ぼくとパパ、約束の週末のレビュー・感想・評価
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「普通」じゃない大変さ、受容することの大変さ
いやーこれは、親も本人も大変だ。特に、いろいろあってサッカー観戦行脚を始めるまでの序盤は、見ていて正直つらくなってしまった。悪意のある人間が誰もいないのにぎすぎすした雰囲気になっているのが余計にきつい。自閉スペクトラム症の大変さへの理解は確実に深まる作品。
最初、母親のファティメはバス停で「自分の」席に座りたいというジェイソンのために老婆と喧嘩したりしていた。彼女だって一生懸命に、ジェイソンのことを思ってそうしたのはわかる(何年も日々何度となくああいう場面に遭遇するうち彼女のアプローチはああなってしまったのだろう。前振りとして、あまりよくない庇護の姿を描いているのだと思った。お婆ちゃんの言い分もわかる……)。
ただ結果的には、上手いタイミングでジェイソンのやる気を掬い上げ、スタジアム巡りという形で見知らぬ他人と間近に過ごす機会を作ったことが彼をめざましく成長させた。一番やりたいことができたことで、自分が作ってきたルールに少しずつ優先順位をつけることができるようになった。「可愛い子には旅をさせよ」とはよく言ったものだ。
ジェイソンと週末遠征を重ねるうち、それまでは仕事が忙しくて息子の面倒をファティメに任せがちだったミルコは妻の苦労を知り、ジェイソンのパニックや成長に向き合う。
出張ついでにスタジアムに行こうというジェイソンの提案をのんで出かけた先では、ジェイソンの教えてくれたオーロラに見惚れて荷物を失くし、息子の面倒を見るより仕事の方が楽だとつい本音を言ってジェイソンに当たってしまう。
この時のミルコの気持ちがとても切ない。家庭事情への上司の配慮で割り振られた仕事を飛ばしてしまえば、そりゃ感情的にもなる(もっとも根本原因はミルコの荷物管理がおろそかで置き引きにあったためで、ジェイソンの主張に足を引っ張られて列車に乗れなかったのはダメ押しに過ぎないのだが)。お父さんも大変だもの、時に失敗もするし感情的にもなるよ……。
ただ、ジェイソン自身は「仕事の方が楽ならパパが仕事を選ぶのは当たり前、それより試合を見られなかったのが許せない」というドライなスタンスで、意外な形でミルコのぶっちゃけが救われたのがちょっと面白かった。
週末遠征が定着するにつれ明るさを取り戻すジェイソンの家族。そんな中、ジェイソンはかねて関心のあった宇宙物理学の教授に会って、自分の才能で社会とつながる端緒を開く。学校では自分の特性を壇上で説明し理解を求め、自分の力で少しでも生きにくさを解消していこうとする。自立の芽が見えて、希望を感じるエンディングだった。
ジェイソン役のセシリオ・アンドレセンが上手すぎてうなった。2011年生まれということで、撮影時には物語のジェイソンと同じ10歳そこそこだったはず。自閉スペクトラム症当事者というわけでもないのに、多分再現度がかなり高い。モデルになったミルコ・ジェイソン父子のインタビューを読んだが、列車内での食事シーンなどはあまりにも現実と同じで、ジェイソン本人が恥ずかしくなってしまうほどだったそうだ。
(やたらサスティナビリティにこだわりを見せるくだりは、グレタ・トゥーンベリ氏を思い出してしまった。彼女もジェイソンと同じ特性の持ち主だが、サスティナビリティの思想と自閉スペクトラムの思考回路は何か親和性があるのだろうか)
現在のジェイソンはチューリッヒの大学で宇宙物理学を学んでいるとのこと。好きなことで居場所を見つけられてよかったね。
ドイツの様々なスタジアムと現地の熱狂的なファンの応援風景も見応えがある。私は欧州サッカーのことはほとんど知らないが、それでも観客席の熱量と一体感の特別な感じは伝わってきた。サッカー好きの人なら、次々映し出される現地スタジアムの風景も大きな見どころになるのではないだろうか。
