「【”寿司とキンパ”近未来の高校生達が監視システムを導入した校長達に対し決然と自分達の人権、自由を訴える姿や自身の進むべき道やアイデンティティについて考える姿をコミカル要素を絡ませて描いた作品。】」HAPPYEND NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”寿司とキンパ”近未来の高校生達が監視システムを導入した校長達に対し決然と自分達の人権、自由を訴える姿や自身の進むべき道やアイデンティティについて考える姿をコミカル要素を絡ませて描いた作品。】
■幼馴染のユウタ(栗原颯人)と在日朝鮮人のコウ(日髙由起刀)は、いつでも仲間達と電子音楽を聴いたり、悪戯をして過ごしていた。
ある日、学校が監視システムを導入した事で、コウは自分のアイデンティティや社会について考え始める。
やがて、コウは楽しむ事しか考えていない様に見えるユウタに対し、複雑な気持ちを持つようになる。
◆感想
・今作は、空音央監督の長編劇映画デビュー作だそうであるが、高校生達と校長(佐野史郎)との対立や、高校生達の中でも考えが違っている表現の仕方が、良いなと思った作品である。
・校長の愛車のスポーツカーを悪戯で”垂直”にオブジェのように”展示”するシーンを含めて、映像としても巧いなと思ったシーンが幾つかあった。
・又、望遠で撮った二人の人物の会話を、すぐ手前にいるユウタとコウが、適当な台詞を入れるシーンなども面白かったな。
■校長たちが導入した監視システムの描き方が、凄くて人物をスマホで写真を撮るように捉え、その行動で”不純異性交遊 -10P"などと出る所はナカナカだったな。
・そして、校長先生を生徒達が校長室に軟禁し、団体交渉を行うシーンで、校長の手先の調子のよい教師が、窓を叩いて寿司を差し入れるシーン。
校長は、生徒達にも進めるのだが、彼らは寿司を口にしない。だが、団交に参加しなかったコウが、差し入れする”キンパ”が一人一パックづつ配られて、生徒達が上手そうに食べるシーンも良かった。
<そして、コウは高校を退学になり母親(渡辺真起子)に頭を小突かれるのだが、母親が”アンタ、もう18でしょ。大人だね。”と言ってそれ以上は干渉しない姿や、コウとユウタが陸橋の橋のT字の部分で別れるシーンも良かったな。
今作は、全編に電子音楽を織り交ぜて描いた近未来の高校生達の、権力に抗う姿や迎合する姿。そして、彼らが未来に向かって進もうとする姿を斬新な手法も取り入れて描いた作品である。>