「落ち着けよリドリー、と俺は言った」グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 かぼさんの映画レビュー(感想・評価)
落ち着けよリドリー、と俺は言った
前作は劇場未鑑賞、懐かしのレンタルビデオで鑑賞。
老いて益々盛んなサー・リドリー・スコット監督自身の24年ぶりの続編。
前作は、ローマ史劇と云えばのチャールトン・ヘストン『ベンハー』をテレビ放映時に夢中で何度も観てたので、あの戦車戦の興奮とキリストの奇跡は越えられず一度観ただけ。
思い出補正されたベンハーと比べるのもフェアでは無いとは思ったが、ラッセル・クロウが苦手なもんでノレなかった。なので見直しなし。
その続編である本作開始のスコットフリーのロゴから切れ目無いドローイング風の前作のダイジェストには、おお気合い入ってるなぁと思いましたし、冒頭の海戦も魅せるし、コロッセオの海戦も良い。実際にはサメを放つほど深いプールだったかは、ご愛嬌。
見せ場も多いし、話もストレートで何の捻りもないけど飽きさせない。
前作の復讐劇に比べるとカタルシスが弱いけど、主人公の出生があーそうなんだと記憶が曖昧なのでノイズにならなかったので、サクサク見れた。
主役のポール・メスカルは派手さの無い手堅い演技で少し押しが弱いが、デンゼル・ワシントンが嬉々として悪を演じてて良かった。
サー・リドリーにしては直球勝負でらしくなく、オマケにデンゼルがノリノリだったので、まるで亡き実弟トニー・スコットの作品のようだなぁと思いました。
兎に角、最近のリドリー御大の多作ぶりは物凄いし、本作も予算と撮影日数余らす早撮りだったそうで、24年開けての続編製作とか、エイリアンシリーズとかブレードランナーの展開とか、念願だったナポレオンとか、リドリー御大の終活なのか思ってしまう。
ただ如何せんどれも薄味な気がする。
脚本を書く人では無いので、誰かこの御大が持つビジュアリストの才能を全て吐き出すような、もの凄いオリジナルのSF脚本とか未映像化のSF小説の脚本とか与えて、じっくり腰を据えて奇跡の一本を撮れって説教してくれないかと思う。
コメントバックありがとうございます。
キャメロンに対しては、なんなら「エイリアン2」の方が評価されてるんじゃないかという空気を感じて、嫉妬してるんでしょうね。
黒澤明は、日本アカデミー賞を権威がないと言って認めなかったりしましたが、北野武を高く評価することはあっても、後輩監督を否定するような言動はなかったと思います。巨匠たるもの、そうあってほしいなと思いますね。
コメントありがとうございます。
ブレランはヴィルヌーブでホントに良かったと思います、キャメロンには敵意が有りそうですね。
今作で謎の合成が無かったのは何故?自分でも変だったと思ったんでしょうか。
説教…ですか(笑)
もう誰の言うことも聞かないでしょうね。逆にそうでなくちゃ困ります…。
もう、一般客が求めるものは作らないという次元にいてくれないと、巨匠は。
そういう意味では、本作はちょっと観客に迎合してるかも…。
共感ありがとうございます。
ある程度代表作を持つ監督は尻すぼみがちですよね、ヒチコック、キューブリック、黒澤・・最後辺りはボロボロです。リドスコにはもう好きにさせてやれと思います、娯楽作を撮るし。