「パンフがないのでほぼ理解不能だが、タイ語が得意ならググったら何か出てくるかもしれません」バーン・クルア 凶愛の家 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
パンフがないのでほぼ理解不能だが、タイ語が得意ならググったら何か出てくるかもしれません
2024.11.28 字幕 アップリンク京都
2023年のタイ映画(124分、R15+)
家を貸してヤバいことに巻き込まれる家族を描いたホラー映画
監督はソーホップ・サクダービシット
脚本はソーホップ・サクダービシット&タニーダ・ハンターウィーワッタナー
原題は『บ้านเช่า..บูชายัญ』で「犠牲のための賃貸住宅」、英題は『Home for Rent』で「賃貸住宅」という意味
物語の舞台は、タイのバンコクにあるバーン・クルア地区
専業主婦のニン(ニッター・ジラヤンユン)と夫のクウィン(スコラワット・カナロス)、娘のイン(サンヤパット・マユラリーラ)は、クウィンが所有するコンドミニアムに住んでいた
ニンには独身時代に住んでいたマンションがあって人に貸していたが、借主は部屋を無茶苦茶にして逃げてしまっていた
仲介業者のトム(Supthak Chatusriyawon)は簡単な修理を施して、再び誰かに貸してはどうかと提案した
修理代を捻出できないニンは、クウィンに相談を持ちかけることに決めた
それは、コンドミニアムを誰かに貸して、マンションに住むというものだった
クウィンは赤の他人に貸すことを拒んでいたが、ニンは無理難題を押し付けて、借主の内観日を勝手に決めてしまった
クウィンは渋々内観に応じることになったが、やはり誰かに貸すことは躊躇われて、内観当日にニンにキャンセルするように電話を入れた
ニンは慌てて家に戻ると、すでに内観は始まっていて、どうやって断りを入れようかと悩み始める
だが、何があったのか、クウィンは「1ヶ月もあれば貸せる」と言い出し、賃貸契約はあっさりと結ばれることになった
隣人のポーン(Natniphaporm Ingamornrat)は別れを惜しみ、ニンたちはマンションでの新しい生活を始めることになったのである
物語は、新居に来てから寝付きの悪くなったインが、「この家には誰かがいる」と言い出すところから動き出す
その意味はニンにはわからなかったが、クウィンには心あたりがあった
それはコンドミニアムの屋根裏から持ち出した人形にまつわるもので、それをインの誕生日にプレゼントしたことがきっかけだった
その人形は、クウィンと前妻との間に授かった娘ジャー(Pawarisa Surathin)のもので、彼女は給湯器の故障によって、全身やけどで亡くなっていた
クウィンは人生を諦めかけていたが、そんな時に出会ったのがニンだった
彼はジャーのことをニンに告げぬまま新しい関係を始めていて、そしてインが生まれたのである
映画は、金銭に困った夫婦がコンドミニアムを貸し出すことで不穏なことに巻き込まれる様子が描かれていく
借主は元医師のラトリー(ペンパック・シリクン)と、その娘ヌッチ(Namfon Paldee)だったが、彼女たちが住み始めてからの様子がおかしいと、隣人のポーンはニンに告げる
何かしらの儀式をしているようで、朝の4時ごろに何かを唱えている音が聞こえると言う
ニンは気味が悪いと思いながらも、借主の自由を尊重する意味でも、干渉することを避けていた
その後、インはさらに寝つきが悪くなり、奇妙な行動を取り始める
そして、彼女の言葉の端々にジャーとの生活のことが含まれるようになってきた
さらにラトリーがインに接近し始め、ニンはよからぬことが起こるのではないかと、彼女たちが何をしているのかを探り始めるのである
映画は、予告編などでは「実話ベース」と謳われているのだが、タイ語でググっても詳細が見つからないし、パンフレットもないので、まともな解説書がない作品になっている
映画のタイトルも当初は意味不明だったが、どうやら地名のようで、その地にゆかりの儀式もしくは宗教が絡んでいると推測される
このあたりの情報の決定的なものがないので歯切れが悪いのだが、ともかくそう言ったところをあまり考えない方が良い作品のように思える
ホラー要素としても、突然出てくる、大音量が流れるなどの定番の怖がらせ方で、人形の造形は怖いけど、それ以上でもない感じになっていた
このあたりの呪術的なものに詳しくないと話の本筋は分かりにくいのだが、どうやら人形の中に封印されていた魂の入れ物を探していたようで、その犠牲になるのがインと言う感じになっていた
ラトリーも実はパポンと言う人物の入れ物になっているみたいで、中身18歳の少女が仮住まいとしてラトリーの中にいる、みたいな感じになっていた
ラストの畳み方が意味不明なほどに瞬足で、どうなったのかわからないまま、インの中にパポンが入ったような終わり方をしていた
ラストでは、中身が入れ替わっていることに気づいても普通の暮らしを始めるニンが描かれているのだが、ひょっとしたらこっちにも別の何か(ラトリー?)が入っているのかなと思わせる
おそらくは、ラトリーの娘がパポンで、母娘の生き直しをニンとインで行おうとしているようにも見えるので、そのあたりの本当のところは何度か見直せば近づけるのかな、と感じた
いずれにせよ、怖いか怖くないかと言う基準なら、不気味だけどあまり怖くないと言う印象だった
呪術とか儀式の由来は全く説明されないのでわからないが、魂を転生させることができる儀式のようで、その入れ物探しを繰り返しているのがラトリーとヌッチということになるのだと思う
ポスタービジュアルなどではラトリーが主人公の呪術師で、ニンたちを助ける系なのかなと思い込んでいたので、ある意味うまく騙されたような気もする
面白いかどうかは何とも言えないが、可もなく不可もなくという感じなので、疑問符が残ったままでもOKとか、考察が趣味なんですよという人以外はスルーしても良いのかな、と感じた