MaXXXine マキシーンのレビュー・感想・評価
全176件中、1~20件目を表示
マキシーンの物語がひとつのゴールにたどり着いたことに感動した
思えば『X』や『パール』でも、原理主義的なキリスト教信仰が主人公たちの抑圧になっていることは示唆されていて、それが三部作の完結編である本作で直接の敵として登場するだけでなく、パールの悲しい時人生すらも背負ったマキシーンが真っ向から立ち向かう物語になっていることに少なからず感動した。ご都合主義的な展開のユルさやキッチュなビジュアルについては、この三部作がそれぞれに標榜していた「ある時代の映画スタイルの再現」が80年代ハリウッドなのだから、そりゃこうなるよなという感じで、三部作を貫く遊びの一貫として大いに楽しみました。これ単体で観るとかなり趣味的要素が強い作品に見えるし、実際にその通りなのだけれど、本当に『X』と『パール』を経てマキシーンの物語がよくぞここまでたどり着きましたね!と拍手を送りたい。
スラッシャー3部作の巧みな構成と統一感が画期的
タイ・ウェスト監督と主演ミア・ゴスのコンビで作ってきた3部作。第1作「X エックス」は、ポルノ女優を目指すマキシーンと殺人狂老婆パールの二役をゴスが演じた。第1作の撮影準備期間中、監督とゴスはすでに第2作、若かりし頃のパールの夢と挫折を描く前日譚「Pearl パール」の脚本を書き上げていたという。そしてこの第3作「MaXXXine マキシーン」では、ポルノ女優として成功したマキシーンがハリウッドスターになる夢を追うが、彼女の暗い過去を知る者たちや連続殺人鬼が迫ってくる。3作目を観終わって、第1作でゴスが演じた2人のキャラクターのうち、老婆パールの前日譚を第2作で、女優志望マキシーンの後日譚を第3作でそれぞれ描くという構成の巧みさに改めて感心する。
第1作の撮影開始が2021年2月、第3作の主要な撮影が2023年春で、短い期間で3本を撮りきったこともトリロジーとしての統一感に寄与しただろう。スラッシャーホラーのジャンル映画では、当初シリーズ展開を想定していないものが1本当たってから急遽続編の企画を立ち上げることも多い。そうした場当たり的な連作に比べたら、この3部作の統一感と巧みな構成はある意味当然か。
前2作の成功を受け予算も増えたのだろう、共演陣もエリザベス・デビッキ、ミシェル・モナハン、リリー・コリンズ、ケヴィン・ベーコンと豪華に。ただし、ゴス+デビッキ、ゴス+モナハンといった具合に主演と人気俳優1人(+比較的マイナーな脇役)で撮られたシーンが多く、3人以上のスターによるアンサンブルが少ないのはやや残念。リリー・コリンズなどは気の毒なくらい出番が短いし。
あと、1作目、2作目で狂気の権化のようだったパールがこの3作目で不在なのも、物足りなく感じたポイントだった。ウェスト監督によると、脚本開発段階ではパールの幽霊を出す案もあったが、結局採用しなかったという。おそらく製作陣も、パールの突き抜けた狂気をどこかで加えたかったのではなかろうか。
ともあれ、3部作の大仕事をやってのけたタイ・ウェスト監督とミア・ゴス、それぞれの今後の活躍にも大いに期待する。
ポルノとハードロックの親和性といったら!