ちなみに、ある観戦シーンに本物の方のミルコ・ジェイソン親子が出演していて、父ミルコは後ろから主人公親子に話しかけている。
世間の「普通」の感覚とのギャップ、そして自分の中で氾濫する発想の渦と闘いながら生きるジェイソンの大変さはよくわかったが、彼らには恵まれている側面もある。
一番驚いたのは、父ミルコの上司の寛容さだ。これはどこまで事実通りなのかと穿った見方をしたくなるほど理想的な職場。あの上司の采配がなければジェイソンたちはスタジアム巡り自体できなかった。あそこまで職場に恵まれずに、作品序盤のような余裕のないやり取りが延々と続く当事者家庭も少なくないのではと想像した。
もうひとつ、ジェイソンには物理学の才能があり、社会でもリスペクトされるその才能を育もうとしてくれる両親がいた。そのことが、彼の自立を助けてくれるだろう。
でも一般的には自閉スペクトラムだからといって、必ずわかりやすい何かに秀でているとは限らないのではないだろうか。作中で、家族は特殊学級について否定的だったが、自立して生きるという教育の最終目標のために、特殊学級が適する当事者もいるのではと思う。
ジェイソンの物語は個別の一例に過ぎず、神経発達症(発達障害)当事者にはさまざまな特性の人たちがいる。そこが第三者の理解を難しくする部分でもあるが、まずその事実を知り家族の気持ちを想像する人間が増えるだけでも、少しずつ何かが変わっていくのではないだろうか。
両親の無上の愛に感動
10歳の自閉症の少年が、推しのサッカーチームを実際に見てみつけるために、
週末の旅にパパと旅をするという話ですが、
とにかく両親の少年への無上の愛をビシビシ感じる作品で、猛烈に感動しました。
主人公ジェイソンのマイルールについていくのは本当に大変だと思います。
そりゃあ全く知らない赤の他人は、ヤバい子だと思っても致し方ないと思います。
でも、赤の他人に理解をしてもらおうと努力する両親、
そこに真摯に向かいあうご両親の愛情であり、もうリスペクトしかありませんし心を打たれました。
旅のさなかパパがキレてしまってジェイソンにキツイことを言いますが、
それもわかります。完璧ではいられないですよ。人間なんてそんなもんですよ。
でも、ちゃんと自分で反省をしてジェイソンと向かいあう姿には心が震えましたね。
ラスト近くでジェイソンが小学校のクラスで、
自分の強み・弱みをみんなの前で発表して、自分を理解してほしいと話す場面が
成長しているジェイソンを見事に表現していて、素晴らしいと思いましたね。
というわけで、事実をベースにしている話だということを
エンドロールであらためて噛み締めるわけですが、
こういう作品は多くの方に観てもらい、優しい気持ちの人が多い世界になって欲しいと思います。
周りの人がみんな優しい
列車の食堂車で「躾しなさいよ」と
嫌味を言うおばさんが居たけど
口にしなくても
自分も思ってたりした。
自閉症と言うものが
こんなにも壮絶なものとは知らなかった。
理解ある職場の上司、祖父母の協力
両親の深い愛情の素晴らしさに感動する。
自分で作ったルールを少しづつ自分で
改変して行く事で、ジェイソンが成長していく姿も
微笑ましく、嬉しくなった。
推しチーム、見つけられたかなぁ⚽️
親目線で見てしまう
アスペルガーの息子を育てる親の思いが痛いほど伝わってくる。
息子のこだわり、音や接触に敏感なところの表現がリアル。子役の演技が素晴らしい。小学生と接する仕事をしてきたので、ここまでではなくともこのような子は、クラスに1人はいる感覚だ。本人の苦しみも良く表現されていた。
周りの反応も無知からくるものが多く、どの国も似たり寄ったりなのだなと痛感。
観ていて涙がにじんだ。
それでも、ラストでは自分のことを客観的にみることができ、クラスの人たちに伝えることができた。
ドイツ中のスタジアムを巡るのだが、ちょっとした旅行気分を味わった。様々な列車、スタジアムの形状、ファンの応援の様子…圧巻だった。また、トイレについては、知ってはいたのだが、あんなに酷いとは!日本は、衛生的な国だとつくづく感じた。
