる文禄慶長の役においては、もともとこの戦いは海戦が大半であり(「ノリャン」など参照のこと)、朝鮮半島の陸地戦はほとんどなく、一方で中国(当時は明)も参戦しており、日本が実際に鉄杭を持ち込んだには歴史上争いがあります(実際に数本しか残っていない)。ただ、何であれ中立的立場で見れば、日本の侵略行為があったことは程度の差はあれそれは事実です。映画内で「慶長~」や「関ヶ原の戦い~」といった時代の話が出るのはこの時代のこのお話です。
一方、「第二の侵略」というより、こちらのほうが重要ですが、日本が韓国を併合すると、韓国国内には多くの鉄杭が植えられました。併合により日本への感情が悪くなった以上に上記のような風水の考え方があった韓国(北朝鮮)国内は強く反発し、日本が行ったこれらの行為を「(日本による)風水謀略(陰謀)論」等と呼ばれます。
ところが、「第二の侵略」は当然規模も多く実際の資料や資料館等も存在しますが、当時の日本がなぜこれらの鉄杭をうったのかというのは争いがあるところ、現在(2023~2024年)では「三角測量のため」と説明されることが多いです。韓国を併合した日本では、韓国も含めて地図を作る必要があったものの、当時は当然GPSなどないので、(今もある)三角測量術を使う必要があり、そこで鉄杭が多く打たれ、上記のように「風水の脈を断たれた」という嫌悪感を持つ当事者は少なくありませんでした。
現在では、日本/韓国において科学、歴史を中立的に見る立場では「三角測量のためにうたれたもの」とされるものの、根強い異論説がいくつかあります。実際に「当時の韓国民がそういう思想を持っていることを知っていて、三角測量は口実であり、民族分断を目的としていた」というものもあります。これはもっとも根強い反対説ですが、当時の日本では風水術はすでに「オカルト文化扱い」であり、日本の隣国(統治していたので「隣国」かは微妙ですが、あえて使用)である韓国(北朝鮮)でそのような思想感を持っていたことを誰も知りえなかったという反論があります。また、もしそうであるなら、統治の際に当時の韓国(北朝鮮)の風水に関する書籍をことごとく没収するなどしていたはずですが、そのような史実もなかったりします。また、実際に(映画内でも出てくるように)山に多く植えられていたのも「三角測量説」を強く支持するものです(実際に「嫌がらせ」に出ようとすれば、世宗大王像(当時。現在も)の前など、明らかに「嫌がらせ」ができる場所に置けたため)。
現在、2023~2024年では「正しい理解」が進み、上記の「日本の嫌がらせ説」は衰退していきましたが、確固たる証拠(文書等)がないため現在でもそう考える方も一定数おり、「もしそうなら」というifで作られた小説・映画等もあります。この作品はまさにそれにあたります(1995年頃に日韓の対立があったころ、当時の大統領が韓国国内の主要な場所を全部掘らせたが、150個(文献によっては210個)しか出てこず、結局「風水を妨害する目的だと(韓国の面積を考えると)数が少なすぎる、風水の理論と一致しない」という議論も出たほどです。現在、2023~2024年では日本との共同路線を歩む観点から、韓国憲法が定める「表現の自由」の範囲でご自由にどうぞ、程度で、国はこの件に基本的に関与しなくなりました)
こうした、今ではオカルト文化扱いの「風水」を巡った歴史が日本と韓国、北朝鮮にはあり、この映画もその思想感に基づいて作られています(このことは韓国国内の上映のトークショーでも「それら歴史も参考にはしたが、表立って日本叩きの展開にはしなかった」とのこと。実際にそうであり、だからこそこの映画は極端にわかりにくい展開になっている)。
ただ、これらの知識は日本国内ではおよそ常識ではないので、まるで理解ができず、ネタ映画かあるいは「いわゆる」反日映画かという状況になっていて、それがちょっとどうなのか…(情報不足にすぎる)といったところです(このようなことは当然ある程度の前提知識を持っていてさらに調べればわかるにすぎず、一般常識でも何でもなく、ネタ映画扱いされても文句は言えない)。
★ ここから 10/19追記部分 ★
(減点なし/参考/映画内で参照される北緯東経の情報は何を意味するのか)
・ この作品は上記に書いたように、海外(韓国除く)ではほとんど理解されず、そうそうに配信サービスになってしまったため、メモを自由に取れる状況では、映画内で幾度となく出てくる「北緯38.3417度、東経128.328度」とはそもそも何か?という質問は結構このようなサイト(海外にも映画評価サイトはあります)では多いです。
ここは、朝鮮半島(韓国・北朝鮮)最大の山脈、太白山脈(テベク~)の、韓国から訪れることができる最も北側の「山」です。上記に書いた通り、この映画の一つのテーマに風水論(と、日本の風水謀略論)があり、国内(韓国国内)で最も北側にある鉄杭は(朝鮮戦争との関係もあり)特別な存在です。
※ このように、韓国と北朝鮮は北緯38度「ちょうど」で分断されているのではありません(ここも勘違いする方が多い)。
(減点なし/参考/台湾とのかかわり)
・ 日本は台湾も占領したことはご存じの方が多いと思いますが、台湾においては韓国ほど風水が国(ここでは便宜上使用する語)をあげて信じられておらず、日本と同様に「オカルト的な文化の一つで、信じる人もいるし信じない人もいるし、家を建てるときの方角の一つの参考にする」程度の、日本と同じような発展をたどりました。そのため、同じような製作は台湾でも取られましたが、「三角測量のため」と説明して実際に事例などをしめして「こういうものです」と説明すれば大半の当事者が納得したため大きな問題は台湾では起きませんでした。