「盛大なラスト」MaXXXine マキシーン クラさんの映画レビュー(感想・評価)
盛大なラスト
「X」、「Pearl パール」に続く完結編だが、何故だろうあれだけ脱ぎっぷりの良かったミア・ゴスがほぼ脱がないという斬新な(?)設定である。
「X」の一件から心に何か病魔が巣食う様な状態の彼女に、ハリウッドという煌びやかな世界がよりそれを助長している様な世界観だ。ポルノ界では名の知れた彼女が、ホラー映画のヒロインを務めるまでの世界を描くというサクセスストーリーなのだが、流石ハリウッドの治安である。もちろん街のど真ん中で大量殺人とまでは行かないが、可哀想に再び彼女は殺人鬼に翻弄される事になる。全体的には地味というか本作特有のはっちゃけ感が無くなったと言うべきだろうか。がっつりのホラーだった第1作と、どこかコミカルな第2作を合わせたような印象だが、本作の最大の見どころは、徹底した1985年の街や人々の描写である。80年代が舞台なだけあり、かなり街の様相等も"懐かしい感じ"が漂い、カメラワークも当時主流だった様な手法が用いられている。映画スタジオの「サイコ」の屋敷が使われたり、思わずニヤッと出来る部分も多い。
改めて思ったが本当にミア・ゴスは不思議な女優である。か弱そうに見せて、突然カチキレる瞬間だったり、彼女特有の"ヤバさ"が作品の雰囲気に一役買っているのは間違いない。恐らく情緒的なドラマをやらせても上手いだろうが、ホラー界には居なくてはならない存在だ。
第1作が最も話題になった為、オリジナルは超える事が出来ないというジンクスを破る事は出来なかったが、終盤の大暴れっぷりは中々挑戦的であり、このシリーズはここまで振り切ってくれないと観た気がしない位だ。流石タイ・ウエスト監督だろう。イーライ・ロス監督にかなり可愛がられているようだが、「サクラメント 死の楽園」以外は取り立ててパッとしない作品が多かったが、ようやく彼もヒットメーカーの一員になれただろう。
