モダン・マスターズ S・S・ラージャマウリのレビュー・感想・評価
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I’m on the top of the world,looking down on creation. 神をも畏れぬ”映画の奴隷”、その足跡を辿る。
インド映画界最大のヒットメーカー、S・S・ラージャマウリ監督の半生を辿るドキュメンタリー。
○出演
ジェームズ・キャメロン…『タイタニック』『アバター』シリーズ。
2022年、『RRR』の大ヒットにより日本でもその名を知られるようになったラージャマウリ監督。自らを”映画の奴隷”と称する彼の幼少期から下積み時代、映画監督デビュー、そして世界的名声を得た現在までを74分という程よいランタイムで描き出す。
ラージャマウリ監督自身へは勿論のこと、プラバース、ラーム・チャラン、N・T・R・ラオ・ジュニアといった彼の作品の常連でもあるスター達へもインタビューを敢行。長編監督デビュー作『Student No: 1』(2001)からの付き合いであるNTRが「監督はイかれている」と発言するほど作品作りに情熱を傾けるラージャマウリの実像を、実体験を交えながら満足そうに語る彼らの様子からは深い信頼関係が窺える。
あれだけ流行った「ナートゥ・ナートゥ」だが、ラーム・チャランは過酷すぎる撮影のことを思い出すため2度と聞きたくないとのこと。兄貴ーーっ…😭
さらに、ジェームズ・キャメロンやジョー・ルッソといったハリウッドの大物監督達も出演。ラージャマウリの手腕を絶賛しているが、これは「ハリウッドで一緒にやらないか?」という遠回しなラブコールのように思えてならない。もしかしたら、ラージャマウリの次回作はハリウッド超大作になるのかも!?
ラージャマウリ監督がどれほど凄いのか、それをたっぷりと描いているドキュメンタリーなのだが、ただ監督をヨイショするだけでなく、『バーフバリ』シリーズ(2015-2017)におけるカーストや女性の描き方が問題視されたことなど、少々センシティブな質問をぶつけている点にこの作品の誠実さがみえる。
答えづらい質問にも丁寧に答える監督の姿に、彼の人柄が表れています。
インドの映画業界という、縁遠い世界を垣間見られるという点でもこのドキュメンタリーは貴重。
驚くのはラージャマウリ組とでも言うべき彼のチームが完全に血縁で固められていると言うことである。実父が脚本家であることはなんとなく聞いたことがあったが、それだけに留まらず従兄弟が作曲家、妻が衣装デザイナー、義姉と息子がラインプロデューサー、甥っ子が歌手…。家内制手工業で映画作ってるの!?
本作を観て思ったのは、インド映画界というのはどうも世襲制が横行しているということ。プラバースやNTR、チャラン兄貴だって映画一家の生まれだし。他国の業界の事に口出しするのも野暮だとは思うんだけど、一般家庭に生まれた人間が映画界に割って入るのは相当難しそうだ。まぁそれは日本もハリウッドも似たようなもんなんだろうけどさ。
気になったのは『バーフバリ 伝説誕生』(2015)が公開時は不評だったと言う点。これ、たった1日で状況がひっくり返ったという事だったが、初日だけ不評でその後は大絶賛なんて事ある?このエピソードにはちょっと支離滅裂さを感じてしまった。
『バーフバリ』の製作舞台裏だけでも映画が作れそうなくらい色々あったぽいし、そこを徹底的に掘り下げてても良かったように思う。
ラージャマウリ監督の映画人生だけでなく、プライベートや宗教観までもが描かれたファン必見の一作。宗教熱の高いインドにあって、「私の神は映画だけ」というスタンスを貫く監督の狂気にも似た映画愛には崇高さすら覚える。
スピルバーグ監督のようなサービス精神と、ヒッチコック監督のような完璧主義、宮崎駿監督のような爆発的なエネルギー。これが備わっているんだから、そりゃあ世界最高の映画監督にもなれるわ。ラージャマウリ監督はまだ50歳。これからどんどん彼の新作を観る事が出来るんなんてこんなに幸せな事はない…😭
あっそうだ。
おいモモアマンっ!なに『バーフバリ』のオファー蹴っってんだよ!!💢ラージャマウリ作品で暴れるジェイソン・モモアとか超観たいんだからさ。次があったら是非頼みますよっ!!
※下積み時代、『サンティ・ニヴァーサム』というテレビドラマを500話作ったと言うラージャマウリ。凄まじい仕事量だが、これでも全話数の20%だということ。って事はこのドラマ全2500話って事!?そっちに驚くわっ!!
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