タイ・ウェストより、映画に愛を込めて
監督タイ・ウェスト×主演ミア・ゴス×製作A24によるホラー3部作の完結編。
『X/エックス』ではスプラッターホラーへのオマージュと稀代の殺人鬼老夫婦を描き、『Pearl/パール』では時を遡って殺人鬼老婆の若き日と誕生を描いてきた。
本作は『X/エックス』のその後。あの惨劇を唯一生き延びたマキシーンがあの後どうなったか、いよいよ描かれる…。
ホラーがベースだが、3部作それぞれ違う時代や作風。
『X/エックス』は1979年のテキサス、王道的スプラッターホラー。
『Pearl/パール』は1918年のテキサス、クラシック作品の雰囲気やミュージカルのような演出も。
今回は1980年代のハリウッド。
あれから6年経った1985年。ハリウッドでスターポルノ女優となったマキシーン。
それだけに留まらず、目指すは映画スター。カルト的人気ホラー映画の続編『ピューリタンⅡ』のオーディションを受ける。
見事、合格。夢の映画スターへ一歩を踏み出した矢先…。
マキシーンの周りで連続殺人事件。折しも“ナイト・ストーカー”が巷を震え上がらせていた。
ナイト・ストーカーの犯行か、別の誰かか。マキシーンのあの過去の事を知っている…。
“ナイト・ストーカー”は実在の連続殺人鬼だが、詳しく知らなかった。
これを巧みに絡めてくるのかと思ったら、あくまで時代背景。
連続殺人鬼の存在で不穏な影に包まれた映画の都で、マキシーンが過去と対峙する…。
もうとにかく、マキシーン無双! 『ANORA/アノーラ』のポジティブ猪突猛進が評価されたなら、マキシーンだって。
気の強さ、いやそれ以上の態度のデカさ。オーディションでも緊張したりせず、堂々と。
オーディション終わりに審査員たちに、「私を採用すべき」。オーディションを待つ若い女性たちに、「採用されるのは私」。
ある帰りの夜道、男に襲われそうになるが、返り討ち。銃で脅し、服を脱がせ、睾丸を…えっと、犯罪です。
ちょっと先に述べてしまうが、自分を調べていた探偵も文字通り始末。(恐ろしいほどやり手のビジネス弁護士!)
正当防衛もあるかもしれないが、過去の事も含めると、決してクリーンではない身。それでも、
私らしくない人生は受け入れない。
媚びない。自分の弱さを見せない。自分を恥じたりせず堂々正直に。
マキシーンってこんな性格だったっけ…?
3部作それぞれ演じ分けるミア・ゴスのインパクトたるや!
映画業界が舞台なので、たくさんの映画ネタが楽しい。
ポルノやB級ホラーへの言及。業界への皮肉。
実在の作品やスター。あの“ベイツ・モーテル”も…!
街中に繰り出しても、レンタルビデオ店や楽曲など80年代カルチャー。
当時を知る人にはタイムスリップ。タイ・ウェストのセンス。
そんな80年代ハリウッドの光と闇…。
殺人鬼の魔手はマキシーンと同業のポルノ女優や親しいレンタルビデオ店主(ナイスガイだったのに…)、『ピューリタン』前作の主演女優にまで…。
マキシーンの周りで事件は起きている。警察はマキシーンをマーク。
マキシーンの過去を知る者。執拗な探偵は雇われただけ。その雇い主は…。
脅威が身近に迫るが、精神面にも。強気に見えて精神を蝕む過去のトラウマ…。
雇い主は黒幕であり、ナイト・ストーカーとは別の連続殺人鬼。
早々と察しは付いたが、ここで『X/エックス』と繋がった。
カルト宗教団体の神父で、マキシーンの実父。
ポルノやハリウッドを悪とし、その罪を暴く。娘を取り囲む悪を抹殺。娘を救う。
娘を木に縛り付け、悪魔祓い…。
こんなキチ○イ父親から逃げたいマキシーンの気持ちも分かるような…。
宝塚男役のようなクールな『ピューリタンⅡ』監督エリザベス・デビッキ、刑事にミシェル・モナハン、『ピューリタン』前作主演女優で白雪姫パロディのようなリリー・コリンズ、ダーティ探偵がハマり役のケヴィン・ベーコン…。キャストは3部作で最も豪華。