World
自閉症を持っている息子ジェイソンと父親ミルコが推しのサッカーチームを見つけるために各地を奔走するという触れ込みに惹かれての鑑賞。
中々にズッシリとくる作品でした。
自分が小学校や中学校の時までは自閉症を持っている友人と一緒に生活していましたが、高校生になってからはパッタリ触れることも出会う事も無くなったなと思っていたことを思い出しましたし、自閉症を持つ本人の気苦労、周りから理解されない苦しみと理解ができない周り、さらには親目線で映される自閉症の息子というのも本当に興味深くて、かつリアルだからこそ観ている途中の体は重かったです。
自分も接客がメインの仕事をやっているので自閉症らしき方と接客する事もありますし、その行動が理解できないという事も全然あるので、これを仕事として長くて5分ほどの触れ合うだけの自分と年中接する親となるとその苦労は計り知れないものがあるなと思いました。
ジェイソンの行動はやはり自分勝手かつ相手のことを考えていないようにしか見えず、自分のルーティンが崩されると激昂するし、同級生だろうと先生だろうと知らない人だろうとエゲツないくらい暴言を吐きまくるので初見の人からすると「なんやこのクソガキは」と見えるのは致し方ないですし、慣れた同級生からしたらからかいがいのある遊び道具に思われてしまいますし、先生からすると扱いにくくてしょうがない存在だと思うのでこの時点で誰も悪意がないのに雰囲気がよろしくないというのもリアルだなと思いました。
ふとしたきっかけでサッカーチーム探しに動き出したジェイソンとミルコですが、旅の始まりから大波乱起きまくりで本当に大変そうでした。
解決の糸口が全く見つからないジェイソンの行動に加えて、ジェイソンの症状を知らない他人から心無い言葉もあって挟まれたミルコの表情は辛そうでした。
いざサッカースタジアムに着いてからも大変そうで家族以外から触れられるのが苦手なジェイソンがサポーターが熱狂的な現場に行ったらそりゃ触れられまくり、歓声も大きいからびくりまくりでそれを守るミルコは試合を楽しめたもんじゃないですし、ジェイソンは細かい事が気になるのも拍車をかけて危険の連続ですがジェイソンはなんかスッキリしてるので気苦労の連発だと思います。
少しずつミルコが奥さんの苦労が分かってきてからは真摯にジェイソンと向き合って、2人だけの旅を楽しんでいる姿は親子の絆が感じられて素敵でした。
ミルコがジェイソンにぶっちゃけて怒ってしまうところも分かるけど、分かるけど言っちゃダメだよーとなったのと同時に、ミルコ自身のミスがあるとはいえジェイソンが意固地になってるからそりゃ頭に来るものもあるよ…とどちらかというとミルコ側に感情移入してしまいました。
終盤の展開も予想外の連発でミルコももう吹っ切れてジェイソンと共に駆け回っている姿は清々しかったですし、ただでは終わらないジェイソンもジェイソンで一貫してるわと感心してしまいました。
にしてもジェイソンの条件に見合うサッカーチームってこの世のどこかにいるんだろうか…。
レビューを書いてる途中で思い出したのですが、自分も昔は掃除機の音が極度に苦手で、とにかく嫌がっていたそうで母親が自閉症なんじゃ?と思っていた時期があったそうです。
徐々に慣れてきて掃除機にも反応しなくなったみたいなんですが、そういう兆候があるとやっぱり苦労したみたいでどうやって育てていこうと悩んだみたいです。
今では真っ暗な映画館で爆音上映を楽しむ子供に育ったので安心してくださいな。
今もまだ続いている推しサッカーチーム探し、どこかで運命のチームに出会えるといいなと願うことしかできませんが、父親とそうやって旅ができるっていうのも少し羨ましいところがあります。
この旅が成長にガンガン繋がっていってくれればなと遠い日本から願っています。
鑑賞日 11/28
鑑賞時間 18:05〜20:05
座席 D-7
既存の障がい児を巡る作品との共通性と独自性、そして疑問点
