「あの世とコミュニケーション」ワンダーランド あなたに逢いたくて 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
あの世とコミュニケーション
レイトオータム(2010)のキム・テヨン監督が書いて演出したとのこと。
ワンダーランドは疑似ビデオ通話を通じて亡くなった人とコミュニケーションをとることができる人工知能。故人との会話を通じエモ感を前面に押し出すライトSFになっている。
美男美女揃いで、絵もきれいに撮ってあるが退屈だった。
登場人物たちはスマホやモニターごしに亡くなった愛する人と会話し、逐一エモな状況にしてくるのだが、見ているこっちはそこへ追いついていない。
なんとなくスパイクジョーンズのher(2013)のような清潔感あふれる未来世界で、好感度の高い俳優だらけで、各エピソードも善人と善行に徹していて、全体として醒めた気分で見るドラマチック演出という感じ。また故人にも実体があり、死んでんのか生きてんのか、解りにくかった。
いざ挙げようとするとそういくつも思い浮かばないが、故人に会えるというのはわりと既視感のある話だと思う。過去へ戻ったり、あの世の管理人になったり、記憶をクローンに委譲したり、亡くなった愛する人への追慕をテーマにする話はあるあるだと思う。
(ザ・フラッシュ、神と共に、椿山課長の七日間、死役所、Swan Song、天間荘の三姉妹・・・。)
したがってどこかしら見たことがあるような映画という印象があったが、映画はリリカルな音楽を全編にながして、みんなが遠くを見る目(故人を懐かしむ品)をつくって熱演していて、熱演するほどに醒める映画だった。気がする。
ただし労作らしく企画は2019年に発案され主要撮影は2020年からはじまっていたとのこと。
人気と顔面偏差を兼ね備えた配役でチェウシク、パクボゴム、コンユ、タンウェイ、ペスジ、チェユミ。英語と韓国語と中国語が飛び交い国際色もあった。
というわけでnetflixでこの映画を発見した瞬間の歓びと、中途まで見たあたりの倦怠の落差の大きい映画だった。
ワンダーランドGUIも何を制御しているのかわからなかった。自論だが近未来SFでテキトーなGUI描写をするのは逆効果。未来なのに手でスワイプやフリックなんかしているグラフィカルユーザーインターフェースを見ると(個人的には)白ける。
imdb6.0。2024/07/28時点。