グロホラー、殺人サスペンスなどでダーク。主人公の無双っぷりとサクセス、ハリウッドの雰囲気で華やか。
3部作で最も規模や作風は盛っているが、インパクトや話は期待ほど一捻り無く…。真犯人の正体や展開も読めてしまった。
最後の最後に何か一捻りあるかと思ったら、案外あっさりと…。
勿論本作も悪くなかったけど、前2作のインパクトや斬新さには及ばなかったかな。
前2作はバッドエンド的だったけど、締め括りは夢や希望を感じさせて。
凝ったホラー3部作を通して、本当はこれが描きたかったのかもしれない。
タイ・ウェストより、映画に愛を込めて。
途中から有りがち。
3部作ラスト。
1作目が『悪魔のいけにえ』のようで、
(2作目Pearl パールは観ていません。
ミア・ゴスがどうしてもニガテ。で、やめました。
3作目はホラースリラー好きなので我慢して押さえました。)
3作目は『スクリーム3』やデ・パルマ『ボディ・ダブル』
を意識しているような。
(サイコ2も話題にするシーンもあるし。)
ケビン・ベーコンやリリー・コリンズはうれしい。
3作目は中盤から、弱い、かな。
脚本、ありがちな話過ぎる。
(『スクリーム3』なんて、スター・ウォーズの枕営業を
主役本人がサービストークしたり、
ハリウッドならではの愉快さや遊びがあったが、
本作は、ポルノスターがハリウッドで注目される、
というだけで、大したこともない。
まさか、そのポルノスターがベティ・デイビス級に成る
わけじゃあるまいし。)
ミア・ゴスはいつもカッコいい
盛大なラスト
「X」、「Pearl パール」に続く完結編だが、何故だろうあれだけ脱ぎっぷりの良かったミア・ゴスがほぼ脱がないという斬新な(?)設定である。
「X」の一件から心に何か病魔が巣食う様な状態の彼女に、ハリウッドという煌びやかな世界がよりそれを助長している様な世界観だ。ポルノ界では名の知れた彼女が、ホラー映画のヒロインを務めるまでの世界を描くというサクセスストーリーなのだが、流石ハリウッドの治安である。もちろん街のど真ん中で大量殺人とまでは行かないが、可哀想に再び彼女は殺人鬼に翻弄される事になる。全体的には地味というか本作特有のはっちゃけ感が無くなったと言うべきだろうか。がっつりのホラーだった第1作と、どこかコミカルな第2作を合わせたような印象だが、本作の最大の見どころは、徹底した1985年の街や人々の描写である。80年代が舞台なだけあり、かなり街の様相等も"懐かしい感じ"が漂い、カメラワークも当時主流だった様な手法が用いられている。映画スタジオの「サイコ」の屋敷が使われたり、思わずニヤッと出来る部分も多い。
改めて思ったが本当にミア・ゴスは不思議な女優である。か弱そうに見せて、突然カチキレる瞬間だったり、彼女特有の"ヤバさ"が作品の雰囲気に一役買っているのは間違いない。恐らく情緒的なドラマをやらせても上手いだろうが、ホラー界には居なくてはならない存在だ。
第1作が最も話題になった為、オリジナルは超える事が出来ないというジンクスを破る事は出来なかったが、終盤の大暴れっぷりは中々挑戦的であり、このシリーズはここまで振り切ってくれないと観た気がしない位だ。流石タイ・ウエスト監督だろう。イーライ・ロス監督にかなり可愛がられているようだが、「サクラメント 死の楽園」以外は取り立ててパッとしない作品が多かったが、ようやく彼もヒットメーカーの一員になれただろう。
美しきミア・ゴス
三部作がついに完結
えっ、ケヴィン・ベーコン?
あれ、ケヴィン・ベーコンだったんか。
さて、エックスから見始めて、結局全部見てしまった。だからといって、面白いと思ったとか、好きな映画かと言うと・・・・・。
エックスが意味不明で、その前日譚見れば理解と言うか納得出来るかなぁと思って、二作目を見た。でっ、勢いで三作目も見たけど・・・二作完結で良かったんじゃね?