確かにテレビドラマ『ライオンの隠れ家』の自閉症者と同様に、自分のこだわりだけでなく、同伴者の言い分を受入れ、共に歩もうと成長する姿がみられるのが良いところであると感じた。『レインマン』にまつわる冗談や、ボディチェックでの係員の冗談も、少し可笑しみがあった。テンプル・グランディン氏も自分のルールをつくっていたが、本作の息子がつくったルールは窮屈な感じだった。
バス停や電車内で、親の躾がなっていないと非難する周囲の人々の姿は、日本ではそれほどみうけられなくなったような気がするけれども、ドイツではまだまだみられるのだろうか。それはそれで奇特である。
息子の相手をするために父親が勤務形態を変更することを上司に交渉したり、馘を覚悟で仕事を選ぼうとしたりしたところは、『どんぐりの家』に出てくる清の母親の姿勢とも通じる気がした。本作の父親は、妻も同じような苦労をしてきたことに思い到り、感謝しており、『クレーマー、クレーマー』等のように、妻から責任を丸投げされた夫とは違う。家族愛を尊重するような上司で良かったと思った。
家族や支援者が障がい者に対して堪忍袋の緒が切れ、怒鳴り散らし、やがて悔いる姿をみせる作品では、『ケニー』、『ギルバート・グレイプ』、『学校Ⅱ』も秀逸だった。
各競技場でのサポーターの熱狂的な応援や、鉄道旅の様子、オーロラの美しさもまたみどころであった。
疑問に感じたこととしては、生後1歳か2歳くらいの誕生日に電車模型をプレゼントに与え、興味を示さず、上体揺らしの常同行動を取ったことで、「アスペルガー症候群」の疑いをもたれたことが一つ。自閉症の判定基準の一つに、生後3歳くらいまでに発現するというのがあるが、「アスペルガー症候群」は、言語の遅れがないものが該当するはずなので、その年齢時点でのその判定はおかしいのではないか。また、発見者のアスペルガー氏はドイツ語圏のオーストリア人で、論文をドイツ語で発表したため、第2次大戦後もなかなか英米圏に広まることはなかったといわれるけれども、21世紀になったドイツ国内でさえ、その症状の子どもたちへの対応は、移民の子どもの受入れが進んでいたと思われる通常学校では行われず、分離制学校に委ねられることが多々あり、その学校に進学すると、大学教育への途は閉ざされているようである。恩師は、1990年代のドイツ国内の障がい児の学校インテグレーションが漸進的であると評していたが、本作を観た限りでは、日本の現状と比べても、かなり進展が遅れているように思えた。本作のパンフレットでもあれば、解説がなされていたかもしれない。最新の実態の詳細な研究成果が発表されることを期待したい。
(時と場合により)ルーティンなんてぶち破れ!
原題: Wochenendrebellen
あー、うぉちぇーんどれべれ??
…失礼。
グーグル先生によると「週末の反逆者」ですか。
反逆者とはそうジェイソン君のこと。自らのルーティンや規則との闘い。心と心の闘い。愛情たっぷりの両親がサポーターとなったジェイジェイの反逆の勝利!でした。
権威的なオバチャンと衝突してしまうバス停での一幕にて「この子の苦労の何がわかるんですか?」と訴えるママの心境、見ているこちらも心が痛い。その他、登場し行き交う人々に悪人は少ないのは気休めとなった。(トイレで手を出してきたキッズは別ね)
至って普通の、むしろ優しさのある人しか出てこなかった物語であるが故に、一般的な社会通念とぶつかりまくってしまう主人公の障害の辛さ、切なさを際立たせていたように感じた。
物語のクライマックスは教室でのスピーチ。レビューで何度か触れている事だけど、やはり人と人の分かり合いは「言葉」なんだよな。にんげんだもの。
障害を持つ側も、社会側も、互いにすり寄る姿勢の「通念化」が必要というお話ですね。
実在モデルのジェイソン君は19歳。努力の末、自己と環境の分析は済んでそうな雰囲気でよかった。宇宙物理の学者さん、ぜひ実現して!本作のエンドクレジットにその後についての説明文を追補してくれたらいいですね。
