劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来のレビュー・感想・評価
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アニメーションは綺麗
呼吸を描くということ
あっついあっつい県道を、あっついあっついサドルに尻が触れないよう自転車を立ち漕ぎしながら地元の映画館へ向かった。
場末だが話題作が上映されるとなんだかんだほぼ満席になる。それを見てようやく向こう1年分の存続の心配を隅に追いやることができる。
そんなことはどうでもいい。
本作は人間と鬼の生存競争を描いた納得のアクションアニメ映画だ。
鬼滅の刃の映画を観るのはこれが初めてになる。漫画は三、四年前に完結まで読んだのだが、うろ覚えである。実際、映画を観ていてこんなシーンあったか?と思うことが多々あった。ちなみに私は忘れた頃にもう一度観るのを人生の楽しみとしている。
さて、呼吸の話がしたい。お手持ちの端末からもう少し目線を下げると、自分の胸が見えることだろう。その皮膚と筋肉と骨の下には肺という臓器が埋まっており、これはあなたの生殺与奪の権を握っている。
まだ目を逸らさないで。そこは少し動いているのがわかると思う。上下だか前後だか、どうでもいいがとにかく、動いている。なぜか?あなたが空気を吸ったからだ。観察をしている間あなたの胸はずっと動き続ける(あなたが鬼でなければの話だが)。
外側の空気を内側に入れる、内側の空気を外側に出す、これが呼吸だ。決して刀から水や炎や虫の幻覚が湧き出ることではない。
この映画では呼吸を執拗に描写する。
呼吸を描写するというと難しいことのように聞こえるが、実際難しい。なんだよ難しいのかよ。難しいのだ。無意識の行為を意識的に行うのは、難しいのだ。
上で書いた通り呼吸とは空気の移動だ。空気は基本的に色がついておらず、目には見えない。それでも空気が移動したとわかるのは、モノが動き音をたてるからに他ならない。呼吸をする、胸が動く。蝋燭を吹き消す、炎が揺らぐ。意地汚くもストローを吹けば、飲み物がゴボゴボと音をたてる。こうした表現が、作品の中に空気がありそれが動くことを証明する。
それを、執拗に描写する。
それだけではない。呼吸はキャラクターの演技にもあらわれる。声優の演技ではなく、キャラの動作の話だ。
一度大きく息を吸って、そのまま息を止めて、できるならばその場で前屈を試みてほしい。苦しいはずだ。それはあなたの肺に空気が入っているからである。風船を抱えているようなものだから当たり前だ。前屈する時は息を吐けと体育の先生も言っていただろう。これは不自然な動作だ。
呼吸をしている生物は、呼吸に合わせて動作をする。鬼滅の刃は当然のことを当然のようにやる。気が遠くなるような枚数のアニメーションと、恐ろしいほどそれと一致した音で。
そして、それは鑑賞者の呼吸も左右する。戦闘はとにかく気持ちのいい音と物語の盛り上がり所がわかりやすい音楽でテンポよく進む。間に挟まる変なギャグの間に両隣が姿勢を変える音がする。彼らは生殺与奪の権を握られている。
こうも丁寧に呼吸をされると、もうストーリーとかがどうでもよくなってきて(これはストーリーがつまらなかったことを意味しない)すべてに「納得」してしまう。
ああ、生きているんですね。生きていると、いろいろありますよね。そういうことも言いたくなりますよね。だって生きているんだから。納得しました。もうめっちゃ納得。納得の二文字以外出てこない。
二時間半かけて私は強く納得した。つまり、すげ〜な〜と思った。
エンドロールが終わってコンマ五秒ほどの暗闇の中で、二席隣に座っていた男の子が「すげえ……」と呟いたのが聞こえた。同意である。
泣きっぱなしでした
未だかつてこれほどまでに完成されたアニメ映画があっただろうか
回想こそが本作品のメインなのでは?
