「奇跡を感じる映画化」ウィキッド ふたりの魔女 shinphiさんの映画レビュー(感想・評価)
奇跡を感じる映画化
四季で何度か観てた大好きなミュージカルです。
舞台ファンとしては、期待と不安がありましたが控えめに言って最高!
おいそれと観に行けないミュージカルを素晴らしい映画にしてくれたのがうれしい。
映像も素晴らしいですが、エルファバのシンシアとグリンダのアリアナというキャストが最強でした。
2人共、すでに十分すぎる実績があるスターですが、この役をやるために生まれてきたと思えるほどキャラクターとマッチしています。
映画化するまで時間がかかったのは、運命が彼らを待っていた、と考えれば、むしろありがたいことです。
前後編で一幕だけで2時間40分という長編の作りも、まったく長さを感じませんし、ファンには2部構成で良かったと思えます。
・グリンダについて
特に目にとまったのは、アリアナ・グランデのコメディエンヌ+ミュージカル女優としての能力の高さ。
歌手として見れば、誰もが知る世界最高峰のPOPスターですが、彼女の歌唱力、ダンス、表現力は現代ミュージカル俳優の視点で見ても最強の存在だと思います。
アメリカ本国では、15歳でブロードウェイデビューしコメディドラマ「ビクトリアス」のキャットで人気者になっていた俳優のスペックはハンパではない。
ちょっとした仕草も大胆な動作も指先のひとつ、まぶたの動きひとつまで神経が配られ、自然かつコミカルに映る身体表現を発揮しています。
所作のすべてに愛嬌があり印象深いキャラクターを作り上げました。
彼女のストイックで真摯な鍛錬の賜物でしょう。
どれほど大金持ちになっても自分の表現を探求し続ける生粋のエンターテイナーだったのだと改めて思い知りました。
・ファンから観た映像化について
欧米に比べ日本では、イマイチメジャー感のないミュージカルですが、濃いファンはそれなりにいます。ウィキッドのファンであるほど例外なくsnsやYouTubeで絶賛しています。
マニアたちがみな映画化を賞賛するのは稀有なことでしょう。
多くのレジェンド級ミュージカル俳優が主演ふたりを演じて来ました。
その上でエルファバとグリンダのひとつの正解を提示するという奇跡のような映画にしてくれました。
カットひとつひとつにウィキッドへのリスペクトが伝わってきます。