「アスペルガーの息子を持った夫婦。一人では支えきれなかった。選手交代しながら、祖父母という強力なサポーターに支えられながら、本人もゆっくりと変わっていく姿が描かれます。」ぼくとパパ、約束の週末 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
アスペルガーの息子を持った夫婦。一人では支えきれなかった。選手交代しながら、祖父母という強力なサポーターに支えられながら、本人もゆっくりと変わっていく姿が描かれます。
アスペルガー症候群の少年が主人公の作品です。
ドイツ作品は余り鑑賞した事がないかも ということも
あって鑑賞することにしました。・_・
鑑賞開始。さて。
主人公の少年が誕生する時点から始まります。
素直に喜ぶ両親だったが、定期的な健診を受ける
うちに、医師から告げられる。
” この子の発達段階に正常ではない特性がみられます ”
突然の告知を、すぐには理解できない両親。 …分かる ・_・;
” それは治るものなのですか? ”
” いいえ この状態は治るコトはありません ”
納得しがたい現実に向き合いながらの生活が続く。
母親が仕事をやめ(翻訳?だったか)世話をする。
父親は… どうやら仕事に逃げているようだ。…うーん。
母方の祖父母が、何かと生活の面倒をみてくれている。
両方ともサッカーのTV観戦が大好きなようだ。
この少年=ジェイソン君は10才になった。
普通の小学校に通っている。 …のだが
小学校の同級生とは上手く行かない。
自分のルールやこだわりが強いのだ。 …分かる
宇宙のことに興味と才能がみられるようなのだが
それすら同級生のからかい対象になっている。
” 太陽系の惑星って何がある? ” と訊かれ
太陽に近い順番では 水星 金星…
大きさの順番では 木星 土星…
同級生たちは、同じことを何度も尋ねるのだ。
聞かれるたび、同じように応えるジェイソン君。
ある日、応援するサッカーチームも無いのかと言われ、
無いと答えると、普通はあるものだと言われる。
ゆりかごの中で推しチームは決まるのだ とも。
” 自分には推しチームが無い ”
そのことが妙に気になり、帰宅後両親に、それぞれの
推しチームがどこかを尋ねる。
サッカー好きの祖父母も話に混ざり、ああだこうだ。
話を聞いただけではぴんと来ない。それなら…
ジェイソン少年、推しチームを見つけるにはスタジアム
で実際の雰囲気や環境、サポーターの質などなど
自分の目で見て判断したい と主張する。
気軽にジェイソンとその約束をした父親。
どこにしようかと決めようとすると、ジェイソン君。
” 最初のチームはくじで決めるから ”
” 最初? ”
” 1部から3部、全部をみないと決められないよ ”
” … …” …気持ちは分かる
こうして、週末ごとのドイツ国内観戦の旅が始まる。
ブンデスリーガに所属するクラブのスタジアムを全て訪問
実際に観戦し、どのクラブが自分に合うかを決める。
そういうことの約束だ。
ブンデスリーガのチーム数は多い。
1部から3部までを数えると、チーム数は50を超える。
絶望的な困難を予想しながらも、実行に移す父。
仕事中心だった父の、息子との行動に安堵し、旅の成功を祈る母。
贔屓チームをTV観戦で応援する祖父母も、父と息子を後押しする。
一つ目の訪問から苦難が続く。
移動中の電車。パスタに付いたソースがガマンできない。
” 解決して! ”
食堂車から席に戻ろうとして、パスタの皿を落としてしまう父。
少年の頭と心が悲鳴をあげる。
” 食べるものをムダにしてはダメなのに!”
多難すぎる前途に、父親の心も悲鳴をあげる…
自分のルールに合わないモノを受け入れない息子と
解決してと言われても出来ないことの方が多い父。
そんな中での父と二人で国内を電車で移動。
スタジアムではサポーター席で試合観戦し周囲の様子を観察。
それに付き合う父と、ゆっくりと
自分のルールを変えることも覚えていく主人公。
そして観戦の旅を重ねていく内に…
◇
と、いう感じのお話でした。
決して悪い内容の話では無いのですが、
「解決して!」と騒ぐシーンの多さ。
観ていて頭が痛くなってきたのも正直な感想です。・_・;ハイ
そんな中でも
家族の理解が素晴らしかった。特に祖父母。
祖父は「自分の父親とジェイソンは似ている」といい
さらに「私は父親のことが大好きだった」とも口にする。
” 周りに自分の理解者がいる ”
そのことの大切さに改めて気付く作品でもありました。
観て良かった。
◇あれこれ
■アスペルガー症候群
作中で「最近流行りの病名」という言われ方をしてました…。
うーん。最近になって出現したわけではなく、昔からあった
病気・症状だろうとは思います。
・落ち着きの無い子
・夢中になると周りが見えなくなる子
・周囲の輪の中に入れない子
あれ? 自分も当てはまる… うーん。そうかも。
有名になっただけではなく、周囲の理解も進むといいなぁ と
そう切実に願います。
■タイトル
翻訳:週末の反逆者(…うーん 物騒)
自分のルールへの叛逆 だったり
周囲の価値観への叛逆 だったり
ゆっくりとでも、周囲を受け入れることも必要
自分を少しでも、周囲に分かってもらうことも大事
自閉症の人間も、少しずつゆっくりとでも
変化も成長もするのだということを改めて
認識できる作品です。・-・
◇最後に
地元にJリーグのチームがあって、スタジアム観戦が日常
生活になっていたり、そこまででなくともスタジアム観戦
の経験がある方のほうが、共感しやすい内容なのかも
そんな風には感じました。
静かな環境が好ましい方にはちょっと…かもしれません。
その点で、現実のジェイソン君も頑張ったなぁ…と。
※本人の画像がエンドテロップに出てますがイケメンです♡
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。