人により感想は様々あると思いますが、
そもそもこの作品は登場人物それぞれの
経緯ありきだと思ってます。
現代のアニメーション技術ならば、
派手な戦闘シーンはいくらでも表現できますし、
本作を観たらその点は十分だと思いました。
勿論、スタッフさんの技術と努力の結晶なので、
さぞ苦労して生みだされた作品だということは
作品を観て頂ければ皆理解できると思います。
敵味方それぞれの背景は美しく描写されており、
その都度涙を流しました。
なので個人的には本作品は満点です。
回想が多いと思った方にむしろ問いたいです。
本作品に求めているのは、
迫力のあるバトルなのか、
登場人物各々のストーリー描写なのか。
大半が原作を知っておられるでしょうから、
その上で批評すべきではないか、と。
ともかく無限城編の第2部を楽しみにしています。
期待を裏切らない映像美&ストーリー
三部作の1番目だから、仕方がない。
いや、もう…ほんとにありがとう…
上映時間155分と聞いて猗窩座ラストまでと事前にわかった!
ufotableさん、今回も愚直に丁寧に丁寧に精緻に作ってくれてありがとうございます!
普段はあまりレビュー書き込みをしないのですが、「回想シーンが長い。テンポが悪い」とか「上映時間が長い」等のコメントが見受けられたので 私なりの解釈を。
鬼滅の刃アニメ版は どの編も 原作1話を8.5分~10分配分で作っているようです。
(但し 柱稽古編だけはアニオリ多く例外♪)
◼️劇場版無限列車編 上映時間 117分
原作54話(7巻)~ 66話(8巻) 13話分
117 ÷ 13 ≒ 【9分】
◼️劇場版無限城編第一章 上映時間 155分
原作140話(16巻)~ 157話(18巻) 18話分
155 ÷ 18 ≒ 【8.6分】
◼️遊郭編 原作1話分≒ アニメ【8.5分】
◼️刀鍛冶の里編 原作1話分 ≒ アニメ【8.5分】
野暮な 計算式など如何なものかと思いつつ、数値で示すことで「最適解」でつくられていることが自分なりに理解出来ました。
「長めの回想シーン」も省略することなくいつも通り原作準拠で作ってくれているし、「長めの上映時間」も区切りが良いように猗窩座編ラストまでとしてくれた。「映画としてのテンポ」という視点は自分にとっては 全然、優先度低いです。(というか鬼滅の刃に関してはスコープ外。遊郭編ラスト+刀鍛冶の里編1話のTV版劇場上映だって遜色なく楽しめます♪) そもそも、そんなにテンポが悪いとも思いません。
とにかく 綺麗に映像化してくれたことに今回も感謝の気持ちでいっぱいです!
追記
それよりも 原作1話≒アニメ9分配分で続くとなると第2章はそれこそ 「黒死牟編」が途中でぶつ切りにならざる得ないので どう仕上げてくるのかな~?と今から楽しみです。
ワンチャン、
原作第157話から、黒死牟編ラストの第178話までの22話分を 200分で一気にやる選択もあってもいいのでは?(1話≒9分×22話分≒198分)
200分=3時間20分は、アニメ以外なら(タイタニックとか)実例もあることだし。
※知っていても、しのぶさんのシーンはショック💦
しのぶさんの舌打ちがとても印象的だった😭
(原作では無かった?! 日輪刀を触る音「チャッ」っていうシーンはあったケド)
映像は本当に凄い
感情移入しにくい気がしてしまった…
原作を読んでない状態で「鬼滅の刃」を観ている。
なので、どんな展開なのか全くわからない状態で、今回の映画も観た。
映像は確かにすごいのだと思う。
あの世界観を示すために、CGがふんだんに使われていて、映像はとても綺麗だと感じられた。
普通に観ても綺麗だと思うし、漫画ファンなら、「あれがこんな表現に!」と喜ぶところもあったりするのかな、と思った。
一方で、入り込めない部分もあった。
まず、これまで放映された鬼滅の刃全体的にも思うのは、状況の説明や心の中の説明といった「ト書き」が長いと感じていた。
それはそもそものこの作品の特徴なので、受け入れるべきだと思うのだが、今回の映画では、回想シーンも長いと感じた。
戦闘シーンの途中に回想が入るが、それが長いので、原作を読んでいない人間にとっては、メインの戦闘シーンの繋がりが希薄になり、ストーリーが切れ切れに感じられた。
回想シーンが終わって戦闘シーンに戻った時、「そうそう、この闘いの途中だった!」という感じ。
その影響なのか、回想シーンにも感情移入しにくく、「泣けるよ」と言われていたのに、ほとんど泣かなかった。
無限城の広さを示すために、城の中を動き回る視点があるのだと思うのだが、その時間も長い気がした。
この先のストーリーを知らないから、あと2回でどんな話になるのだろうと期待もあるのだけど、もし同じテンポで進むのであれば、次回以降も映画館での時間が長く感じてしまうかもしれない。
この長く感じたところを少しずつ短くして、計2回の作品にしてくれると、最後までの待ち時間も短くていいけどなぁとも思うのだけど、ファンの人たちはどうなのだろう?
