「1作目は至高。蛙の子は蛙なのか?」グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 瑞鶴さんの映画レビュー(感想・評価)
1作目は至高。蛙の子は蛙なのか?
最初に、これから観ようと思っている人へ。
まず本作、前作というのか1作目の「グラディエーター」はまず見るべき。ほぼ必須レベル。観ないと「トップガン マーヴェリック」以上に満足度が変わる。
あと、2時間28分の作品な上に幕開けを含めると2時間45分程度。事前にトイレへ行き、利尿効果が高めのドリンクは避けた方が良いかもしれない。
パンフレットやグッズは、残念ながら販売されていない。
あとは、なるべく大きなスクリーンで音響が良くて没入感の高いスクリーンがおすすめ。
2024/11/19、Dolby Atmos+TCX+レイトショーのベスト席で周りのノイズ無しという、まさに映画鑑賞する上ではかなり理想的な環境で観たこともあって、その臨場感や没入感は半端なかった。Dolby Atmosの立体音響とTCXの振動が相まって、まるで当時のローマにタイムリープしてコロッセウムの中に自分が立っているかのような没入感。剣戟の音や観客の歓声が、体の奥底まで響き渡り、普段の映画鑑賞よりも数倍の臨場感を味わえた。
24年ぶりの続編とは思えないほどの迫力と感動だった!前作『グラディエーター』を劇場で観た時のあの高揚感が蘇ってきた。
以下、ネタバレあり。
ストーリーは、前作の主人公マキシマスの息子が、父の意志を継ぎ、ローマ帝国の腐敗に立ち向かうという、王道の復讐劇。そこまでは良いんだけれど、息子は殺されなかったっけ?否、1作目のルシアスがマキシマスの息子という新事実が作中で判明。スターウォーズのそれは自然に受け入れましたが、今回はなんとも後付け設定な感じだ。まあ、そこは置いといて、そこに駄目な兄弟のローマ皇帝やら、カリスマ性の高いローマ軍指揮官やらルシアスの母などとの新たなドラマが加えられていて2時間28分映画館に拘束されたが飽きさせなかった。1作目へのリスペクト感は高く、特にマキシマスのカリスマ性が2作目でも高く、息子であるルシアスがマキシマスになろうとしていくところが1つの見どころ。ただ、マキシマスのカリスマ性が高すぎて、マキシマスが成し得なかった事は出来たが超えられなかったような感じがする。
1作目から続く壮大な世界観と、そこに息吹を吹き込むVFX技術の進化には驚かされた。コロッセウムでのアクションやバイオレンスや緊迫感は、なかなかの見どころ。コロッセウムに水を張り、海戦を再現するシーンは、最初はこんな手間な事あり得んと思っていたが、後から調べてみると、初期のローマのコロッセウムでは実際に海戦が行われていたことがあると知って驚いた。歴史的な事実を踏まえて、これだけのスケールの映像を作り上げたスタッフの熱意に感心。
ルシアスが自分の人生をかけて戦い、自由を求める姿に深く共感した。若きルシアスの葛藤や成長を見る中で、自分自身の若き日を思い出した。年齢を重ねるにつれて、社会のしがらみや不条理に縛られているような気がすることもあるけど、この映画を観て、もう一度自分の人生を見つめ直すきっかけになった。
『グラディエーター』という伝説の作品に、新たな続編が加わったことは喜ばしい。続編を作るのは難しいことだと思うけど、かなりの良作に仕上がっている。佳作。