***
The 欧州サッカーファンの私としては、実在テーマの「サッカーチーム全部見たい」については、ええ、ええ、いいじゃない!とお爺ちゃんと同じく無邪気に賛同してしまいたいところだ。が、しかし!例えば浦和レッズのゴール裏で想像してもですよ…。ハンディキャップの有無に関わらず子供連れでの観戦は、受け入れ体質はさておき、親としては…イヤーどうかなーっ(^_^;)て感じですよね。我が家はおとなしくメインスタンドから見てます。
そして毎週末はキツすぎる〜笑 あんな素晴らしい会社は滅多に無さそうですし。
私の好きなチームのひとつだけども、作品がドルト推しなのはなぁぜなぁぜ(言っててイラっ!)まぁいいけどね。
コマンやムシアラなど映って眼福、スーパースター軍団のバイエルンは、こう見るとやっぱりスゲ〜(*_*) アンチの気持ちも、わかるぞい。
アスペルガーの息子を持った夫婦。一人では支えきれなかった。選手交代しながら、祖父母という強力なサポーターに支えられながら、本人もゆっくりと変わっていく姿が描かれます。
アスペルガー症候群の少年が主人公の作品です。
ドイツ作品は余り鑑賞した事がないかも ということも
あって鑑賞することにしました。・_・
鑑賞開始。さて。
主人公の少年が誕生する時点から始まります。
素直に喜ぶ両親だったが、定期的な健診を受ける
うちに、医師から告げられる。
” この子の発達段階に正常ではない特性がみられます ”
突然の告知を、すぐには理解できない両親。 …分かる ・_・;
” それは治るものなのですか? ”
” いいえ この状態は治るコトはありません ”
納得しがたい現実に向き合いながらの生活が続く。
母親が仕事をやめ(翻訳?だったか)世話をする。
父親は… どうやら仕事に逃げているようだ。…うーん。
母方の祖父母が、何かと生活の面倒をみてくれている。
両方ともサッカーのTV観戦が大好きなようだ。
この少年=ジェイソン君は10才になった。
普通の小学校に通っている。 …のだが
小学校の同級生とは上手く行かない。
自分のルールやこだわりが強いのだ。 …分かる
宇宙のことに興味と才能がみられるようなのだが
それすら同級生のからかい対象になっている。
” 太陽系の惑星って何がある? ” と訊かれ
太陽に近い順番では 水星 金星…
大きさの順番では 木星 土星…
同級生たちは、同じことを何度も尋ねるのだ。
聞かれるたび、同じように応えるジェイソン君。
ある日、応援するサッカーチームも無いのかと言われ、
無いと答えると、普通はあるものだと言われる。
ゆりかごの中で推しチームは決まるのだ とも。
” 自分には推しチームが無い ”
そのことが妙に気になり、帰宅後両親に、それぞれの
推しチームがどこかを尋ねる。
サッカー好きの祖父母も話に混ざり、ああだこうだ。
話を聞いただけではぴんと来ない。それなら…
ジェイソン少年、推しチームを見つけるにはスタジアム
で実際の雰囲気や環境、サポーターの質などなど
自分の目で見て判断したい と主張する。
気軽にジェイソンとその約束をした父親。
どこにしようかと決めようとすると、ジェイソン君。
” 最初のチームはくじで決めるから ”
” 最初? ”
” 1部から3部、全部をみないと決められないよ ”
” … …” …気持ちは分かる
こうして、週末ごとのドイツ国内観戦の旅が始まる。
ブンデスリーガに所属するクラブのスタジアムを全て訪問
実際に観戦し、どのクラブが自分に合うかを決める。
そういうことの約束だ。
ブンデスリーガのチーム数は多い。
1部から3部までを数えると、チーム数は50を超える。
絶望的な困難を予想しながらも、実行に移す父。
仕事中心だった父の、息子との行動に安堵し、旅の成功を祈る母。
贔屓チームをTV観戦で応援する祖父母も、父と息子を後押しする。
一つ目の訪問から苦難が続く。
移動中の電車。パスタに付いたソースがガマンできない。
” 解決して! ”
食堂車から席に戻ろうとして、パスタの皿を落としてしまう父。
少年の頭と心が悲鳴をあげる。
” 食べるものをムダにしてはダメなのに!”