作品への思い入れの違いで感想は変わるだろうとは思う。
もし続きが今後1年ごとに発表されるのだとしたら…
今回は直前に一気見したから、モチベーション保って観れたけど、今後最後までついていけるのか、少し心配になってしまった。
護る対象を蔑ませ続けた、鬼舞辻󠄀無惨の罪深さ
原作既読のファンが大半なので「ネタバレ」を気にせず書きます。
原作未読の方は映画鑑賞後にお読み下さい。
+ + + + +
1. 煉獄パイセンとの因縁
無限列車・編同様、本作も後半がエモかった。後半の主役はあの猗窩座(あかざ)。煉獄杏寿郎の責務の全した生き様に感動すればする程、憎くて仕方ない仇敵。「強さ」に拘泥する上弦の参は、相手が鬼殺隊であっても戦闘力を褒め称え、鬼になればもっと強くなれると執拗に勧誘する。ただ炭治郎が怒った様に、家族や仲間を殺した鬼達を抹殺し、世の人々を恐怖から開放したい鬼殺隊にとって、最大の「侮辱」だった。
👹
2. ヤングケアラーだった猗窩座
しかし、猗窩座(狛治)の生い立ちを知ると、鬼舞辻󠄀無惨の罪深さを思い知る。猗窩座にも幼少期から素養はあった。病弱で働けない父の代わりに稼ぎがねばならない事情はあっても、スリや強盗など暴力的な犯罪に罪悪感がなかった。何度もお縄になる息子を憂いて、負担にならないように父が自害したのなら、狛治の行いの報いとも言える。師匠と許嫁の毒殺に於いて、狛治は完全に被害者だが、報復として恐らく毒殺の関与していない者まで皆嬲り殺しにしたのは、ヒトとして一線を超え過ぎ。鬼舞辻󠄀無惨が自分の管理下にいない鬼が居たのかと、勘違いしたのも頷ける。
とは言え、狛治は鬼になるか否かを選択する余地を与えられていない。無惨が強制した「血」に体質的に耐えてしまっただけ。しかも、鬼化して「強さ」を求めた動機を忘れてしまう。本来は、父を食わせる為に身に着け、師匠によって武道として鍛え上げられた戦闘力。毒殺で汚されなければ、鬼化しなければ、許婚を護る以外には乱用せずにいられたかもしれない。無惨の「血」が毒に頼った卑怯者への怨念を増強させ、「弱き者」が護るべき対象から蔑む対象に変わってしまった。
覚醒した炭治郎に頸を落とされ、初めて完敗を実感した猗窩座は、自分を取り戻せて幸せに見えた。父を護りたかった事、本当は師匠に感謝していた事、そして許嫁に初めて男として愛された事...。人は思い出だけでは生きていけない。でも、鬼として何百年生きたとしても、自分を愛した人を忘れる程の価値はない。
⚔️
3. 炭治郎なら「暗黒面」に落ちない
Star Warsを観る度に無理問答に感じるのは、Jediは憎悪や殺意が高まりすぎると暗黒面(Dark side)に堕ちてしまうという設定。だから、LukeもReyもラスボスに、「自分を殺せ」と憎悪を高めるような言葉を投げかけ、暗黒面に取り込んで仲間にしようとする。でもこれって、無理問答の極み過ぎへん? 暗黒面にどっぷり使ってる仇敵は、こちらに殺意を抱きまくり。でもJediは、仲間のレジスタンスを殺した最強の仇敵を、恨んではいけない、殺意を持っていは駄目って、バランス悪過ぎへん?
