「好き嫌いで問われれば「好き」、なのですが…」MaXXXine マキシーン TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
好き嫌いで問われれば「好き」、なのですが…
ようやく日本公開となった『MaXXXine マキシーン』。米国映画レビューサイトの評価はあまり高くありませんが、3部作の締めくくりとなれば当然「劇場鑑賞しない」と言う選択肢はありません。
と言うことで、昨日改めて『X エックス(3回目)』『Pearl パール(2回目)』を観直しましたが、確かにシリーズになるだけあって、初見よりも2回、3回と回を重ねて観るほどに味わい深く楽しめます。ただ、勿論それでハードルが上がったわけではありませんが、本作を観ての総論としては、やや強引さが否めないかな。。
まず、1985年のハリウッド、そして「ある実在する人物/事件」を使った設定自体は目の付け所が高くて巧いと思います。作品内に(当時の)映画や音楽などのカルチャーを散りばめ、現代よりもずさんで怪しく、乱れた風紀と不穏さ極まりない状況を背景に、そこ生きるマキシーンが見事に同化し、よりその「存在」が強調された世界観は完璧。ところが肝心となるストーリー、特に真相が明らかになる後半になるにつれて、諸々に無理を感じて引っかからざるを得ません。勿論、マキシーンを追い詰めて苦しめることになる「過去」の清算としては、正に彼女らしい決着のつけ方だと納得出来るのですが、如何せん「(あの展開で)そうはならんだろう」と感じる最後はあまりにも雑で、残念ながら「後を濁している」と感じてしまいます。
一方、出来ることなら(パール同様に)何故「その後のマキシーン」が形成されたのかを知りたくなり、抜け落ちた時間が語られる「4作目」もついつい観たくなります。そう思えるのは、本シリーズを通して感じる「キャラクターの一貫性」がしっかり守られているところ。勿論、時間の経過や立場が変わることによって「色濃く」こそなりますが、パール、そしてマキシーンと言うキャラクターが作品ごとにブレることがなく、彼女(達)であり続けることにそれぞれの「人生」、更には「人間、怖い」を感じて味わえるところが、シリーズの魅力につながっているような気がします。(そういった意味では、やはり「パール」という存在こそこのシリーズの珠玉。彼女がいない本作に物足りなさを感じてしまうのも実は…)
なお今作、出演者がかなり豪華な面々となっており且つその扱いもなかなかに酷い(いい意味です)。こういったところは当然前2作からの良き影響なのでしょう。皆さん、嬉々として演じられているように感じます。
或いは、本作もいずれ2度、3度と観直せば良さが際立ってくるのかもしれませんが、どうしても「どさくさ」感が否めないストーリーがネックとなって高評価は付けづらく、、好き嫌いで問われれば「好き」なこともあって煮え切らないレビューです。いやはや申し訳ない。
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