「◇女優成り上がり物語を演じる「女優」」MaXXXine マキシーン 私の右手は左利きさんの映画レビュー(感想・評価)
◇女優成り上がり物語を演じる「女優」
ウロボロスは、みずからの尾をくわえた蛇の図形。古くから「不老不死」などの象徴とされる蛇が、自らの尾を食むことで、「始まりも終わりも無い完全なもの」という象徴的意味を持ちます。転じて、自己言及を象徴する図形ともされます。
"You're f○ckin' movie star"と鏡に向かって語りかけるマキシーン(ミア・ゴス)の姿は、この作品の自己言及性を明確に表現しています。三流女優を演じる有名女優が「女優は気合と根性よ」と身をもって示す映画です。
舞台は1985年ハリウッド。今や絶滅危惧種のVHSテープとレンタルビデオ店、過剰演出と装飾過多のホラー。映画についての映画という自己言及の二重の外枠にも包まれている巧妙な入れ子細工構造です。
華やかな映画世界に夢抱く女子の思いを題材として、『X エックス』『Pearl パール』に続く三部作の完結編である『マキシーン』は、映画産業の本丸ハリウッドへと辿り着きました。映画そのものを対象とした物語は、一人の女優を中心にして円弧を描きながら、無限ループを形作るのです。まさにウロボロス〜永劫回帰、そして、再び私は初めから三部作を観たくなってしまうのでした。
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