でも、炭治郎が父の教えから導き出した明鏡止水な境地は、Jediの教えそのもの。自分や仲間の命を脅かす脅威には対処するが、必要以上に相手を恨んだり、むき出しの怒りを誇示しない。鍛錬で身につけた反射神経に全てを託して、考える間もなく小脳で反応する。その達観に、猗窩座との戦闘中に至ってしまう炭治郎ってば凄すぎるんだけど...若干、劇的過ぎて漫画的な御都合主義にも見えてしまった。伊之助とのエピソードも後付ではなく、柱稽古の辺りで伏線的に描いておいてくれると、尚自然だったのかもしれません。
驚愕の映像体験
『鬼滅の刃』は、もはや映画というより“体験“。
その映像クオリティは圧倒的で、特に〈無限城〉の描写には息を呑む。文字通り“無限“に広がる構造美と空間演出。アニメ表現の限界を更新したと言っていいのでは?
物語は三つの激闘を軸に展開する。
ひとつは、胡蝶しのぶと、上弦の鬼・童磨の対決。しのぶの静かな覚悟と、毒を駆使する戦法が鮮烈。
もうひとつは、炭治郎と冨岡義勇、水の呼吸を極めた二人のコンビによる、猗窩座との死闘。技と精神力がぶつかり合う。
そして善逸と、かつての兄弟子との一騎討ち。臆病であった彼が、自分のすべてを懸けて挑む姿には、意外なほどの重みと熱量が宿る。
中でも、猗窩座の存在は際立つ。
彼はまさに“裏の主人公“。
バトルでは、覚醒した炭治郎と義勇2人がかりでも互角。いや猗窩座に余裕すらある。バトルを楽しみ続ける。
そして明らかになる猗窩座の過去…
病気の父を、大切な人をなくした。
「強くなければ、守れない」
「弱い者は、消えていく」
その信念は悲しみの裏返しであり、自身の喪失の記憶でもある。だからこそ、彼の言葉と拳には重みがある。そして、炭治郎たちとの戦いの中で、彼の中に眠っていた“人間の記憶“が揺り起こされる。
猗窩座が下した最後の決断に、涙してしまう。
『鬼滅の刃』の魅力がここにある。壮絶な戦闘の奥に、人の過去や哀しみ、誇りと希望が織り込まれている。
この物語に映像クオリティが重なって、圧倒するのだと思う。
拍手喝采
美しい戦いの描写と心揺さぶる秘話に感涙!
まだまだいくらでもこの映画は続きそうです(すごい!)。その巨大なエネルギーのようなものを画面から感じられて、驚きと感嘆しかありません。映画館は満員御礼でしたが、ギリ一番前の右端に座って鑑賞。斜めから画面を観ていて、いつも真ん中で観ているより最初多少違和感がありましたが、戦いが始まるとあっという間にのめり込みです笑。私は漫画は読んでいませんが、戦いの間に展開する人間(鬼)の生き様に泣かされました(泣かされる以外はほとんどが激しい戦闘です笑)。特に感動したものを二つだけ挙げます(胡蝶しのぶも良かった)。善逸が鬼になった兄弟子を討ち取る話ですが、三途の川の手前でその師匠が善逸を褒めるシーンに胸打たれました。もう一つ、これは今回の一番のハイライトなのでしょう。めちゃくちゃ強い上弦の参(さん)・猗窩座(あかざ)は斬られても復活するという鬼なのですが、最後には愛する妻や父や師匠の愛によって炭治郎に敗れるというシェチエーションでこの世を去っていきます。可憐で美しい妻の愛が鬼を負けさせたシーンは爆泣きです(隣の女性もマスクをしたまま大泣きしていました)。あと、特筆すべきは音楽の素晴らしさでしょうか。場面にマッチした楽曲に感情がアップダウンします。そして激しい戦闘のシーンの美しさは、ある種の芸術的な域に達しているようです。しかも早い動きなのですが、目でちゃんと追っていけるというのは、工夫された作り方なのかもしれません。いずれにしても鬼は強すぎる。鬼殺隊はいつもギリギリで戦っているからこそ応援したくなるのかもしれません。
追記 素敵なセリフ。「強いものは弱いものを守るために生きている!」愛にあふれる極上の映画でした。感謝!
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