「俳優目的の鑑賞だったのに!」追想ジャーニー リエナクト メイチャンさんの映画レビュー(感想・評価)
俳優目的の鑑賞だったのに!
零士に関するネタバレを含みます。
私は零士役の高尾楓弥さんのファンとしてこの作品と出会いました。役と高尾さん本人の人生とは別物であることは理解しながらも、ファン心として「零士くんに幸せになって欲しい」と思わずにはいられず、鑑賞後「どうすれば彼が幸せになって終わったんだろう」と正直すごく落ち込んでしまいました。
自分の後悔は、「あのときこうしていれば良かったのかもしれない」と振り返っては今の自分がその頃の自分にアプローチ出来ない無力感に苛まれるものですが、
鑑賞後、振り返っても「私」という存在が作品内の何者でもない後悔に似た無力感がありました。
雄二も同じくどうすることも出来ない時間に無力を感じ、後悔していたのだと思うと、作品を見て得た私の感情はきっと雄二の感情のうちのどこか1部だったのだろうと感じています。
自分の人生と切り離された非日常で、安全にそして過剰に喜怒哀楽をすることをエンターテインメントとして私は認識しています。
まだ退行睡眠後の雄二の感情を私は得られていません。ぐずついた後悔の気持ちを持って、退行睡眠をするかのようにまた鑑賞を重ねていくうちに、雄二が得たものの1部を獲得出来ればと思っています。
楽しいとは言い難いですが、とってもエンターテインメントでした。考えさせられる楽しみがありました。
後悔は反芻してこそリアルだと思うので、また劇場に足を運びます。複数回鑑賞して変わる印象がとても楽しみな作品でした。
正直私は俳優目的で、予想されていた角度からの鑑賞ではなかったのかもしれませんが、まだ他の角度からの鑑賞ができることが約束されているようでとても楽しみです。
公開を楽しみにしています。