多難すぎる前途に、父親の心も悲鳴をあげる…
自分のルールに合わないモノを受け入れない息子と
解決してと言われても出来ないことの方が多い父。
そんな中での父と二人で国内を電車で移動。
スタジアムではサポーター席で試合観戦し周囲の様子を観察。
それに付き合う父と、ゆっくりと
自分のルールを変えることも覚えていく主人公。
そして観戦の旅を重ねていく内に…
◇
と、いう感じのお話でした。
決して悪い内容の話では無いのですが、
「解決して!」と騒ぐシーンの多さ。
観ていて頭が痛くなってきたのも正直な感想です。・_・;ハイ
そんな中でも
家族の理解が素晴らしかった。特に祖父母。
祖父は「自分の父親とジェイソンは似ている」といい
さらに「私は父親のことが大好きだった」とも口にする。
” 周りに自分の理解者がいる ”
そのことの大切さに改めて気付く作品でもありました。
観て良かった。
◇あれこれ
■アスペルガー症候群
作中で「最近流行りの病名」という言われ方をしてました…。
うーん。最近になって出現したわけではなく、昔からあった
病気・症状だろうとは思います。
・落ち着きの無い子
・夢中になると周りが見えなくなる子
・周囲の輪の中に入れない子
あれ? 自分も当てはまる… うーん。そうかも。
有名になっただけではなく、周囲の理解も進むといいなぁ と
そう切実に願います。
■タイトル
翻訳:週末の反逆者(…うーん 物騒)
自分のルールへの叛逆 だったり
周囲の価値観への叛逆 だったり
ゆっくりとでも、周囲を受け入れることも必要
自分を少しでも、周囲に分かってもらうことも大事
自閉症の人間も、少しずつゆっくりとでも
変化も成長もするのだということを改めて
認識できる作品です。・-・
◇最後に
地元にJリーグのチームがあって、スタジアム観戦が日常
生活になっていたり、そこまででなくともスタジアム観戦
の経験がある方のほうが、共感しやすい内容なのかも
そんな風には感じました。
静かな環境が好ましい方にはちょっと…かもしれません。
その点で、現実のジェイソン君も頑張ったなぁ…と。
※本人の画像がエンドテロップに出てますがイケメンです♡
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
彼が乗るEVは宇宙に続いているが、一緒に乗る人がいないと2階にも辿り着けない
2024.11.21 字幕 MOVIX京都
2023年のドイツ映画(109分、G)
原作はミルコ・フォン・ユターセンカ&ジェイソン・フォン・ユターセンカの自伝『Wir Wochenendrebellen: Ein ganz besonderer Junge und sein Vater auf Stadiontour durch Europa(私たちは週末の反逆者:ヨーロッパのスタジアムを巡る特別な少年とその父親)』
自閉症の少年が推しのサッカークラブを探す旅に出る様子を描いたロードムービー
監督はマイク・ローテムント
脚本はリヒャルト・クロプ
原題は『Wochenendrebellen』、英題は『Weekend Rebels』で「週末の反逆者」という意味
物語の舞台は、ドイツ北西部のハーン
バーガーショップのスーパーバイザーとして働くミルコ(フロリアン・ダービト・フィッツ)は、ドイツ中にあるチェーン店のアドバイザーとして奮闘していた
彼には妻のファティメ(アイリン・テツェル)との間に10歳になる息子ジェイソン(セシリオ・アンドレセン、幼児期:ヴァエンティン・アンドレセン)がいて、妹のルーシー(Florina Siegel)は生まれたばかりだった
ジェイソンは自閉症スペクトラムと診断されていて、なかなか周囲に馴染めない中、自らが作り出した「ルール」によって日常を過ごしていた
ある日のこと、クラスメイトのエマ(Charlotte Hübner)から好きなサッカーチームのことを聞かれたジェイソンは、意味が分からないまま家族に相談することになった
同級生のヘンリー(Otis Ray Whigham)の言う「ゆりかごの時に決まっている」は、「生まれた地域のチームを愛する」と言うものだったが、父も母もハーンのチームを推しにはしていなかった
そこでジェイソンは、父と共に週末にスタジアムに行って、自分の好きなチーム探しをすることになった
そして、ミルコは上司のブリンクハウス(Leslie Malton)に直談判し、週休2日の職務に就き、週末はドイツ中のスタジアムを回ることになったのである
映画は、自閉症のリアルを描きつつ、それに翻弄される父親と、少しの間解放された母親との関係が描かれていく
祖父のゲルト(ヨアヒム・クロール)は自身の父が自閉症だったと語り、それゆえにジェイソンと仲良くなれると言っていた
実際に過ごす時間が長くても理解できないこともあるし、わずかな時間でも理解できる人もいる
