「ハリセンかましたくもなりましたが」ありきたりな言葉じゃなくて Ericさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリセンかましたくもなりましたが
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『ありきたり』ありふれた。平凡。
ありふれていない言葉を使った脚本家を目指しているらしい拓也だが、その雰囲気はありふれた、どこにでもいる青年だ。目指すものに対し拓也は人の心を考えるのはまだまだらしい。「お腹が空いた」とは人の心情を想像できない理由のラッキーホームランだったかもしれない。
父親が酒飲みだったからだろう、私は酒はやらない。酔っ払いに対する目は人より厳しい。だからこそフラッフラの拓也には怒りすら覚えていた。本当に世の人はここまで失敗するのか、という不運続きだ。なぜ拓也が軽く思えるのかは自ら放った言葉で説明できるだろうか。拓也は幸せだったからだ、と受け取った。
その中で最初は人の心が分からなかった拓也に徐々に変化がある。変化があると言っても自分にはこれだけの人がいてくれたんだ、と気づいてくることだ。最後に人の心が分かるようになった、と考えるといやまだこれからでしょう、ではある。
そして拓也が新たなスタートを始められたのは自分を思ってくれる人達がいたからだ。最後に書こうとしている脚本にその気付きが盛り込まれるといいのだが。
対するりえには自分を暖かく包んでくれる人がいなかった。りえがどうなるか、これまた分からない。
でもりえは母親に泣き顔を見せられた。涙を流せた。これが少しずつでもりえの新たなスタートにつながりますように、と希望を持ちたい。
ハリセンをかましてやりたくなったのは、自分のことしか考えていないように見えた拓也に対してだ。でも私はどうだ。やはり自分のことしか考えない。これは一種の同族嫌悪かもしれない。
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