「グリンダがキーだ。実は物語として深い。」ウィキッド ふたりの魔女 ふくすけさんの映画レビュー(感想・評価)
グリンダがキーだ。実は物語として深い。
ただのCGが素晴らしく、歌が上手で、何も考えずに済むお気楽な映画と思って観に行ったが、違う。
物語として深い。
深い思索が実は必要だと思う(そんなことしなくても充分に楽しいが…)。
グリンダは最初、とても「いけ好かない人物」として強調され、あのマンガ的な髪をさばく所作も、私には不快だった。
この女性がどのように懲らしめられるのか、あるいは改心していくのかが、ストーリーを決めるように思えたが、冒頭のシーンでグリンダが良い魔女として物語が完結すると示されてしまっている。
私はとてもモヤモヤした。
実際にグリンダは最後まで変わらない。
変わるのはエルファバとの関係性だけだ。
グリンダは最後までオズの側の人間である。
エルファバにとってグリンダは「他人は変えられない、自分を変えるしかない」の人だ。
そしてグリンダは変わらない。
エルファバはグリンダを必要としている。
エルファバが覚醒していくきっかけは何時でもグリンダだ。
エルファバが何故グリンダを魔法講座に組み入れるように談判したのか、オズに誘ったのか?
何故、最後にグリンダがエルファバを滅ぼす側になるのか。
興味は尽きない。
エルファバが何故グリンダをそれほどに必要とするのか?
エルファバが自分を取り戻し、才能を発揮し(努力で得たものではない)、個として確立していくという流れの中で、何も変わらないグリンダを絡ませる意味は何か?
ダンスホールで皆の注目を浴び受け入れられたのはグリンダがいたからこそ。
あのイケメンが、本当の自分に気づいてくれたエルファバに恋心を芽生えさせるのもグリンダとの対比。(彼とエルファバの関係は深くは進展しないだろう。)
エルファバは実は総督の娘、家柄的にはグリンダに引けを取らない。
車椅子の妹の存在も大きい。
妹は大きな勘違いで男と付き合い始めるが、親の力で実は恋は成就するかもしれない。
その妹は姉の門出の場面から姿を消す。
実はこの映画は謎だらけだ。
だから面白い。
そしてそんなことに気づかなくても、圧倒的な歌唱とダンスとおとぎ話の世界観だけで充分に楽しい。
物語として面白ければ、吹き替え版も観たくなった。
追加
エルファバが劇的にグリンダとの関係が良くなり、いつの間にか学校の学生に受け入れられ、その過程は実は殆ど説明がない。
そこをもっと丁寧に描写してほしい観客は一定数いただろう。
全然平気、ここはそういうものとして説明無し!で良いのだ。
エルファバは動物側の人間。
おそらく人間と対立するのだろう。
人間の団結のための共通の敵として。
一番最初のドロシーとブリキの人形の仲間たちの姿を見てホッとしました。
若いは人は見てね。
追記2
レビューに散見されますが、エルファバとグリンダの友情を讃える人が多い。
ホント?
二人が違う路線にいくことはストーリー上明らか。
どのような仕掛けが隠されているかはわかりませんが、グリンダはエルファバを滅ぼすのだ。
グリンダからもらった帽子を残して。
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