要は、ジェイソンをどの視点で見るかによって変わってくるものがあって、その視点に行かなかった自分の本性と言うものも見えてくる
ジェイソンが言う「パパは僕から仕事に逃げている」と言うのは、彼自身からはそう見えている部分があり、ミルコ自体は否定したい気持ちを言葉にはできなかった
この温度差を理解するに至るのが「EVに乗っているジェイソンを見ること」になっていて、彼は何度もEVを上下させていた
一緒に乗っていると、複数回上下させる意味はわからないのだが、俯瞰してみるとその意味が見えてくる
ジェイソンは「そのEVにずっと一緒に乗ってくれる人」を探していて、一過性で乗り降りする人では彼の人生に寄り添えないことを訴えていたのではないだろうか
いずれにせよ、かなりリアルな自閉症映画なので、あまりの行動に苛立ってしまう人がいるかもしれない
バス停の席で揉めた老女(Nela Bartsch)のように、ジェイソンが自閉症で、自閉症がどんなものかを知っていないと同じ行動を取る人は多い
母親も含めて、関わりたくないので場所を空けると言う人がほとんどだと思うが、関係なく躾がなっていない子どもとの区別を瞬時につけるのは難しいと思う
まずは自閉症についての正しい知識の浸透が必要なのだが、通りすがりの人にまで配慮や理解を求めるのは無理だと思う
なので、それを理解している人が端的にフォローに入れば良いのだが、それはそれで過酷な道のりのように思えた
【”ありのままで良い。”今作は自閉症アスペルガー症候群の息子と交わした”推し”のサッカーチームを決める為に、週末にスタジアムで試合を見るルールを必死に遂行しようとする父や家族の姿が沁みる作品である。】
■幼児の際に、自閉症アスペルガー症候群と診断されたジェイソン(セシリオ・アンドレセン)は、学校でも同級生には揶揄われ、手を出してしまう問題児。
そんなある日、同級生から好きなサッカーチームを聞かれた彼は、ドイツの一部から三部の56チームの試合を見て決める、と言い出す。
父ミルコ(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)は、それまで仕事が忙しい事を言い訳にジェイソンの面倒を妻ファティメ(アイリン・テゼル)に任せて来たが、妻から責められ一念発起し、息子の願いを叶えようと毎週末、ジェイソンとドイツ各地のスタジアムを訪れる。だが、その旅はナカナカ大変で・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・列車の食堂ではパスタにソースがちょびっと付いていただけで、大騒ぎするジェイソン。アスペルガー症候群は拘りが強いんだけど、あの対応は大変だなあ、と思ってしまう。他のお客さんから見れば、只の我儘な子供に見えてしまうしね。
・ジェイソンが、環境に悪影響を与えていないかを常に気にする所も、ミルコにしては大変なんだけれども、結構重要だし、ネオナチを含めたナチスを嫌っている所も良かったな。
・旅の途中で、ジェイソンは、ミルコに”自分の決めたルールで頭の中が戦争状態だ!”と言うのだけれども、成程なあ。
■ミルコは仕事と絡ませて行った或る週末、ジェイソンの行動で仕事に行けずに、言ってしまうんだよね。”仕事に熱心なのは、お前と接する機会を少なくするためだ!”とね。
我慢の限界だったのだろうな。
けれども、旅をする中でミルコが哀しそうな顔でエレベーターのボタンを何度も押しながら上下するジェイソンの姿を見て、息子の生き方がルールの間を行ったり来たりする”エレベーターの様な人生”だと気づいて、親として一緒に乗るしかない!と決心するシーンがとても、良かったな。
・人と接触する事が極端に苦手なジェイソンが、スタジアムで歯を食いしばって身体検査に耐える姿や、ミルコがスタンド内では息子を他のお客さんから触れられない様に必死に庇う姿なども、沁みたな。
<エンドロールでも流れるが、自閉症アスペルガー症候群の子は100人に一人いると言われている。
そして、様々な偏見にも晒されているとも。
けれども、今作ではジェイソンの両親と祖父祖母が彼の特性を認め、優しく接する姿やジェイソンがクラスメイトの前で”僕は自閉症。だから良い所も悪い所もある。”と堂々と喋り、クラスメイトもその姿を静かに見ているシーンも良かったなあ。
今作は、前半はジェイソンの態度に少し苛苛するシーンもあるのだけれども、後半の展開にそんな気持ちになった事を可なり反省した作品でもある。>
■今作は、サッカー大国ドイツのFCバイエルン、ドルトムント、フォルトゥナなどのホームのサッカー場や大観衆の姿が観れるのも、サッカー好きには堪らなかったな。
それと、ジェイソンがブラックホールや、星が大好きで量子力学の知識も凄いことを、専門博士の前でスラスラと喋るシーンには感動したな。今作は実話だそうなので、ジェイソンのモデルの子が、将来にホーキンス博士やアインシュタインのようになって欲しいなとも思ったよ。