フェミニズムホラー三部作を有終の美で飾る
「X」も「パール」もホラー映画ではなくフェミニズム映画として見ていたため、この最終作はその締めくくりとして文句のつけようがない。拍手喝采。
もうこれが2025年のNo.1でほぼ確定。
マキシーンの強さは、数多のホラー映画にて男にコケにされ、陵辱され、殺されてきた女たちの無念を晴らしてくれるようで痛快極まりない。
デ・パルマオマージュの連発も彼の作品が持つ魅力を現代に伝えるとともに、彼の作品内で見られる女性軽視的な展開(デ・パルマが差別的ということではなく、現代の感覚ではそう見えるということ)を反転させて見せている。
「サイコ」のセットが出てくるなんて映画ファンを泣かせるにも程がある。
ハリウッドの闇を描くジャンル映画として見ても非常に面白いし、家父長制をぶっ潰せという話でもあるし、とにかく、あれもこれも詰め込んで103分に仕上げているタイ・ウエストの力量ハンパなし。
ラストカットも示唆的でいい。マキシーンは果たしてハリウッドで成り上がるのだろうか。やり遂げろ、マキシーン。
『X エックス』のネタバレ少し有り
最近見直した『X エックス』で生き残ったマキシーン。仲間5人は殺され、老夫婦の2人も死亡した。しかし現場には撮影したカメラやフィルが残ったままだった。そんなラストだった。
今回はその出来事から6年後。
ポルノ女優からスター女優になろうと奮闘するマキシーンに(怪しい)探偵がまとわりつく。
同じく有名になりたい女優達や、ビデオ店の(気のいい)友人、(ヤクザの様な)業界の顔役、揉め事を持ち込んで欲しくない(190cmの)映画監督なんか、沢山の人々が(欲望を持って)交わる映画界。
巨額の金が動くHOLLYWOODが舞台で『マルホランド・ドライブ』を思い出す。
しかしその時ロサンゼルスでは連続殺人鬼が、、、
はたして探偵の依頼主は?
殺人鬼※はマキシーンを狙うのか?
映画は完成するのか?
3部作の結末は如何に!
関係ないが "ビデオテープあるある" なんかも思い出す。
レンタルビデオ店で借りたVHSは巻き戻して返却するのがマナー。
ビデオデッキによっては爪が折れたVHSは入れると自動で再生する。
テープが擦り切れてノイズが出るビデオもあった。
VHSテープで思い出すノイズは『ローズマリーの赤ちゃん』の赤い目のシーン。
『初体験/リッジモント・ハイ』のプールから上がるフィービー・ケイツ。(本当に関係ない)
※連続殺人鬼ナイト・ストーカー(峡谷の侵入者):本名リチャード・ラミレス。
1960年2月28日生まれ、2013年6月7日死刑(53歳)。
1984年から1985年にかけて、ロサンゼルス郊外を中心に無差別に民家を襲撃し、暴行、レイプ、強盗などを働き、うち13人を殺害。自らを悪魔崇拝者と標榜したその残虐な犯行は、当時カリフォルニア州全体をパニックに陥らせた。
これが集大成なのか
念ずれば叶う…
前2作品に比べるとエログロやや少なめ、よってホラー色も薄くなり、連続殺人事件などサスペンス要素が強くなった。予算も増えた?のか豪華出演陣も加わりB級ぽさは無くなった。あまりにもリリー・コリンズの出演シーンが少なく、皆ちょい役過ぎる。ケビン・ベーコンは変わらず良い味を出していた。最終章だけあって、ラスボスは前作にもチラチラ出ていた教祖の父親かとストーリーが繋がった。何が何でも、何をしてでもスターになるという夢が叶ってめでたし。
全176件中、1~20件目を表示
















