「悪人に問題があるのではなく、「悪人を作り出してしまう社会そのものに問題があるのではないか」」ウィキッド ふたりの魔女 おけんさんの映画レビュー(感想・評価)
悪人に問題があるのではなく、「悪人を作り出してしまう社会そのものに問題があるのではないか」
最高すぎた。
アリアナ・グランデのハイトーンがえぐい。喋ってるのを初めて見たけど、キャラにピッタリすぎてめちゃくちゃ惹かれた。
主人公は才能はあるが人付き合いが苦手なエルファバと、やんちゃだけど世渡り上手なグリンダ。
「西の悪い魔女(エルファバ)が死んだ」 という結末が決まった状態で、物語は彼女たちの学生時代へと遡る。2人がどのようにして出会い、友情を育み、やがてオズの運命を変えることになったのかが描かれる。
最初からゴールが決まっていることで、そこにどう辿り着くのかというワクワクが生まれる構成になっていた。
出てくるどのキャラクターも魅力的。全員がクリーンな善人ではなく、それぞれに悩みや思惑、影を抱えているのがいい。弱さや葛藤を持っているからこそ、物語に深みが増していた。
映像も音楽も世界トップレベルの豪華さ。
特に映像ではシズ大学やエメラルドシティの広大な俯瞰シーンは圧巻。細部まで作り込まれすぎていて、映像を止めながら美術品としてじっくり味わいたくなるレベル。
とにかくストーリーを通して世界観の作り込みが凄まじかった。
広大なセット、美術、衣装すべてが妥協なく作り込まれていて、この作品を何十年も愛されるものにしようという熱意が伝わってくる。全体的に少しセピアがかった色味で、フォントなどのデザインまで含めて「オズの魔法使い」の世界観を色濃く表現していた。
音楽も素晴らしく、ミュージカルらしい大道具の変形ギミック、心地よいアクションの音ハメ、影絵を使った演出など、CGに頼りすぎない仕掛けが満載だった。
歌唱シーンでは1画面に40〜50人くらいのダンサーがいるんじゃないか と思うくらい豪華な演出。
最初は「こんなに豪華な衣装の人がたくさんいるのに、すぐハケちゃうのもったいないなぁ…」と思ったけど、熾烈なオーディションを勝ち抜いた人たちが「あなたの出番は5秒です!」と役割を与えられ、全力で駆け抜けていくことで、1曲のパフォーマンスが超濃密なものになっていたんじゃないかと考えるとなんとなく納得した。
とはいえ、ただ歌って踊るポップな作品ではなく、差別や偏見、社会的に弱い立場の人が感じる理不尽さを描いているので、全体的なストーリーのトーンは暗めに感じた。
悪人に問題があるのではなく、「悪人を作り出してしまう社会そのものに問題があるのではないか」 という問題提起をメッセージとして感じた。
後半も楽しみ!!!
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