(オンライン試写会は全てネタバレ扱い)もう少し福祉の方向にベクトルがあっても良かったかも。
今年396本目(合計1,487本目/今月(2024年11月度)2本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
※ オンライン試写会にご招待いただいたfilmarksさま、ありがとうございました。
自閉症の(この点後述)主人公が、お気に入りのサッカークラブを見つけるために父親といろいろなサッカーの試合を訪れて成長していく物語です。
この点、ドイツといえばサッカーリーグは有名だし、いわゆる(日本基準でいう)三障害の中でも最も取り上げられる機会が多いであろう身体障害以外の障害(知的・精神)を扱ったことそれ自体は理解はできるし好意的なほうです(ただ、この映画は当然、ドイツでは先行して上映されていますが、在ドイツの日本人の方のブログ等を拝見すると、サッカーリーグの描写が古い(日本でいうJ4相当のリーグが(同)J3扱いされていたり、古いデータを参照している?)模様です(確かにおかしい点があることを確認)。ただ、この映画をガチのサッカー映画と見るのは無理があるので、その辺はまぁ良いのでは…)。
映画の述べたいところも理解できるし、あたかもドイツの国内巡り(すべての試合をみたいといっているので)ができること(コロナ事情がどうであれ、海外に行くのはまだリスクがありますね)、程度の差があっても三障害の中で身体障害「以外」を扱った映画ということにおいては極めて良かったなというところです。また、ドイツ映画といえばナチスドイツがあげられますが、「あのマークはナチスの印に似ているから(その施設があるクラブの試合は)見たくない」というようなセリフも登場します(本映画は大きな筋において実話です)。この点まで含めてがそうかは不明ですが、こうしたナチスドイツを扱う映画ではない映画において、ナチスドイツの扱いにつき理解があるなと思ったところです。
ただ、この映画は上記のように在ドイツの日本人の方からは批判的にみられているようです。それは結局日本でもオンライン試写会で見た私もそう思ったところになりますが、「どのような障害を想定しているのかがわかりにくい」という点に多々つきます。
この点みていきます。
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(減点0.2/映画内で述べる「自閉症」がどの程度の像を想定するか理解が難しい)
一般に自閉症といった場合、必ずしも知的障がいがあることを意味しません。一方で実際にかなりの知的障がいが認められるケースから、健常者とほぼ変わらないというレベルまでいろいろいます。そもそも自閉症という症状は知的障がいと言い換え可能な語ではありません。一方でその症状はかなり異なります。
そのため、一次的には(あるいは、一般にわかるようにするという意味での、必ずしも厳密性を求めない文脈では)「自閉スペクトラム症」という語が用いられています。映画内では「自閉症で、…(途中略)…アスペルガー症候群だ」という字幕が登場して???になりますが、現在、2023~2024年時点では、「アスペルガー症候群」も「一般的な会話が満足にできる程度の知能がある類型」というように位置づけられています(これらのことは、実は公式サイトにかなり詳しく書かれています)。
※ この映画は、表面的にはサッカーを扱っていても、実質的に知的障がい(自閉症)を扱っている事情があるので、子ども家庭庁ほかの推薦番組扱いです。
実はこのような事情から、字幕よりも公式サイトのページを「ちゃんと」読まないと、これらいくつか出る語がどのような疾患(状態)なのかというのを理解することが難しく、かつ、映画内では「少し前の学説にそった解釈」になっているため(この点、公式サイトではきちんと解説されている)、観る方はかなり苦労するのではないのかな…といったところです。
ただ、いずれにしても、特に三障害の中で、当事者(子ども)の遊びというと、主に身体障がい児のそれがメインに論じられることが多いところ、この映画は別の角度からあまり陽のあたらない部分を描いている点については、(公式サイトと同時に読まないと、字幕のみでは不正確な理解になるところがあっても)それはそれで理解しうるし、そのような映画は当然あってしかるべきなので(かつ、その子のサッカーの趣味に事実上内容を限定したため、この手の映画でありがちな「親なき後の面倒論」といった話に飛ばないのも良いところ)、この点については「サッカー映画+問題提起型の映画」という観点ではおすすめ以上です(ドイツのサッカーリーグ事情について若干ヘンテコな部分があるようですが、よほど好きな方でないとわからないのでは)。
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