「分断の欧州。」ロール・ザ・ドラム! 春さんの映画レビュー(感想・評価)
分断の欧州。
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リベラルと保守(単純な表現ですが)の対立が深刻さを増す欧州にあるスイスの映画で1970年が舞台でしたが明らかに現在を念頭に作られた映画ですね。
女性蔑視や外国人蔑視等々の旧く硬直した考えを持つ主人公とリベラルで快楽主義的な生き方をしているその幼馴染が、共に同じ村のブラスバンドの指揮者となり村を二分して争う姿をユーモアを混じえて描いた物語でした。
主人公はどうしようも無い駄目な考え方の男で映画は容赦無くその醜態を描写していましたがあくまでも優しさと理解しようとする努力を土台に一人の普通の人間として見つめていたし、ライバルの男の生き方を理想として無批判に描写する事もなくこちらも一人の普通の駄目人間として描写していました。
二人のバンド指揮者を旗頭とした争いも暴力をも伴った争いまでエスカレートして行きますが、描写はあくまでもユーモア(冷笑も)に溢れておりました。
ラストも驚く程に楽観的な大ハッピーエンドでこれに冷める人もいるのかな?何て事も思いましたが、分断が深刻化して極端で狭量な思想が蔓延る分断先進地域の欧州の人達が祈る様に作った物語なのだと私は全面的に支持しますね。
分断先進地域の欧米の後に続くであろう私達の国は今後どうなって行くのやら。
最後の最後に「プロテスタントじゃなくて良かった!」って、この監督さん本当に良い性格してますね~。
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